テクノロジーによって顧客獲得に成功したチポトレ
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- 2021年2月15日
- トピックス
ファストフード業界では、DX=デジタルトランスフォーメーションが浸透している。チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)は、DXを正しく駆使し成功しているお手本となっている。
同社の幹部がモルガン・スタンレー(MS)の会議に出席し、モバイル・アプリケーションや特典プログラム、レジのないレストランのドライブ・スルーについて語った。
クイックサービス・レストランの未来は、クイックに重きを置いているが、このような結論に至ったのはチポトレが最初ではない。スターバックス(SBUX) は、2009年にスマホアプリを通じて事前注文・事前決済をおこなえるモバイルオーダーシステムを導入。マクドナルド(MCD)はドライブスルー業務の高速化ために人工知能に多額の投資を行っている。
このような熾烈な競争環境にある中、チポトレは、極端なまでに高速化を実現している。
カリフォルニア州ニューポートビーチを拠点とする同社は、顧客が調理したてのメニューを注文して受け取る方法をスピードアップするため「チポトラン」を2019年に導入した。
注文と支払いはモバイルアプリケーション内とウェブに移動され、客がドライブスルーの窓口に到着しても注文を確認するだけで済むため、全体の処理にかかる時間はわずか12秒ほどである。
この戦略は勇敢で先見の明があり、完全に必要なものだった。
2018年、チポトレのCEOにブライアン・ニコル氏が就任した。2015年に食中毒事件が発生してから間もなく、このレストランチェーンは厳しい状況に置かれたが、タコベルから移籍した同氏は顧客を取り戻すためにデジタル・トランス・フォーメーションの導入を最優先事項に掲げた。
さらに需要の高いミレニアル世代が住んでいる場所に新店舗を開店することで、新たな忠誠心を構築するという大きな戦略は功を奏した。開始したばかりのポイントプログラムが2020年2月に800万人の会員を獲得し、スターバックスやマクドナルドよりも早く成長した。
パンデミックが発生し、チポトレのダイニングルームが閉鎖された際、会員数が数カ月で1700万人に急増したことにより、ニコルCEOが持つデジタル戦略の天才性が明らかとなった。
ニコルCEOは「新しいデジタルメンバーシップの流入は、営業やプロダクトマネージャーに顧客がチポトレで食事をすることを好んでいて、サステナブルな取り組みや地元の食品調達に対する企業の取り組みを気に入っていることなど多くのことを教えてくれた」と述べている。
運用面では、クリック数やスワイプ数、購入数を測定することで、ターゲットを絞ったオファーが購入頻度に大きく影響することも分かった。2020年10月のプレスリリースによると、これらの新しいオファーは2020年までのデジタル売上高に25億ドル貢献しており、総売上高のほぼ50%を占めている。
投資家向けの話では、デジタルへの初期投資のペイオフはまだ始まったばかりで、チポトランのようにメニューやレジのないドライブスルーレーンは、顧客に愛される便利さだけでなく、売上や利益にも非常に良いことがわかった。
チポルトランを導入している店舗は、レーンレス店舗の販売実績を18~20%上回っており、厨房の効率化とドライブスルー時間の短縮によりマージンは5~6%改善されている。
これらはすべて、デジタル戦略でビジネスを変革するための大きな計画に当てはまるのだ。
同社は、チポルトランで店舗を効率化しており、これらの戦略のほとんどは2021年後半に追い風になるという。
投資家は、同社をスターバックスやマクドナルドと同列であると一見して公正な比較をしているが、私の意見では、チポトレはより効果的にデジタルを駆使しており、店舗数の増加に伴って同社の成長はより期待できると考えている。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン