株式市場はついに売りに転換か、心配すべき?
ブルーオリジン社はロケットの打ち上げを成功させた結果、ジェフ・ベゾス氏をリチャード・ブランソン氏と並んで「億万長者の宇宙飛行士クラブ」に加えた。
(リチャード・ブランソン氏はヴァージン・グループの会長で、ベゾス氏より9日早い7月11日にテストフライトに参加していた。)
一方で、株式市場は打ち上げに失敗した。7月16日(金)にダウ平均が300ドル下落し、19日(月)には10月以来の最悪の下げ幅を記録するなど、まさに地に落ちたような状態だった。
何が起きているのだろうか?
ロケットの打ち上げがあんなに盛り上がっているのに、なぜ株式市場は盛り上がっていないのだろうか?そして、20日は 「反転の火曜日」となったが、月曜日の売りは将来について何を物語っているのだろうか?
一つ目に主要な株価指数は、一握りの時価総額上位銘柄のパフォーマンスによって上昇している。つまり指数の上昇に寄与している銘柄はどんどん少なくなっているため、市場全体のボラティリティーが高まりやすくなっているのだ。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF(iShares Russell 2000 ETF:IWM、格付け「C+」)とSPDR S&P 500 ETF(SPY、格付け「C+」)のパフォーマンスの差を見てみよう。
米国の小型株で構成されるIWMは、過去3カ月間で約1%上昇している。
一方、時価総額上位銘柄の指数寄与度が大きいSPYは約7%上昇している。
二つ目に、COVID-19のデルタ型に対する懸念が、経済活動の再開と旅行関連の投資に大きな影響を与えている。
例えば、米国のすべての主要な航空会社と複数の外国航空会社の株式を保有するUSグローバル・ジェッツETF(U.S.Global Jets ETF:JETS、格付け「D」)は、先月7%下落している。
三つ目は、FRB(米連邦準備理事会)に対する懸念が残っていることだ。
FRBは現在、毎月1200億ドルの住宅ローン担保証券と国債を購入しているが、複数のFRB理事は、最近、テーパリング(量的緩和策の縮小)の議論を始めたいと発言した。
しかし、19日月曜日の動きは、市場の暴落を意味するのだろうか?これらの力は、我々にちょっとした引き戻し以上の影響を与えるだろうか?
今のところ、私はこれらの問いに「ノー」と答える。 20日(火)に市場が反騰したが、たとえそうなっていなかったとしても私は同じことを言うだろう。
その理由は二つある。
まず、新型コロナウイルスのデルタ株によって昨年のような状況にはならないと思っているからである。
現在、何千万人もの人々がワクチンを接種しているので、感染者数を押さえ込んで重症化を防ぐことができる。また、企業活動や消費者の移動に対して、バイデン 政権は、2020年時のような広範囲な行動規制を再び導入することに意欲的ではないからである。
二つ目は、最近厄介なインフレのデータが出ているにもかかわらず、FRBが政策にブレーキをかける可能性は極めて低いからである。
このFRBというグループの政策立案者たちは、おそらく私がこれまで見てきた中で最も市場に忠実だ 。彼らは、絶対に必要でない限り、ウォールストリートの「低金利の資金」のパンチボウルを取り上げることはないだろう。
※パンチボウルとは、パーティーの際に出すお酒の入ったボウルのこと
結論は、売りに転じたからといってパニックになる必要はないということだ。
私は、高格付けの配当収益のある銘柄など、利回り重視の投資戦略に自信を持っているし、貴金属や鉱山銘柄にも自信を持っており、これまで続けてきたセーフマネーの投資戦略を堅持していく方針だ。
それではまた
マイク・ラーソン
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Comment (1)
Taro Yajima
03 8月 2021皆様の投資助言にはいつも励まされるし、活気がわいてくる、とても前向きに物事を考えることができる。知的好奇心が満たされるため、投資を行っていて本当に良かったと思う。素晴らしいアドバイザー・グループである。