アメリカ大手テック企業の解体によってもたらされる恩恵
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- 2020年10月14日
- トピックス
ワシントンの議員たちは、大手テック企業によるデジタル市場での独占的な力を行使した競争妨げ行為に対して規制を強化しようとしており、これはつまり、投資家はアマゾン (AMZN、格付け「B」)やアップル( AAPL, 格付け 「B」)、アルファベット(GOOGL、格付け「B-」)、フェイスブック(FB、格付け「B-」)株を買うべきということだ。
下院司法委員会に提出された文書によると、15か月に及ぶ調査の結果、世界最大のテック企業の解体を勧告された。
このバカげた案は、既存の株主にとっては嬉しいことだ。
議員たちは、大手テック企業は常にそうなる運命をたどっていたと想定しており、さらに悪いことに、彼らは企業が単に技術革新を行うのではなく、競争に勝つために不正を行ったに違いないと考え、そう、実際にはそのとおり、場合によってはコピーを行い、競合他社よりも速く、効果的にコピーを行っているのだ。
アマゾンが市場をリードするクラウドコンピューティングプラットフォームであるAmazon Web Services(AWS)を開始した当初は、従量課金型の仮想コンピュータやクラウドベースのデータストレージの即時の市場はなかった。2004年、AWSはアマゾンのバックエンドで、革新はオープンソースの標準化とアプリケーション・プログラミング・インターフェースへの移行であった。
この戦略は、多くの駆け出しのビジネスが最終的に大きくなるのに役立った。
例えば、 Netflix (NFLX、格付け「C+」) は 、活気のなかった通販DVDレンタル会社から、AWSをパートナーとした世界的なストリーミングメディアの大企業に成長し、ドロップボックス ( DBX, 格付け「D」) 、ピンタレスト、レディット、スペースXにも似たようなストーリーがある。
フェイスブックとアルファベットは、オンラインで非常に多くのマインドシェアを指揮しているため、議員たちにとって格好の標的となっている。同社のプロパティである WhatsApp、Instagram、Google検索、YouTubeは、すべてのスマートフォンダウンロードの最大のシェアであるが、
これは競合がいないからということではなく、彼らが利用者のニーズに答えた良い商品を作った結果である。
ほとんどの場合、これらのオンラインプロパティは、インターネット上のすべての数十億のウェブサイトで注目度を競っていることを忘れがちで、アップルはiPhoneやiPadのアプリケーションを独占しているにもかかわらず、クレジットカードやその他の個人情報を安全に保つことや、悪意のあるソフトウェアから安全を確保することには何の価値もないと考えるのは浅はかであり、アップルのエコシステムの力は、AppStoreの安全性にある。
確かに、大手テックは悪用されてきたこともある。
アマゾンのプロダクトマネージャーたちは、内部データを使ってオンラインストアの売れ筋商品を発掘し、開発し、アンダーカットすることはできないはずで、グーグル検索は、検索アルゴリズムによって収集されたコンテンツの適正化と収益化にもっと注意を払う必要があり、そしてアップルは、Apple Musicが最大の競争相手である場合、iPhoneおよびiPadユーザーからスポティファイ・テクノロジー (SPOT、格付け「D」)の購読料の30%を取るべきではない。
これらの落ち度は改める必要があるが、会社を解体することは的外れだ。
その理由は主に、事業解体しても何も改善されないためで、大手テック企業は、たとえ分断されていても、最も信頼されている状態を維持するだろう。アマゾンとグーグルは、モーニングコンサルトの世論調査で、アメリカで最も信頼されているブランド(米国郵政公社に次ぐ)のそれぞれ2位と3位にランクされ、Facebookの月間アクティブユーザー数は23億人、そして、アップルの顧客ロイヤルティは、消費者向けテックの世界の羨望の的だ。
しかし、議員がAWSをアマゾンから分割し、InstagramとWhatsAppをフェイスブックから切り離し、YouTubeとGoogle Searchをアルファベットから切り離したとしても、株主はまだ分社化された事業を所有することになる。
大手テック企業のビジネスは、それ自体が非常に価値のあるものなのだ。
彼らが最終的に分割される場合、各事業の株価合計は、現在のアマゾンやフェイスブック、アルファベットの株価よりもはるかに価値がある。
App Storeの性質を考えると、アップルが解体できる、もしくは解体されるかは疑わしい。関
昨年10月、ニーダムのアナリストはYouTubeをアルファベットからスピンアウトすべきであり、動画サイトは企業価値と収益に基づいて、独立した企業として3000億ドルの価値があるかもしれないと主張しており、過去のアナリストたちたちは、Google検索の価値を7000億ドルから8000億ドルの間で固定してきた。
現在の価格では、投資家は急成長中のクラウドコンピューティング事業であるGoogle Cloudと、バランスシート上にある1000億ドルの現金を無料で手に入れることができるだろう。
ワシントンの政治家たちがなぜ大手テック企業を解体したがるのか、その理由は簡単で、議員たちは大手テック企業が強すぎると思っているからだ。しかし、大手テックが価格を上げて消費者に害を与えているわけではなく、彼らのサービスは非常に高い人気を維持しており、最終的に投資家はこれらのサービスが無料になることを望むべきだ。
暫定的には、事業解体の憶測による株価下落時に購入するように。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン