「セーフマネー戦略」を取っていれば、J&Jワクチンの接種中断による影響は短期的
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- 2021年4月15日
- トピックス

米国株式市場のここ数カ月に及ぶ断続的な上昇基調は、次の3つの強力な柱に支えられている。
– 米連邦準備理事会(FRB)が行っている超金融緩和政策による膨大な資金供給。
– 米議会によって次々と打ち出される大規模な景気刺激策。
– 加速するCOVID-19のワクチン接種によって、経済がもうすぐ「正常」に戻るという期待感。
ところが4月13日、3つ目の柱が揺らぎ、ニューヨーク株式相場は続落した。投資家にとって喫緊の課題となっているコロナワクチンの副作用問題でさらに悪いことが起こるのではないかという懸念が台頭したのだ。
まずは、ニュースを見ていこう。
米保健当局は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が提供している新型コロナウイルスワクチンを受けた人のうち、ごく少数に極めて稀な血栓症が生じる事例が報告されたことを受け、接種を一時中断するよう勧告した。
米食品医薬品局(FDA)と米疾病対策センター(CDC)によると、6人の女性が血栓症を発症したため、直ちに専門家を招集し、原因と次の対応策を検討するという。
このうち、米疾病対策センター(CDC)が14日に開いた専門家会合では、情報が不十分であるとして今回議題となったジョンソン・アンド・ジョンソン製品コロナワクチンに関する使用の推奨などの結論を見送っている。
ここで重要なのは、「6人」という数字だ。
すでにJ&J製ワクチンを受けた約700万人という数字に比べれば、極めて少ないものであり、血栓症の発症とワクチンとの関連性も確実ではない。
それが事実であると判明したとしても、当保健局は、COVID-19を打ち負かすという大きなメリットが、ごくわずかな合併症のリスクというデメリットを大きく上回ると判断するかもしれないと考えている。
実際に英国と欧州の当局は、アストラゼネカ(AZN)製のワクチンに関して同じような結論に達した。これも、副作用の件数が極めて少ない点が大きいかもしれない。ワクチン接種の中断によるコストとメリットを考慮し、英国と欧州の当局は、接種の続行を決定したのだ。
ここで、1つ注意したいのは、広く普及しているこの2つのワクチンは、他のワクチンとは異なる技術を使っているという点にある。よって、この中断勧告はモデルナ(MRNA)製とファイザー(PFE)/バイオンテック(BNTX)製のワクチン接種には何ら影響しない。
ファイザー製のワクチン接種は約9800万人、モデナ製のワクチン接種は8500万人が受けており、J&J製のワクチン供給の中断は、ワクチン接種推進の壁というよりも、少しつまずいているのようなものだ。
市場を支える、あと2つの柱はどうだろうか?
このニュースがFRBの利上げや量的緩和の縮小を早急に促すことはないだろう。また、バイデン政権がインフラやその他の支出を後退させることもないと考えられる。
むしろ、逆効果になる可能性もある。
このニュースは、公衆衛生の観点からは見れば残念なものだが、市場に壊滅的な打撃を与えるものではなく、経済活動を損なうものでもない。
つまり現在、ニューヨーク株式市場を押し上げている3つの柱が崩れる要素は見当たらないということになる。
よって、私のアドバイスは変わらない。
配当利回りが高く、高評価の「セーフマネー」銘柄にこだわる。
安全のために、キャッシュポジションと短期国債を確保しておく。
そして、金、銀、鉱山株、暗号(仮想)通貨への投資を続ける。資産は、中央銀行による激しい紙幣の増刷や、政府による借金や支出から守ってくれる。
これが、現在のような状況からあなたの資産を守り抜く方法だ。
守るだけでなく、さらに資産を増やす可能性もある。
それでは、また。
マイク・ラーソン
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