最近の上昇後、ボラティリティによって不安定な取引が続く暗号通貨

– ビットコイン(BTC, 格付け「A-」 ）は、先日の2,000ドルの下げから反発し、これまでのところ3％上昇している。

– イーサリアム（ETH、格付け「A」）は4％上昇し、3,000ドルから3,400ドルの間を推移している。

– ビットコインの暗号資産（仮想通貨）市場支配率は先週も変わらず、44.1%で安定していた。

ビットコインは、先日一時的に下落した後、高値に反発し、現在は4万8,000ドル前後で取引されている。

これは歓迎すべき兆候だが、調整の可能性を排除するものではない。暗号資産（仮想通貨）市場は変動が激しく、すでに暗号資産の王様は、7月の安値から60％以上も上昇している。

ビットコインは、これまでの横ばいの取引レンジの上値を超えて急騰した後、最近の上昇分をまだ消化している。7月以降に見られた「2歩進んで1歩下がる」というアプローチを継続することになるかもしれない。

ビットコインは一時的に21日移動平均線を下回ったが、一時的なサポートを見つけた後、すぐに跳ね上がった。7月下旬からの大幅な価格上昇により、ビットコインは現在約4万ドルの200日指数移動平均線（EMA）と約4万2,000ドルの21週EMAを容易に上回った。

以下の図がコインベース（COIN）上でのドル建てのBTCの推移率である。

　

イーサリアムも現在はしっかり反発している。時価総額2位の暗号通貨は、ビットコインよりもさらに大きく21日移動平均を下回ったが、現在はやや大きな動きを見せている。

しかし、ビットコインと同様、短期的な下落が起こる可能性は否定できない。今のところ、この21日移動平均線の上方で取引されているが、下方に落ちた場合の、しっかりとした短期的サポートを得られていない。

ETHの強気のモメンタムの多くは、EIP-1559のアップグレードを背景にしている。8月5日にアップグレードが開始されて以来、現在までに10万ETH以上が燃やされている。これは3億2,000万ドル以上の燃焼量に相当し、供給量が少ないため価格の上昇につながる可能性がある。

以下の図がコインベース（COIN）上でのドル建てのETHの推移率である。

インデックス一覧

広範な暗号市場では、4週間連続の上昇から一転した。しかし、損失は最小限にとどまり、多くのコインが直近のラリーを延長させた。

現在見られるボラティリティは、暗号通貨が最近の利益を消化している動きによるものだ。

ワイス・50・クリプト・インデックス (W50)は2.21%の下落となったが、これはこの分野のボラティリティを考えるとほとんど意味を持たない。

ワイス・50・Ex-BTC・クリプト・インデックス (Ｗ５０Ｘ)は3.64%下落し、ビットコインのパフォーマンスがアルトコインとほぼ一致したことを示している。

パフォーマンスを時価総額別に見てみると、小規模コインが再びリードしていることがわかる。大規模な暗号通貨と中規模な暗号通貨は、依然としてそれなりのパフォーマンスを示し、3つの暗号通貨はそれぞれ小幅な上昇を見せた。

多くの確立されたアルトコインが最近の好調なパフォーマンスを継続したため、ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)は5.62％上昇した。

中規模コインは、ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(ＷＭＣ)が5.94％上昇し、大規模コインとほぼ同じパフォーマンスを示した。

ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス (WSC)は9.64%上昇し、今回も小規模コインが最大の勝者となった。

先週の取引はほとんど問題なく行われ、ボラティリティ前には、アルトコインが全体の利益の多くを提供した。

ビットコインとイーサリアムはその地位を維持しているが、アルトコインがそのアウトパフォーマンスを維持したければ、勢いをつけ始める必要があるだろう。現在のペースを維持できなければ、短期的な下落局面が見られるかもしれない。

サポートが維持されている限り、ポジティブな価格行動に一時的な下落が起こることは健全であることを覚えておいて頂きたい。

今後の推測

過去5週間の価格変動がいかに大きかったかを考えると、暗号資産（仮想通貨）市場が最近の利益を消化していることは理にかなっている。

一直線に上昇することはないため、直近の大きな動きの後には、すぐに大きな調整によって整理される可能性がある。

また、ニュースとしては、暗号通貨が主流な普及に向け一歩進んだ。キューバは、エルサルバドルに続き、ビットコインを法定通貨として採用することになった。政府と中央銀行は、暗号通貨の状況に応じた規制を整備することになる。

FRBのジャクソンホール会議では、毎月1,200億ドルの債券購入計画の縮小決定に、委員会がどのようなアプローチを取るかが注目されている。

FRBのバランスシートはパンデミック発生時から倍増して8兆ドルを超えており、現在の政策は維持できない。

極端な政府支出は将来の財政的苦境を際立たせているが、暗号通貨は従来のシステムに対するヘッジとなる。機関投資家の採用率はすでに急上昇しており、FRBと米国政府が、このような状況を打開しようとしていることを考えると、この傾向はさらに強まるだろう。

健闘を祈る。

サム

※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。