意外なものがS&P500の2倍以上の上昇率⁉︎
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- 2024年2月4日
- トピックス
いきなりですが、クイズです。
下のチャートをご覧ください。
オレンジの線はS&P500、青の線はある鉱物の採掘企業を集めたETFの上昇率です。
2023年、S&P500は約25%も上昇していますが、このETFはなんと59%も上昇。
2023年は大型ハイテク株を多く含むナスダック100もS&P500を超える大きな上昇を見せましたが、実は、このETFはそれ以上に上昇していたのです。
ある鉱物とはなんだと思いますか?
- 投資先としても人気の「金」
- EVに欠かせない「リチウム」
- 至る所で使われる「アルミ」
ごめんなさい。実はどれも違うんです。
ある鉱物とは、、、
昨年、S&P500を上回るリターンを生んだ分野がある。それはウランだ。
私が前回、11月後半にウランの大きなトレンドについて書いたとき、ウランのスポット価格は1ポンドあたり80.50ドルだった。しかし、今は1ポンド106ドルだ。わずか2ヶ月足らずで急上昇している。これによって、ウラン採掘会社の株価やETFは急騰している。
私は過去に何度もウランについて取り上げてきた。Sprott Uranium Miners ETF(URNM)を11月後半に推奨した時に投資していれば、15.7%、9月に推奨した時に投資していれば、29.1%、6月に推奨した時に投資していれば、74.3%、いずれもS&P500を上回るリターンを得ることができた。
ウラン関連の個別銘柄に関して言えば、もっと好調なものもあった。
では、今はウラン株は売り時なのだろうか。それとも、今から買ってももっと上昇する余地があるのだろうか。
カザフスタンの災難
1月12日にウランの価格が急上昇した。これはカザフスタンのウラン採掘会社カザトムプロムが、減産の可能性が高いという予想に変更したからだ。以前は、2024年に生産量を増産すると発表していた。
カザトムプロムが減産の見通しに変更した理由は、ウランの製錬に必要な硫酸の不足と鉱床開発の遅延だ。
カザトムプロムは世界最大のウラン採掘会社で、世界全体の供給量の20%を担っている。そのため、同社の発表によってウラン価格が暴騰した。それまでに1ポンドあたり100ドル付近だったウランのスポット価格は106ドルまで高騰した。
同社のニュースはウラン価格が上昇したきっかけとなったが、他にもウラン価格が上昇する強気材料はたくさんある。
需給のひっ迫
実は、カザトムプロムは今年減産を発表した3番目のウラン会社だった。カザトムプロムの発表の前に、カメコ(CCJ)とフランスの鉱山会社オラノが今年の生産目標を引き下げていたのだ。
また、Sprott Physical Uranium Trust(SRUUF)は買い手がついていなかったウランを買い占めていることも影響している。
需給のひっ迫をさらに悪化させる要因
今現在、建設中の原子炉は57基(そのうち22基が中国)あり、世界中で110基の新たな建設が予定されている。
さらに、最近開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、米国を含む20カ国以上が、世界の実質CO2排出ゼロの達成に向けた大きな一歩として、2050年までに原子力発電の規模を3倍にすることを決めた。
これらはウラン需要をさらに押し上げるだろう!
すでにウランの供給はひっ迫しており、在庫を消化することによって埋められている需要と供給のギャップはさらに大きくなるだろう。
確かに、新たな原子力発電所を建設するには長い時間がかかる。ただ、短期的に見てもウランの需要はある。
以前、日本は54基の原子力発電所があったが、2011年の東日本大震災による福島原発事故(この事故によりウラン価格は急落)の後、全ての原子力発電所の稼働が停止された。それによって余っていたウランは売却されていた。
現在、日本では11基の原子力発電所が再稼働しており、いくつかの原発が再稼働許可を申請している。つまりこれらの発電所は、一旦停止のために売却したウランの在庫を補充するために再度ウランを購入する必要がある。
それだけじゃない!米国をはじめとする西側諸国は、ウクライナ侵攻を続けるロシアからのウラン輸入を禁止する可能性があるのだ。輸入を禁止する前に、欧米の電力会社はすでに動き出しており、ロシア産ウランの輸入を避けている。
これからしばらくは需給のひっ迫はさらに悪化しそうだ。
今あるウランの鉱山不足
実はここ数年、ウラン価格が着実に上昇しているにも関わらず、鉱山の生産量はほとんど変わっていない。
ただ、今年は新たな鉱山が稼働すると見込まれている。カナコード・ジェニュイティのレポートによれば、「今あるプロジェクトだけでは市場のバランスを取り戻すには十分でない。より資本集約的なプロジェクトの開発を促進するためには、取引価格を高水準に維持する必要がある」としている。
ウランはその時の価格で取引されるのではなく、電力会社と供給業者の間で取り決められた長期契約に基づいて取引される。
カメコによると、最近のウラン契約価格は1ポンドあたり68ドルだ。これは2021年1月のウラン契約価格の2倍以上だ。
この価格上昇が今後も維持されるなら、ウランの供給業者はできるだけ生産量を増やすだろう。しかし、新たな供給源が十分に確保できなければ、契約価格も上昇していくことが予想される。
ウランはどこまで上がるのだろうか
ウラン価格は過去にどれくらいまで上昇したのか?
ウランのスポット価格が1ポンドあたり100ドルを突破したのは2007年4月がだった。スポット価格はその2ヶ月後に138ドルと歴史的な高値を記録した。今現在の価値に換算すると、203.20ドル相当だ。
ただその後わずか1年で50ドルまで下落した。
投資家たちが心配なのは、2007年のようにウランがすぐにピークを迎え、その後にすぐ売られることだろう。
ただ、私は今のウラン価格の上昇と、2007年のウラン価格の上昇とでは状況が大きく違うと考えている。2007年は新規生産量と在庫の両方によって供給が過剰となり、その後価値が下がった。しかし、今は供給が追いついていない。
ウランは2007年にピークをつけた後、大きく下落し、やや戻したものの、2011年の原発事故の下落以来、10年間は適切なレンジで取引されてきた。
もう一度原発事故のようなことが起きるかもしれないが、私はそれに賭けるつもりはない。供給が追いつかず、価格が上昇することに賭けている。
また、ウランの価格は、原子力発電にかかる費用のごく一部にすぎない。そのため、ウランが1ポンドあたり200ドルになったとしても、電力消費者である私たちの需要は変わらない。
ウランの価格が高騰すれば、ウラン採掘会社が供給を増やそうとするだろうが、鉱山の開発には何年もかかることは忘れないでいただきたい。
だから、ウランは多くの投資家が考えている以上に長期的に上昇する可能性があると思っている。そんなウランに投資する簡単な方法は、先にも述べたSprott Uranium Miner ETF(URNM)だ。
他にも、グローバルXウランETF(URA)という手段もある。このETFのワイスの格付けは「C」、配当利回りは6%近くある!このETFはウラン関連の大型銘柄を多く含んでいる。
グローバルXウランETF(URA)の私の目標株価は、1株あたり60ドルで、最近の株価のほぼ2倍だ。
これから本当に化けていく可能性のあるウランの個別銘柄については、自分で調査してほしい。
ウランが今、絶賛ブレイク中だ。あなたはこの原子ロケットに乗りたくなるだろう。今すぐ動き出そう。
健闘を祈って。
ショーン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。