市場と経済の「大転換」は間近?
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- 2020年11月15日
- トピックス
「大転換」は間近か?という問いに市場は苦心している。そして当然だが、その問いの答えは投資家には非常に重要だ。
その問いに答える前に、そもそも「大転換」とは何なのか、何故皆がそれについて尋ねているのか、そのためにどのようにしてあなたが投資戦略を大きく変更することを余儀なくされるかについて話そう。
2018年初旬に遡ろう。今とは全く異なる世界だった。COVID-19なんて誰も聞いたことがない。もしこの頃に、「そのうち世界的なパンデミックが起きて世界経済が大混乱に陥り、世界中で120万人以上が死ぬ」と言う者がいたなら、その言葉を聞く者は「あいつは頭がおかしい」と言ったことだろう。
しかし、いずれにしても、市場ではかすかな転換が始まっていることに気づいたかもしれない。高成長環境で最もパフォーマンスを上げる分野がふらつき始めた。不況前の環境下で好調な分野がリードし始めた。
避けられない結論とは?
景気と信用の循環が転換し始め、大きく膨張してガス欠になっていた。ヘッジファンドはそれを理解していた。そして、これら情報通の投資家が戦略を変化させていく中で 驚いたことに、「セーフマネー」 投資は、完全に市場を凌ぎ始めた。
COVID-19の発生により、この傾向は明らかに加速・大きくなっていった。
景気の低迷を崩壊の危機に変えてしまった。そしてそれによって、市場のリーダーの転換はとらえ難い長期的ものだったのに、信じられないほど危険で短期的な完敗に変えてしまった。
この流れを変えたのが、膨大な金銭的・財政的援助だ。しかしその後、春から初夏にあった市場の勢いが薄れ始めた。その勢いは8月下旬に失速した。
そして、今月に早送りしよう。
まず、 我々の次期大統領としてバイデンが推定勝利を手にした(トランプ大統領とその陣営がまだ認めていないが)。しかし、米国議会ではそれに対応して「ブルーウェーブ」(訳注:上院下院両方で民主党が勝利すること)を獲得することはできなかった。こうなる場合、政治は停滞し、市場にとっては歴史的に有利になってきた。
次に、ファイザー(PFE、格付け「C+」)が11月9日(月)の朝に衝撃的な発表を行った。この製薬大手企業は、主力のCOVID-19ワクチン候補が、大規模な臨床試験でボランティアの感染予防に90%以上もの効果があったと発表した。ドイツのビオンテック(BNTX、格付け「D」)と共同開発したワクチンだ。
まだ、研究について完全な詳細を知ることはできていない。まだ重大な課題が残っているし、他の企業による治験はまだ進行中だ。そして、ファイザーが食品医薬品局から2回投与の製品の緊急承認を得たとしても、ワクチンが製造され、広く流通するまでには数ヶ月はかかると考えられる。
しかし、市場は大喜びでこのニュースを歓迎した。ダウ先物は序盤で1,700ポイント以上急騰し、産業分野は最終的に先物の半分程度上昇して取引を終えた。
ここで「大転換」の問いが関係してくる。
ダウは急騰したのに、ナスダックは急落した。金融、エネルギー、その他分野が打撃を受けて、不人気分野がリードした。今は以前最もリードしていたテクノロジー銘柄などがひどく停滞している。多くの在宅勤務関連銘柄が急落した一方、クルーズ客船、ホテル、航空会社が急騰した。
つまり、投資家はついに「バリュー」銘柄を受け入れ、それまで夢中だった「成長株」を捨ててしまったのだ。また、国債や貴金属も売り払った。
では、今は市場へのアプローチを抜本的に見直すタイミングなのか?
簡単に言うと、そう判断するのは「時期尚早」と思う。 ちょっとややこしい答え方になるが、「我々が未だに直面している主な経済的、循環的な問題を考えると、大転換はまだなのでは」と思っている。
11月13日(金)以降に発行するセーフマネーレポート11月号で、その点について調査するつもりだ。 まだ会員になっていない方は、こちらをクリック。
大転換が起きるまで、私はすぐに推奨するポートフォリオに大きな変更を加えるつもりはない。
我々は皆、効果的なCOVID-19ワクチンが来ている可能性があることを嬉しく思うべきだ。そして(ほとんどの)選挙のドラマは過去になった時に分かる。市場が直面する障害はパンデミックと政治だけではない。
だからこそ、セーフマネーのアプローチはあなたにとって依然最適なのである。
それではまた。
マイク・ラーソン