COVID−19ワクチンが市場にもたらす影響
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- 2020年12月10日
- トピックス
英国で承認されたCOVID-19ワクチンを接種した記念すべき一人目は、マーガレット・キーナンさんだった。彼女はコベントリーに住む90歳の女性で、今月8日に英国国民健康サービスの恩恵により、最初の投与を受けた。そして、81歳のウィリアム・シェイクスピアさんが二人目となった。今後英国で数万人もの人々が彼らに続くことだろう。
もし想定されている通り、FDA=米国食品医薬品局が、ファイザー(PFE)とビオンテック(BNTX)によるワクチンを数日中に承認する場合、 数百万人がこれに続くことになる。そしてもう一つ、モデルナ(MRNA)製のワクチンが続き、2021年にはさらに多くのワクチンが承認を得る可能性がある。
しかし市場は、ほとんど気にしていないようだ。どうしてだろうか?
12月2週目の気になる市場の反応と、今後ついての私の相場見通しを合わせて紹介する。
市場の無関心さの一因は、「ニュースで売れ」という昔からの信頼できる市場の習慣から来ている。投資家は、潜在的に大きくプラスになる展開を前に飛びつき買いをすることで知られている。そして先読み買いが報われると、利益確定し始める。それが株価に下降圧力をかけている。
公衆衛生の問題ではなく、市場の視点から見た大きな問題は、予防接種の開始が将来的に景気を刺激する可能性があるか、ということである。
投資家たちは、民主党が上院を奪取する可能性を低下させようとしてきた。2021年1月5日の決戦投票で、ジョージア州の2議席とも民主党候補者が勝利すると、民主党による上院奪取が成功する。
世論は、民主党が上院を奪取した場合、バイデン次期政権は新年早々に大規模な財政プログラムを実行することができると考えている。そして、FRBからさらに低金利政策が放出される可能性が高い。つまり、市場は二段階で公的資金の恩恵を受けることになる。
一方でワクチン接種のプロセスがスムーズかつ迅速に進み、政権移譲と経済が早く軌道に乗った場合、議会から流れてくるお金が減ることはあっても、増えることはなくなってしまう。それは、市場に潤沢な資金を供給しているFRBの抵抗感を強めることになりかねない。
つまり、様々な展開が考えられるのだ。投資家もシナリオを色々と想定している。だから、パンデミックの最前線で前向きなニュースが伝えられても、迷いや警戒心と共に迎えられるのは当然なのだ。
では私のアドバイスは何だろうか?
大局観を見失わないようにしよう。市場が小刻みに揺れる度に気にし過ぎてはいけない。ワクチン接種のプロセスや、それが景気刺激になり得るかについての議論は、実際に物事がどう展開するか分かるまで時間がかかることを意識しよう。
つまり最善の策は、時を経て実証された投資と、どう物事が動こうとうまくいく戦略に焦点を当てることである。
オルタナティブ投資を上回る「セーフマネー」銘柄やETFを検討しよう。 (訳注:オルタナティブ投資とは、上場株式や債券などの従来の投資資産以外の新しい投資対象や投資手法のこと。)
2018年以降、驚異的な利益を積み重ねてきた金、銀、鉱業銘柄を検討しよう。 株価指数を大幅に上回っている、評価の高い有望な仮想通貨を検討しよう。
もしくは一般的に、欧州でワクチン投与が始まる前から良いパフォーマンスを上げていた投資方法を続けよう。
これまでと同様に、今後数週間、数ヶ月後も、これらのものであなたが失望することはないと考えている。
それではまた。
マイク・ラーソン