バイデン政権による過去最大級の景気支援策を正面で受けよう
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- 2021年3月9日
- トピックス
過去最大規模の景気刺激策が、アメリカ議会上院で可決された。そしてバイデン大統領は、3月14日までに最終的な法案に署名したいと考えている。
当然、市場は次に何が来るかに注目している。バイデン政権の答えは、大多数の米国人が同意しているインフラ支出と見られている。
米国の道路や橋、空港、送電網、ブロードバンドネットワーク、その他のインフラを技術的に見れば、合格点にある。しかし、あまり良いものではない。アメリカ土木学会によると、我々は「D+」でなんとかやっている状態なのだ。
もし、あなたがシカゴの路上のくぼみでタイヤを痛めたり、ニューヨークのラガーディア空港で不快な思いをしたり、フロリダでは弱めの台風でも「停電になるのは何故だろう」と思ったことがあるなら、きっと私が言っていることがよくお分かりだと思う。
ここ数年の歴代大統領の政権下では、タイミングの悪さなどもあってインフラ支出が妨げられてきたようだ。
オバマ大統領は、世界金融危機後の景気刺激策の第一弾を実施した後、共和党の反対で苦戦したが、トランプ大統領の取り組みは焦点が定まらず、行き当たりばったりだった。こうして「インフラ週間」という言葉が、お笑いのネタやSNS用語になってしまっている。
しかし、ここはバイデン大統領の数十年にわたる議会経験の手腕を発揮するところだ。彼はインフラ支出のため、超党派的に幅広い支持が集めている。忘れてはならないのは、これにより、数十億ドルの連邦政府による支出と数千もの雇用を民主・共和の両党の支持地盤に振り向ける点だ。
バイデン政権も、明らかに財源をめぐり「借りて使う」政策を、恐れず積極的に推し進めている。1.9兆ドルの景気刺激法案がそれを証明している。そして、インフラ投資はその次に優先されることだ。
では、これが投資家にどう影響するだろうか?2、3関係する点がある。
まず、「借りて使う」政策はあなたがお金を借りて使うのと変わらない。つまり、巨額の米国債を売るということである。
債券市場は2月に入ってバイデン大統領の政策対応に反抗する動きを見せた。直近の7年債入札では、応札倍率が2.04倍と最近の平均だった2.35倍を大きく下回り、短期債中心に利回りの急上昇が見られたことから、政府は高い金利を払って借金することを余儀なくされた。今後数カ月でこの圧力が緩和するとは思えない。
米国債に投資する資金の割合は、減らしたままの方が良いだろう。これらの資金のいくらかは、より適切なオルタナティブ資産に振り向けよう。暗号通貨や金、銀、鉱山銘柄などが考えられるかもしれない。
2つ目は、利益を求めながらバイデン政権による景気刺激策として降り注ぐ公的資金の行方を追おう。政府支出から利益を得るであろう、景気循環の影響を受けやすい分野や銘柄に回す資金を増やそう。
具体的な投資先としては、インフラ関連の幅広い銘柄や事業に投資するETF(上場投資信託)などが注目されよう。ワイス・レーティングス・データベースの中で、1年間のリターンがしっかりしている評価の高いETFは、①ファースト・トラスト・ナスダック・クリーンエッジ・スマートグリッド・インデックス・ファンド(GRID)と②グローバルX米国インフラストラクチャー・ディベロップメントETF(BATS:PAVE)などがある。
インフラ投資関連として有望な個別企業を掘り下げていくのも良いと思う。
政府はインフラに関してはもう待ったなしの状況だ。それは、市場にも、あなたについても言えることだ。
それではまた
マイク・ラーソン