政府は「今はお祭り騒ぎ、代償は後で払う」ことを選択
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- 2021年5月8日
- トピックス
「今すぐ購入、支払いは後から!」
これは自動車メーカーの営業マンが、時代を超え、さまざまなメディアで伝えてきた、おなじみの客寄せ文句だ。
皆さんも見たり聞いたりしたことがあるはずだ。あまりにもよく見聞きするので、このフレーズに驚くこともないだろう。
このフレーズの意味するところは、書類に署名すれば、お金を払わずとも、新しくてカッコいい車で出かけられるということだ。
もちろん、その車にコストがかからない、というわけではない。
頭金を支払わない場合は、より大きなローンを組んで購入することになる。 月々の支払額を低く抑えようと思ったら、ローン期間が長くなり、支払利息の総額も増える。
つまり、後先考えずに買い物をする人は、結局、長期間に渡って代償を払うことになる。
米政府と米国企業も、同様の誘い文句に乗っている。
目先の利益を得る政策や行動に注力する一方で、現在大盤振る舞いすることで後々降りかかってくる長期的な苦痛を無視している。
その結果、現在の市場環境は「今はお祭り騒ぎ、代償は後で払う!」という状況になった。
それは、今我々に大きなチャンスをもたらす可能性がある。 しかし、同時に将来的にはあなたの財産が莫大なリスクで脅かされる可能性もある。
トランプ政権の終わり頃から現在のバイデン大統領の就任後までに連邦政府が支出を約束した金額を考えてみよう。
– 12月下旬の9000億ドル相当のCOVID-19関連パッケージ。
– 3月上旬のCOVID-19による1.9兆ドル相当の救済策。
– 3月下旬に発表された2.3兆ドル規模のインフラ支出提案。
– 4月下旬に発表された1.8兆円相当の社会的支出と税の提案。
ここ5カ月の間に、約7兆ドルもの財政刺激策やその他の税・支出プログラムが提案されたことになる。
これほどの支出は米国史上、前例がない。
ここに、莫大な額の国債を発行して現時点での成長を買い、金利コストの上昇や財政的な柔軟性の低下といった代償の心配は後回しにする、という考えが表れている。
そして、米国企業も同じ計画だ。
2020年の米国の国債や社債の発行額を示すグラフをご覧いただきたい。
これが米国だけの話ではなかったことがお分かりいただけるだろう。
2020年に米国債の発行額が爆発的に膨れ上がったのと同様、社債の発行額も爆発的に増えた。住宅ローン担保証券なども同様だった。
この借入金の多くは、経済の中に流れ込む。 そして今後もさらに多くの金額が市場に流れ込むことになる。これにより、企業もしばらくは増収増益するだろうし、個人や機関投資家による投機も活発化するだろう。
私は昨年この事態を予測していたために、セーフマネーレポートの購読者にこの事態から益を得る投資先を推奨してきた。
しかし、私は長期的な代償を見過ごしている訳ではない。 あなたにもこの点を見過ごさないようにおすすめする。 最終的に、この繁栄の後に対価を支払わなければならなくなる。
そして、米政府と米国企業が財政的に慎重な道を選んだ場合よりも、その代償ははるかに無茶なものとなることだろう。
投資戦略としては、「セーフマネー」で利益を上げるために、今できることを行おう。
つまり、利益確定を行う準備と、より防御的な姿勢に切り替える準備を整えることだ。遅かれ早かれ、その時は来る。
それではまた
マイク・ラーソン
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