銅が10年ぶりの高値を記録、買うには遅すぎるか?
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- 2021年5月11日
- トピックス
銅価格が、約10年ぶりに過去最高値を更新した。
国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は、7日に一時1トンあたり1万250ドル前後まで上昇し、2011年2月に付けた過去最高値を更新した。
コロナ禍からの経済再開や過去最大規模の経済対策などの追い風を受けて銅需要が拡大するとの期待感が高まったことが背景だ。
ここで朗報なのは、銅のレバレッジがかかっている銅鉱山銘柄の購入が、まだだったとしても大きな利益を掴むことができるということだ。
ウォールストリートの著名なアナリストたちの最初の目標価格は、1万ドルだったが、その価格水準に達するのは、おそらく年末になるだろうと予想されていた。今はまだ5月だ。
銅価格の過去最高値更新を受けてバンク・オブ・アメリカ(BAC)とゴールドマン・サックス(GS)のアナリストは、目標価格を再び引き上げており、最大で1万3000ドルになるとしている。
私は、彼らの目標価格が低すぎるのではないかと強く思っている。
供給不足が深刻化している
ウォールストリートでは、今年の銅の需給に関する注目点は、以下の2点があった。
まず1つ目は、世界経済がパンデミックから立ち直り、様々な産業需要が喚起されることによる需要の急増。
2つ目は、供給の逼迫だ。パンデミックの影響で、複数の鉱山が閉鎖された。しかしこれは、古い銅山の鉱石が枯渇してしまうという長期的な供給問題の上に重なった問題なのだ。
銅は長い間、価格が低すぎて新たな銅山の開拓が難しい状況にあった。
確かに、現在は価格が高くなっているものの、採掘の可能性を秘めた鉱床が生産可能な鉱山になるまでには何年もの月日を要する。
来年はさらに逼迫する
銅価格の価格高騰の背景にあるのが、来年は供給不足がさらに深刻になると予測されている点だ。今年185トンと予想されている需給不足は、来年には369トンへと倍増する。
2023年までには、供給がある程度緩和されるかもしれない。先に述べたように、新しい銅山の立ち上げには何年もかかるため、新しい鉱山によって緩和される訳ではなく、価格の上昇によって、銅スクラップのリサイクルが活発になる可能性があるためだ。
EVという切り札
電気自動車(EV)市場もある。EVは急速に普及しており、アナリストによるEVの販売車数予想は、どこまでも増加する一方だ。
ご存じないかもしれないが、EVには大量の銅が使われている。
従来の自動車では、18〜49ポンドの銅が使用されている。
PHEV(プラグインハイブリッド車)には約132ポンド、BEV(バッテリー式電気自動車)には約183ポンドの銅が使用されており、電気バスや電気トラックは、さらに多くの銅を含む。
車両ごとに異なるが、時間が経つにつれて、生産システムはより効率的になる(そして、願わくば銅の使用量が減少する)。
だからこそ、切り札であり、世界のEV市場がどれだけの銅を必要とするかは、まだ未知数だ。
コモディティ・スーパーサイクルは依然として初期段階
私はこれまで、世界がコモディティのスーパーサイクルに突入しているという事実について、繰り返し述べてきた。
銅だけでなく、木材や鉄鋼、アルミニウム、パラジウムの高騰にも表れている。トウモロコシや小麦などの価格も爆発的に上昇している。
しかし、これはまだ始まったばかりだ。コモディティのスーパーサイクルは、まだまだ続く。
なぜそれが分かるのかと言うと、
A.スーパーサイクルは何年にも渡って続くものである。
B.コモディティが株式市場との正常な関係に戻るためには、もっと上昇しならなければならない。
この意味を理解するために、主要コモディティのバスケットであるCRBインデックスをS&P500で割った20年チャートを見て頂きたい。
底値からの反発は、まだ始まったばかりであることが分かる。
まだ先は長い。そして、前述したような理由から、銅はこの流れを牽引するコモディティの1つになると考えられる。
繰り返しになるが、これはまだ初期の段階だ。私たちはスーパーサイクルの中にいる。これからも続く動きを見逃すわけにはいかないだろう。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
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