加速するプラスチック需要に後押しされる石油需要
- 1312 Views
- 2021年8月1日
- トピックス
最近、原油価格が再び上昇基調となっている。先週末には74ドル台を回復する場面が見られた。
米国や欧州での経済や石油需要の回復が期待されていることが背景にある。
一方、多くの投資家は、グローバルで進む電気自動車へのシフトの中で、石油の需要が枯渇し、「石油の時代は終わった」と懸念している。
ゴールドマン・サックス(GS)は、輸送用の石油需要が早ければ2026年にピークを迎えると予測しており、それが石油業界の投資家の不安を煽っている。
だが、世界で最も経済的に成長している地域の一つであり、石油消費量の上位4カ国のうち3カ国を占めるアジアを見れば、未来の行方が見えてくるはずだ。
アジアの石油精製会社は、巨大な新工場を建設して拡大を続けている。さらに、これらの工場は、少なくとも50年の寿命が見込まれている。
アジアの各製油所は、ガソリンの需要は緩やかに減少すると予想しているが、一方で船舶用ディーゼルの需要は数十年にわたって安定的に推移すると予想している。
ジェット燃料は、おそらくさらに長い間、空の旅に欠かせないものとなるだろう。さらに重要なことは、石油化学製品、特にプラスチックとしての需要が急速に増加することが予測される点だ。
実際、世界のプラスチック消費量は、2050年までに2019年比で60%以上増加して6億トン近くになり、製油所は日量700万バレルの追加原料を必要としている。
これは、エネルギーコンサルタント会社、FGEの分析によるものだ。
また、国際エネルギー機関(IEA)によると、2030年までの世界の石油需要の伸びのうち、プラスチックやポリマーなどの石油化学製品が3分の1以上を占めるという。
そして、この状況に、次の各要素が加わる。
アジアの中産階級の急増
これにより、消費財やプラスチックのほか、ポリマーパッキンや建築資材の需要が高まる。自動車メーカーが軽量化のためにプラスチックを多用するようになれば、EVのメガトレンドもプラスチックブームの追い風となるだろう。
米国の原油在庫の減少
米エネルギー情報局(EIA)が発表した今週の石油在庫統計では、アメリカでの経済活動の再開に伴うエネルギー需要の改善が続いていることから、原油やガソリンの在庫が市場予想以上に減少した。
目前に迫る夏のドライブシーズン
旅のシーズンになると、 必ず石油の備蓄が減る。今年の夏は、特に1年間家に閉じこもっていた後となるため、夏休みの旅行者数は記録的に増加する可能性がある。これは燃料需要の増加を意味し、そして供給の逼迫を意味する。その結果、価格が上昇する可能性がある。
上記を総合すると、今年の夏には1バレルあたり76ドルから80ドルに達する可能性が高い。
今後数十年にわたって石油需要を牽引するのは、プラスチックやその他のポリマー需要で、今回ご紹介したように石油業界の未来を懸念する必要はないと分析している。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。