インフレは、あなたが思う以上に加速している
- 814 Views
- 2021年7月29日
- トピックス
パウエルFRB議長からバイデン大統領まで、誰もがインフレは「一過性のもの」であり、抑制されていると口を揃えて言っている。
今回は、彼らが間違っている理由と、どのように動くべきかをご紹介したい。
私は、FRBが永遠にインフレを無視することはできないだろうと確信している。インフレについては、現実になるずっと前から何度も警告を繰り返してきた。
最新のインフレ率は本当にひどいものだ。
インフレ率を測る方法は様々あるが、どれも良い数字ではない。米労働統計局(BLS)が測定した消費者物価指数(CPI)のインフレ率は、現在、年率4.4%以上で推移している。
これは、13年以上ぶりのインフレ加速だ。ところが、インフレは政府が公表しているよりも、もっとひどい。
なぜわかるのか?
家賃も含めた不動産のコストが高騰している。だが、BLSは半年に一度しか「シェルター」データ(住居を所有または賃借している世帯が支払うコストの平均的な月額総額)を収集していない。
BLSによると、シェルターコストは、下がっていた以前に比べて、僅かに上がっただけだ。HOYAキャピタルのチャートにあるように、実際の現在のシェルターコストを加えた場合、インフレ率は7%近くになる。
注意していただきたいのは、米国の債券市場は、あたかもFRBがインフレをコントロールしているかのように振る舞っているという点だ。
FRBがインフレの手綱を握っていないと市場が判断した場合、どのように変わるだろうか?
あなたはFRBを信じるのか、それともあなたの「偽りの目」を信じるのか?
一方、パウエル議長がインフレリスクを認めようとしていないことが明らかになった。むしろ、「時間の経過とともに減少する一時的な要因である」と主張している。
FRBのこの姿勢は、国の債務残高(対GDP比)が130%で、国の借金や赤字に対応しなければならないため、金利を上げる余裕がないことが原因だと考えられる。
恐ろしい数字は他にもある。
– FRBは毎月約1200億ドルのペースで買い入れを行っており、その内訳は、国債と政府系住宅ローン担保証券である。
– 最近、FRBは国債を約5.2兆ドル、モーゲージ債は2.3兆ドル保有していた。
– FRBは、2019年末には、発行済の国債全体の14%を保有していたのに対し、2020年末時点では約22%を保有していた。
– この夏、FRBのバランスシートだけで8兆ドルに達した。これは、2008年半ばの9000億ドルから大きく増加しており、9兆ドルに向かっている。
その結果、インフレ率が上昇すれば、FRBはより積極的に利上げの口先介入を行い、債券市場の参加者を囲い込むことになるだろう。
これは、投資家にとってどのような意味を持つのだろうか?
私は、FRBが利上げを可能な限り先延ばしにするという単純な理由から、インフレを乗り切れる銘柄のポジションを保有する一方で、FRBが利上げした場合に苦戦する銘柄を避けるべきではないかと考えている。
納屋が燃えているとき、FRBはその暑さを夏の気候のせいにするものだ。
インフレは、ある銘柄には不利に、また、ある銘柄には有利に働く。そしてもちろん、市場には他のリスクもある。
FRBは、「ウォール・ストリートへのマネー洪水」プログラムを縮小することについて議論し始めている。このお金によって株価は押し上げられた。FRBが早々に甘い蜜を取り上げてしまえば、きっと沈んでしまうだろう。
そして、再び増加に転じている新型コロナウイルス感染者数や入院件数。そのため、今後は少し注意が必要だろう。
私が推奨しているインフレの銘柄は、SPDRポートフォリオTIPS ETF(SPIP)だ。
このバスケットの物価連動米国債(TIPS:Treasury Inflation-Protectioned Securities)は上昇しており、さらに毎月の配当もある。
自分自身で銘柄を購入する場合は、しっかりと下調べを行って頂きたい。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。