今、金鉱業株を買うべきか?
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- 2021年9月19日
- トピックス
ダウとS&P500は、先週何度も最高値を更新した。テック系や金融系など、安価なマネーにレバレッジをかけた銘柄が市場を牽引している。
しかし、金鉱業株は低迷している。
詳しくお話ししよう。
以下は、年初からの主要産業の週次パフォーマンスチャートだ。
このグラフにさらに多くの産業を加えると、見づらくなってしまう。S&P500を赤で示したのは、この上方が望ましいからだ。
このチャートでそれを実現しているのは、エネルギー、金融、リチウムの3業種だけだ。
そのうちエネルギーと金融は、理にかなっている。どちらもリフレトレードによるものであり、現在、FRB、財務省、議会が総力を挙げて、米国を史上最大のインフレの実験場にしている。
つまり、米国の国家負債が2020年に入ってから約5.2兆ドル増加したということだ。これには、可決されたばかりの1兆ドル規模のインフラ法案や、議会が取り組んでいる3.5兆ドル規模の追加インフラ計画は含まれていない。
5.2兆ドルは、一世帯あたり4万ドルの借金が増えたことを意味する。まさにインフレだ。
リチウムもS&P500を上回り、むしろ全体をリードしている。私はこれまで、リチウム株がリードし続ける理由をご説明してきた。
このチャートを見ると、今の所、一般消費財はS&P500のパフォーマンスを下回っていることがわかるが、それは、米議会による3200万世帯、つまり約6000万人の子供たちの親への現金給付で変わるかもしれない。6歳未満の子供1人につき300ドル、6歳以上の子供1人につき250ドルが給付される。消費者への支援増加だ。
だが、金は低迷しており、ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)で追跡している金鉱業株は、底値付近でくすぶっている。
今、世間は好景気に沸いており、米議会が大盤振る舞いを行っている。誰も安全や安心、安定、そしてリアルマネーのことなど気にかけていない。増刷のできない金には見向きもしない。
私は、この金融の科学実験がうまく続くことを願っているが、失敗した場合は、5兆2千億ドルというツケが返ってくる。そして、現在の国全体の負債は28兆ドルを超えており、ツケの温床となる可能性を秘めている。
繰り返し述べるが、私はすべてがうまくいくことを願っている。しかし、もしこの科学実験が失敗したら、あなたは金を所有したくなるだろう。
そして、価格が下がっている今のうちに買っておかないと後悔するだろう。
結局のところ、
1.中央銀行は金を大量に購入している。
世界の中央銀行による購入額は、過去5年間の上半期の平均と比較して、今年の上半期に39%増加した。トルコ、インド、ブラジル、ポーランド、タイ、カザフスタン、アラブ首長国連邦(UAE)などが主要な買い手だ。
中央銀行が知っていて、あなたが知らないことは何かを考えてみて頂きたい。
2.造幣局から金貨がどんどん販売されている。
最新データによると、米国の造幣局が今年の7月までに販売したの金貨は過去2番目に多い。米国だけではない。オーストラリアのパース造幣局の金貨販売量が過去10年間で最高水準に達し、中国でも金の購入ペースが上がっているようだ。
誰かが何かを期待しているような気がする。
3.鉱山会社は、次の動きに向けて値幅を縮小させている。
金と鉱業株は1年以上もレンジで取引されている。前回、鉱山会社がこのような低水準にあったのは、GDXが一気に27%上昇する直前のことだった。
先ほどのグラフを見て頂きたい。高値で買いたいとは思わないだろう。買うなら、安い時だ。そして、金鉱業株は今が安い。
米国の金融機関のエンジンが加速して、未来に向けて轟音を立てている今、心に留めておくべきことがある。誰も最悪の事態が起こるとは考えていない。次のブラックスワンが金に幸運をもたらしても不思議ではない。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
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