インフレのピークから利益を得る方法
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- 2022年12月1日
- トピックス
このところ、インフレのピークアウトの兆しを受け、市場はジグザグに上昇している。
10月の消費者物価指数が予想を上回り、株価は急騰した。このニュースを受けてS&P500は5.5%上昇し、ハイテク株比率の高いナスダックは2020年3月以来最高の7.4%増となった。
食品とエネルギーを除くコアCPIでさえ、前月比0.3%増、年間6.3%増で予想を下回る上昇となった。
ウォールストリートの銀行や他の機関投資家は大喜びだ。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミストであるマーク・ヤマディ氏は、「インフレが間違いなくピークに達しており、状況が変わりつつあることは明らかだ」と述べた。
下のチャートは、2020年に入ってからの消費者物価指数の年次推移を示したものだ。着実に上昇してきたインフレ率は、ようやく正しい方向へ向かっている。
私は「FRB主導のボラティリティに備えよう」で、インフレ抑制がFRBの最優先課題であることを述べた。投資家はFRBによる方向転換を求めており、インフレの好材料が市場の見通しを明るくしている。
これまでにもFRBの方向転換への期待で相場は上昇したが、パウエルFRB議長のタカ派的な発言でその期待は打ち砕かれた。彼は11月2日に、「利上げの停止は時期尚早だ」 と発言している。 そして、それが市場の下落を招いた。 今、データは楽観論者に有利な方向に変化している。
減速しているのは消費者物価だけではない。生産者物価指数は年率8%の上昇を示し、卸売物価指数の年率8.4%という予想を下回る結果となった。生産者物価の安定は、企業が余分なコストを購入者に転嫁する必要がないため、消費者にとっても良いことだ。
投資家はまだ危機を脱したわけではないが、12月にまた一つ良い結果が出れば、FRBが緩和する可能性が大幅に高まるだろう。11月の消費者物価指数は12月13日、つまりFRBが次の決定を下す1日前に発表される予定となっている。
今のところ、市場は12月の会合に対する期待値の調整を続けている。4回連続の75ベーシスポイントの引き上げ後、市場はようやく減速を予想するようになった。
今月発表されたインフレ統計の前に、FF先物は12月の利上げを50ベーシスポイントと75ベーシスポイントのほぼ同率で織り込んでいた。現在、50ベーシスポイントの引き上げの確率は約85%。11月のインフレ率は非常に重要だが、最近のデータでは再び堅調な数値が示される可能性がある。
どのように行動するべきか。
FRBが利上げを鈍化させれば、引き締めサイクルで苦戦した銘柄は反発に転じるだろう。そうなると、成長株は短期的に強いモメンタムを伴ってアウトパフォームする可能性がある。
成長株は、金利上昇により将来キャッシュフローの割引率が上昇したため、大きく打ちのめされた。そのキャッシュフローが直近ではなく、近い将来に見込まれるため、バリュエーションに打撃を与えたのだ。
私は、経済の不確実性が高まっていることから、配当株やバリュー株のパフォーマンスを今後も非常に強気で見ているが、成長株は方向転換時の短期トレードとして非常に有効な可能性がある。
バンガード・グロースETF (VUG) は、市場のセンチメントが改善する間、トレンドに乗るのに役立つかもしれない。米国最大の成長株を集めたインデックスに連動し、高い収益成長を続ける企業を対象にしたファンドだ。VUGは249社を保有しており、1株当たりの平均利益成長率は26.9%となっている。
同ファンドの組入れ上位3銘柄はアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)で、純資産額1370億ドルのうち約30%を占めている。VUGの経費率はわずか0.04%で、1日の平均取引量は約140万株だ。
VUGのチャートを見ると、FRBが金利を引き上げた間に大きく売られたことがわかる。
しかし、方向転換への楽観的な見方が広まり、ファンドは勢いを取り戻しつつある。VUGは目先の抵抗線を突き破り、今はそのレベルをサポートとして確立しようとしている。
このような状況下で、投資家心理の変化を利用する絶好の機会が存在する可能性がある。
またすぐにご紹介していきたい。
あなたの成功を願って。
ロドリック
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