コーヒー業界のアップル(スタバではありません)
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- 2022年11月30日
- トピックス
こんにちは。
Weiss Ratings Japanの安居です。
前回は
「チャップリンに学ぶ銘柄分析方法」
というテーマで
・最近の市場トレンド
・世界恐慌を予期したチャップリン
・「実態を見る」ことの重要性
・米国株で実態を見る2つの方法
と盛りだくさんの内容をお届けしました ^^)
流石に無料メルマガでお届けするには
ボリュームが多すぎるかな…と不安だったのですが
ものすごくたくさんのコメントをいただきました。
ありがとうございます。
その一部を紹介させていただきます ^^)
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チャップリン大好きなのですが、このようなエピソードははじめて知りました。とても分かりやすかったです。
やまちゃん 様
いつもとても参考になっています。とてもわかりやすい解説で、どう行動すればいいのかわからなかったり不安になったりした時の指標になっています。
メニール 様
気付かされる事が多く、参考にしています。実体験、投資との向き合い方の関連付けも腑に落ちるように読む事が出来ました。
T.S 様
「実態を見ることの大切さ」にすごく共感しました!僕も一消費者の観点で株を購入しています。(中略。投資されている銘柄の具体例をたくさんいただきました)。それなしでは「僕の生活が成り立たないもの」を提供している会社の株を僕は買います。消費者として、鋭くアンテナを張っていればどの株を買えばいいかは自ずと見えてくるものですよね。
K.O 様
自分の眼を鍛えるのに、このメルマガ役に立ちます。会計用語にしても、実地の身近なエピソードで説明して下さるので助かります。
K.T 様
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前回のメルマガでは、
株価という一種の幻想ではなく、
より実態に近いものを見て投資しよう
投資している銘柄の実態を見にいこう
ということをお伝えしました。
実際、そのような投資法を普段から
実践されている方もいらっしゃり
このメルマガを読まれている方は
高い金融リテラシーの持ち主なんだと
改めて実感しました。
これからも引き締めて
価値ある情報を届けて行きたいと思います ^^)
前回のメルマガはこちらからご覧ください。
↓
チャップリンに学ぶ銘柄分析方法
今回は「最高ランク米国株25銘柄」から
見つけた新しい投資チャンスを
紹介したいと思いますがその前に、、、
株式市場は引き続き調子がいいですね ^^
10月中頃から15%ほど上昇しています。
少し前のメルマガで
「ここから半年は100%上昇する?」
とお伝えしましたが、
今のところ順調に上昇してくれています。
チャートには200日移動平均(青ライン)
も表示しています。
6月中旬から8月後半にかけて
20%近く上昇しましたがその時は
200日移動平均線に跳ね返され
さらに大きく下落してしまいました。
目先ではこのラインを
超えていけるかが課題です
ここを明確に超えて安定すると
しばらくは上昇が続きそうに思いますが
昨日は下落してしまったので
まだなんとも言えません ^^;
ということで、今回は
先行き不透明な今こそ投資したい銘柄
「最高ランク米国株25銘柄」12月号で
23位にランクインした
キューリグ・ドクター・ペッパー
(以下「KDP」)
を取り上げたいと思います。
その評価がこちら。
それぞれの要素がバランスよく
リスクリターンに優れた銘柄だと
評価されていますね。
Weiss Ratingsはリスクをかなり厳しく評価するので
Risk評価がB-というのはかなり高い水準です。
長期的な株価推移はこちら。
上場した2008年からの月次チャートです。
綺麗な右肩上がりだとわかりますね。
上場してからのリターン(配当再投資込み)の
リターンは1000%を超え、
S&P500の3倍以上の資産成長を実現
数字を見る限り、文句のつけようがありませんが
僕が「最高ランク米国株25銘柄」の中で
KDPをチョイスした理由は
むしろ逆
です。
こちらは25銘柄それぞれの過去1ヶ月、3ヶ月
1年、3年のリターンを一覧にしたもの。
全ての銘柄が、全ての期間で
プラスリターンになっています。
最高ランク米国株に選ばれる銘柄は
さすがですね ^^)
しかし、今回取り上げるKDPのリターンは
他の銘柄と比べて高くありません。
過去1年のリターンは、
25銘柄の中で最低です。
それこそ、僕が今回
KDPを取り上げようと思った理由。
なぜリターンが低い銘柄を取り上げるのか?
には2つの意図があります。
1つは、最高ランク認定された優良銘柄なのに
株価が上昇していないということは
ここからの上昇余地が大きいのではないか?
と考えられること。
もう一つは、過去のリターンが低いのに
最高ランク認定されたということは
株価以外の要素が突出しているのではないか?
と考えられるからです。
僕は長期投資がメインで、気に入った銘柄は
繰り返し買い増したいタイプ。
なので、上値を追いかけるより、
動きが鈍い優良銘柄を見つけて
長期的に株数を増やすのが好きです。
最高ランク米国株の中で
「あれ、この銘柄あまり上昇していないぞ…?」
というのを見つけるとワクワクします ^^)
KDPはまさにそんな株。
ということで、評価や株価は既にお見せしたので、
KDPの事業内容や決算情報を見ていきましょう。
まずKDPの事業について。
キューリグ・ドクター・ペッパーという名前で
ピンときた方もいるかもしれませんが、
「ドクターペッパー」というコーラ飲料を
提供する飲料メーカーです。
12月号レポートの第8位には
ペプシコがランクインしていますが、
その競合ということですね。
日本ではあまり知名度がありませんが
このボトルを見たことがある方は多いと思います
↓
“File:50 cl Dr Pepper, september 2017.jpg” by Kuriosatempel is licensed under CC BY-SA 4.0. To view a copy of this license, visit https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/?ref=openverse.
僕もKDPについては
ドクターペッパーっていう
マイナーなコーラを作ってる会社だよね?
それならコカコーラかペプシコに
投資した方が絶対いいじゃん。
って思っていました。
が、、、、
社名の「キューリグ」の方に
面白い秘密が隠されていました
ドクターペッパーが商品名であるように
キューリグも商品名なんです。
つまり、KDPは
ドクターペッパーというコーラ製品と
キューリグという製品の2つを軸にした
企業だということ。
キューリグは「シングルカップコーヒー」で
高いシェアを握るコーヒーブランドです。
シングルカップコーヒーとは
カプセルで抽出するタイプのコーヒーで、
日本ではネスプレッソが有名ですね。
こちらをご覧ください。
少し古いデータですが、
2008年にコーヒー市場全体のたった1.73%だった
シングルカップコーヒーは、2016年には
36.50%を占めるほどに成長しました。
2020年から2026年まで
さらに毎年7%以上のペースで
成長するという情報もあります。
技術の進歩で美味しい
カプセルコーヒーがたくさん登場したこと。
コロナ禍でおうち時間の増加
家でコーヒーを楽しむ人が増えたこと。
途上国を含め、世界的に
ターゲット層の中流階級が増加していること。
個人的にもこの分野には
かなり強い成長エンジンが
あるように思えます ^^)
そんなシングルカップコーヒーの米国シェアがこちら。
キューリググリーンマウンテン
というブランドが23%を超えて堂々の1位です。
KDPの決算資料によるとキューリグの
コーヒーマシンはアメリカで3600万世帯が利用
当然、
キューリグのコーヒーマシンを使う人は
キューリグのコーヒーカプセルを
継続的に購入し続けます。
3600万人がほぼ毎日、継続的に
キューリグの商品を使い続けるということなので
莫大で、しかも安定した利益が見込めそうですね。
でも、決算情報を読んでいて
「???」なところがありました。
それがこちら↓
===
In coffee, retail dollar consumption of single-serve pods manufactured by KDP in IRi tracked channels grew 2.7% versus prior year and KDP manufactured share remained strong, advancing to 83.2% for the year. ※KDP決算資料
意訳:KDP 社製シングルサーブポッドの小売金額が増加し、シェアは83.2%と引き続き好調に推移
===
コーヒーマシンのシェアは23%なのに
コーヒーカプセルの売上シェアが
83.2%もあるんです。
スマホ出荷台数は16%なのに
利益シェアは80%を占めるアップルのような
強力な付加価値を持っているんでしょうか?
もちろんその側面もあると思いますが
調べていると面白いことに気づきました。
それがこちら。
スタバのコーヒーカプセルですが
「キューリグ」と書かれていますよね。
先ほどお見せしたシングルカップコーヒーの
米国シェアでは1位がキューリグ
2位がプライベートラベル(独自ブランド)
そして3位がスタバでした。
そのスタバのカプセルは
キューリグ製だったんです。
(ネスレ製もあります)
他にもいろいろ見つけました。
マクドナルドが提供するマックカフェ
日本でも有名なコーヒーチェーンのタリーズ
世界的食品メーカーユニリーバが提供する紅茶ブランドのリプトン
アメリカで圧倒的シェアを持つドーナツチェーンのダンキン
ダンキンはシングルカップコーヒーの米国シェア第4位です。
なので先ほどお見せしたこの画像↓
1位がキューリグ
2位が独自ブランド
3位がスターバックス
4位がダンキン
となっていますが、3位と4位も
キューリグが製造しているとなれば、、、
決算資料にあった
コーヒーカプセルの小売金額シェア83.2%
というのも納得ですね。
先ほどもお見せしたように
この市場には強力な成長エンジンがあり、
実際に大きく成長しています。
そこで圧倒的なシェアを握っているのが
KDPだったんです。
カプセルコーヒーは
ほとんど毎日消耗する日用品です。
日用品は日々消耗するので
売上が安定するという強みがありますが、
一方でスイッチングコストが低いという
弱みもあります。
P&Gのシャンプーを
ユニリーバのシャンプーに切り替えるのに
特別なコストは必要ないですよね。
気分次第で切り替えることができます。
ですが、カプセルコーヒーは
コーヒーマシン本体に依存するので
スイッチングコストが高いんです。
スイッチングコストが高い日用品
これはかなり特殊で、
長期投資家にとってありがたい魅力です。
似たようなビジネスを上げるとしたら
アップルでしょう。
iPhoneを使う人は、
App Storeでアプリをダウンロードし
iCloudにデータを保存すると思います。
こうして日常的にアップルに
利益を残していくわけです。
それをアンドロイドに切り替えるのは
かなりのスイッチングコストが必要です。
だから多くのハイテク企業はあの手この手で
”囲い込み戦略”をとっているんです。
KDPという日本ではマイナーな飲料メーカーは
・強力な成長エンジンを持つ産業で
圧倒的に高いシェアを握り
・アップルなどハイテク企業が行う
囲い込み戦略を日用品で展開している
そんな企業だと言うことができそうです。
さらに業績も見ていこうと思ったのですが、
長くなりすぎるのでここまでにします ^^;
KDPという企業の存在は知っていましたが
「ドクターペッパーっていう
マイナーなコーラメーカー」
というイメージしかなかったので
調べようと思ったことはありませんでした。
それが最近、最高ランク米国株25銘柄に選ばれたことで
「え、そんなにすごい企業なの?」と思って
いろいろ調べてみたら、予想以上にすごい企業でした ^^)
日本ではカプセルコーヒー=ネスレなので
Weiss Ratingsの格付けを見ていなければ
気づくことがなかった投資チャンスだと思います。
僕はここからさらに
・業績や財務状況
・ネスレなど競合との優位性
・インフレへの対応力
・コーヒー産業全体の成長性
・KDPの他事業
などを追加リサーチした上で
長期投資としてKDPを検討します。
最高ランク米国株25銘柄には
意外な銘柄、聞いたことがない銘柄
が他にもたくさん選ばれています。
でもそのそれぞれが、なんらかの強みを持って
実際にうまくビジネスを行なっているからこそ
最高ランク米国株と認定されているわけです。
ぜひ、ご自身の投資スタンスにあった
投資チャンスを探してみてください ^^)
↓
P.S.
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