雇用統計の好結果を受け、暗号資産は堅調に推移
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- 2022年12月5日
- トピックス
好調な11月の雇用統計結果を受け、ビットコイン(BTC、格付け「A-」)と広範な暗号資産(仮想通貨)市場は、 横ばいで取引されている。
非農業部門雇用者数は26万3000人増加し、エコノミスト予想の20万人を大きく上回った。さらに、11月の平均時給の伸びは予想の2倍の0.6%だった。
通常、市場は好材料に反応するものだが、投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)の方向転換を求めている状況では話が異なる。
ありがたいことに、先週水曜日に、パウエルFRB議長が講演で利上げペースを緩める時期は「早ければ12月会合で訪れるかもしれない」と述べたことで、市場はようやく求めていたものを手に入れた。
演説後、 暗号資産と伝統的な株式は共に跳ね上がった。
しかし、労働市場が堅調であれば、中央銀行の利上げペースに対する考え方が変わる可能性がある。インフレ対策が最優先課題であることに変わりはないため、FRBはまだ利上げの余地があると判断するかもしれない。
現在、ビットコインは再び1万7000ドルを超えようとしており、1ポイント未満の下落にとどまっている。
パウエル議長の講演後、同資産は21日移動平均の1万6500ドル付近を飛び越えたが、注目すべき重要な水準は1万5500ドルだ。
最近の1万5500ドルから1万7500ドルの取引レンジの下限を下回る終値は、暗号の冬にさらなる下落を示唆する可能性がある。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
これに対し、イーサリアム(ETH、格付け「B」)は、ビットコインよりも好調な動きを見せている。今のところ日足でわずかな上昇を記録しており、勢いを取り戻しつつある。
BTCは10%ほど低い水準にある一方で、ETHは堅調に推移し、10月中旬の水準に近い値で取引されている。
時価総額で2番目に大きいこの暗号資産は、弱気市場の安値である約880ドルを上回る十分な余裕がある。ETHの(市場のセンチメントが弱まっている環境でさえ)回復力のある価格トレンドを考慮すると、深刻な市場の下落ない限り、ETHがこのレベルを試すことはないだろう。
ビットコインと同様に、イーサリアムも先週水曜日の上昇時に21日移動平均線である1200ドル前後を突破した。FTXの影響による困難な状況にもかかわらず、この勢いを持続させることができると見られる。
イーサリアムが880ドルを52週安値として確立することができれば、暗号の冬の終わりに近づいているため、より広範な市場にとって良い兆候となるだろう。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
インデックス一覧
暗号資産(仮想通貨)市場は、パウエル議長の講演で上昇し、プラスで週を終えた。ほとんどの暗号資産は、週半ばにボラティリティを経験したにもかかわらず、上昇することができた。
ワイス・50・クリプト・インデックス(W50)は2.89%上昇し、ほとんどの資産がわずかにプラスで週を終えた。
ワイス・50・Ex-BTC・インデックス(W50X)は3.28%上昇し、ビットコインがほとんどのアルトコインとほぼ同程度のパフォーマンスを示したことが分かる。
パフォーマンスを時価総額別に見てみると、各インデックス間の差はほとんどない。それでも、中規模コインは小規模コインや大規模コインをやや下回った。
大規模コインは、ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)が5.13%上昇し、僅差でトップとなった。
中規模コインは、ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(WMC)が3.56%上昇し、最も低い上昇率となった。
小規模コインは、大規模コインのパフォーマンスにわずかに及ばず、ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス(WSC)は5.11%上昇した。
ほとんどの暗号資産は、FTXの破綻による乱高下後、依然として安定を図っているが、最も重要なのは、重要なサポートレベル上を維持することだ。
FRB が軸足を移す可能性が高いと市場が判断した場合、FTX の破綻がもたらす波及効果に大きく左右されることになる。当面は、ビットコインとイーサリアムに方向性を求めることになりそうだ。
今後の推測
暗号資産(仮想通貨)市場は、FTXによる連鎖的な損害の可能性と、FRBの方向転換に対する期待の高まりで、投資家が交差している。
しかし、短期的な政策の方向転換がなくとも、暗号資産の普及が進むにつれ、暗号資産の見通しは改善され続けている。
先週木曜日の個人消費支出を含む、予想を下回るインフレ率は、FRBに利上げペースの減速を確信させる可能性がある。しかし、インフレ率が2%の目標に遠く及ばず、失業率も3.7%と低いままであることを考えると、今回の強い雇用統計には疑問が残る。
大規模な破産や規制を求める声の中、暗号資産に対するセンチメントは悪化しているが、マクロ経済状況の改善は次の上昇の下地となる可能性がある。
健闘を祈る。
サム
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