原油価格、3つの下落理由と3つの上昇理由
- 1848 Views
- 2022年12月5日
- トピックス
市場というのは不思議なもので、ある方向に猛烈に走り出したかと思うと、また別の方向に猛烈に向かう。今、原油が暴落している動きがそうだ。
実際、私は底が近いと考えている。
また、原油はそろそろ持ち直し、高値に向かって準備するのではないかとも見ている。その理由を3つ、そしてどのように行動すればよいか、素晴らしい方法を1つご紹介したい。
下落理由1:
まず、原油価格が先月の高値から17%下落し、1年ぶりの安値に近い水準にあることについて見てみよう。
この要因の1つは、原油価格の急落は感謝祭時期の風物詩である点だ。季節的な要因関係でほぼ毎年起こる。通常、買い手が魅力的に感じる価格まで下がるだけだ。
下落理由2:
2つ目の要因は、季節要因に加えて今年はロシアの原油を市場から排除することを目的とした制裁が失敗したことが重なった点だ。これらの制裁は全く機能していない。
制裁は、ヨーロッパへのロシアの石油の流れを止めるものでもない。しかも、ロシアの生産量は2023年半ばには戦前の水準まで上昇すると予測されている。
下落理由3:
3つ目は、新型コロナウィルスの規制をほとんど解除・緩和すると言ってからわずか2週間で、中国が再び締め付けを行っていることだ。 正直言って、私は2022年の原油価格見通しに、中国の新型コロナウィルスに対する規制強化が含めていなかった。だからこそ、今回の原油の急落に驚いている。
中国は50以上の都市で人々に自宅待機を命じた。その結果、長引く封鎖に不満を持った市民が暴動を起こしている。このため、原油トレーダーはさらに神経質になっている。そして、神経質な彼らは原油を売ってしまう。
これは、米国の原油ベンチマークであるウエスト・テキサス・インターミディエイトのチャートだ。
原油は9月につけた安値を割り込んだばかりであることがわかる。チャート的には、原油が2021年12月の安値である1バレル67ドル以下に達するまで、障害となるものはあまりないため、もう一段下げるだろう。
正確な価格の底値がどこなのかは分からないが、近いうちに分かるだろう。その理由を説明しよう。
上昇理由1:米国の生産量は増加しているが、注釈つき
米エネルギー情報局(EIA)は、米国の原油生産量は今年が日量平均1170万バレル、来年は1240万バレルになると予想している。これは、2019年に記録した過去最高を上回る。
生産量が増えれば価格が下がるということではないか?
さて、来年の石油生産量予測には注釈が必要だ。EIAは、引き上げられた生産量見通しを引き下げ続けている。実際、ロイター通信は最近、EIAの最新予測は増加予想を21%引き下げたと指摘している。
より長期的に見ると、EIAの2022年末の生産量増加予測は、今年初めの半分に過ぎない。
そして、石油は代替可能なコモディティであるため、これは重要な点だ。米国の原油は世界中で売られている。実は、米国の原油輸出量は、EIAの最新データである8月に、なんと1億1324万バレルを記録している。
過去10年間で54,562%も増加していることになる。
米国の生産者がより低いコストで燃料を供給し続けることができる限り、彼らは最も高い入札者に売り、輸出は増加し続けるだろう。その分、国内での価格は上がるはずだ。
上昇理由2:政府が買い始める
バイデン米大統領は、原油価格の高騰を抑えるため、今年、国の戦略石油備蓄(SPR)から1億6500万バレルの原油を放出した。12月にさらに1500万バレルを放出し、これで売却プログラムは終了となる。
SPRの石油は、すでに40年以上ぶりの低水準にある。次に、米政府は、SPRを補充する必要がある。政府は、1バレルあたり67ドルから72ドルの間で原油を購入するとしている。
原油がもう一段下がれば、私の予想通り、原油はちょうど「買い」のレンジに入ることになる。
バイデン大統領がSPRの補給を怠るとは思えない。現在、共和党が下院を支配しており、バイデン大統領のSPR放出について調査を開始すると言っている。
このことは、米政府が目標価格の72ドルを超えても原油を買い続ける可能性があることを物語っている。
上昇理由3:商業用の石油備蓄は少ない
米国の商業用原油在庫は、1年前より減少しただけでなく、このチャートの灰色の部分である5年レンジを下回った。
特に米政府が売りから買いに転じる場合、状況はほとんど変わらないだろう。
クリスマスに向けて原油価格は高騰すると思われる。少しどころではないかもしれない。
投資家はどう対応すべきか
過去に推奨したエネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLE)は、好調な動きを見せたが、今回はXLEをアウトパフォームし、次の原油価格の高騰にも非常に良い結果をもたらすであろう銘柄をご紹介したい。
この過去2カ月のパフォーマンスチャートを見てみよう。
この2カ月間、XLEで追跡している石油株は29.32%の上昇となり、素晴らしい上昇を見せた。これはS&P500(8.77%上昇)よりも良く、同時期に2.83%下落した原油よりも確実に良いものだ。
しかし、ここでの真の勝者はヴァンエック石油サービスETF (OIH)であり、同期間になんと45%も上昇している。
OIHは、原油価格の上昇と米国の堅調な原油輸出に対応するため、良好なポジションにあるはずだ。さらに掘り下げて、OIH の中でアウトパフォームする可能性のある個別銘柄を探すのも良いだろう。
重要なのは、原油は季節的に低水準にあり、ロシアと中国の動向がそれに拍車をかけているという点だ。次の上昇局面はすぐそこだ。正しい銘柄を選べば、最大限に活用することができるだろう。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。