テスラがEVの次は、人型ロボットにチャレンジ!
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- 2024年1月6日
- トピックス
ご存知の方もいるかもしれませんが、実はテスラは2021年に人型ロボットを開発することを発表していました。
それから実際に、2022年9月「Bumblebee」、2023年5月「Optimus Gen 1」の2つのモデルが発表されており、その最新モデル「Optimus Gen 2」が2023年12月12日に発表されました。
このテスラの人型ロボットには、テスラ車に使われる最新技術がふんだんに採用されています。
その両目にはテスラ車の自動運転機能に搭載されているのと同じカメラ、動作トレーニングにはテスラが開発したスーパーコンピューター「Dojo」が使われているのです。
マスク氏はこの人型ロボットについて、「最終的に自動車事業よりも価値があることがわかるだろう」と発言するほど力を入れ始めています。
ただ、ジョン・マークマン氏は、投資家が注目すべきなのはOptimusのようなロボット事業ではなく、テスラの売上や利益を生み出している事業だと言います。
それではマークマン氏の記事をご覧ください。
ある大手の投資調査会社によると、人工知能(AI)はビッグバンの瞬間を迎えている。
12月中旬、テスラ(TSLA)は、新型二足歩行ロボット「Optimus Gen 2」を発表した。これは2023年5月に公開した「Optimus Gen 1」からアップグレードしたものだ。モルガン・スタンレー(MS)のアナリストは、近い将来、テスラに急速な成長が起こるだろうと考えている。
EV大手であるテスラの株を買おうと考えている人にとって、これは決定的な瞬間となるはずだ。
というのも、モルガン・スタンレーの調査によると、テスラはOptimusの開発で何か大きなことを掴んだとしている。現在のAIは、複雑で難解な計算をしたり、ChatGPTのような対話をしたりすることができる。だが、12月15日付の調査報告書によると、そのAIが人型ロボットに組み込まれ、知性と自我を持つヒューマノイド・ロボットへと移行すると予想している。それはカンブリア爆発のような瞬間が訪れる可能性があるということだ。
カンブリア爆発は約5億3800万年前に起きたと科学者が化石を分析することで明らかにした。それまではほとんど動くことができなかった生物が消滅し、今日の生物と同じような運動能力を持つ生物が誕生した。それは生命進化のビッグバンと呼ばれるような瞬間だった。
科学者たちは、この瞬間以降、すべてが変わり、人類の進化につながったと考えている。
Optimusはロボット工学におけるビッグバンになる可能性を秘めている。モルガン・スタンレーのアナリストは、世界の労働市場の30%を破壊する可能性があり、それが30兆ドルのチャンスになると考えている。
しかし、30兆ドルの機会となるにはまだまだ多くの課題が残っている。
Optimusは2021年にコンセプトが発表された。しかし、そのときはコンセプトのみで、ロボット開発に必要なスタッフを雇用することさえ始まっていなかったため、当時、多くの専門家は非現実的だと考えていた。
テックジャーナリストたちは、当初のOptimusの発表を、踊る人間という面白いもの程度に収めてしまった。
イーロン・マスクは2022年、機械学習のために作られたスーパーコンピューター「Dojo」を発表した。また、2023年の初めには開発に10億ドルを投じることも発表した。
このスーパーコンピューターは、路上を走行する車両から送られてくる大量の動画データを取り込み、処理を行っている。イーロン・マスクは「Dojoがなくても完全自動運転は実現できる」と発言しているが、Dojoは完全自動運転に欠かせない画像認識とその処理アルゴリズムを加速させることになる。
モルガン・スタンレーのアナリストは、Dojo、そしてデータを収集する何百万台ものテスラ車が、Optimusの急速な開発を促進する基盤になると見ている。
しかし、投資家は一休みするべきだ。
すでにあるものに集中する
モルガン・スタンレーのテスラに対するシナリオは壮大で、行き過ぎかもしれない。
ソフトウェア開発に関しては、テスラは競合他社を大きく引き離している。注目を集めている電気自動車は、「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるように、ソフトウェアが使われている。つまりコードが設計、開発、運用のあらゆる側面を支えている。
NHTSA(自動車や運転者の安全を監視する米国運輸省の部局)によると、安全性に関するリコールでさえ、iPhoneの不具合を修正する程度の、単純なソフトウェアアップデートで済むようになった。
テスラ株の買い評価の人たちにとって問題なのは、EVメーカーであるテスラが今はまだ、自動車メーカーとして主に評価されていることだ。AIの二足歩行ロボットが話の議題に上がるのは当分先のことだろう。
モルガン・スタンレーのアナリストはテスラについて380ドルの目標株価を提示した。この数字の根拠は、
- 中核である自動車事業:86ドル
- まだリリースされていない配車サービスのテスラ・モビリティ:82ドル
- ソフトウェア(テスラは車両オペレーティングシステムのアプリを運営している):41ドル
- ソーラーおよびバッテリー事業であるテスラ・エナジー:48ドル
- テスラ保険:8ドル
- プレミアムコネクティビティ事業のネットワークサービス:115ドル
となっている。
これらはすべて素晴らしい事業だ。しかし、モルガンのアナリストは、実際にはまだ存在しない事業に基づいてテスラ株を評価している。
そして、Optimusは生物が運動能力を獲得した時期であるカンブリア紀の瞬間にいるのかもしれないが、その時代からこれまでの5億3800万年という時間は、新技術の成果が現れるのを待つには長すぎる。それはイーロン・マスクの粘り強さをとってもだ。その間も売上と利益は重要である。
テスラは、真の先見の明を持つイーロン・マスクが経営する素晴らしいビジネスだ。テスラの自動車に関するストーリーを考えると、ほとんどの投資家はテスラを保有すべきだ。同社の製品計画が優れており、オペレーショナル・エクセレンス(企業の競争優位性を構築すること)は絶え間なく改善されている。さらに、EV普及競争においてトップに君臨しており、非常に魅力的だ。
ただ、欧米の投資家の多くはEVの重要性を見逃していがちだ。彼らは狭い視野で考えすぎている。自動車市場はグローバルで、明らかにEV採用に移行している。企業としていち早くEVに移行すると、明確な利点がある。
世界のEV販売台数は、2020年以降4倍増の4100万台に達した。そして、中国とヨーロッパがその80%を占めている。
また、コックス・オートモーティブのアナリストは10月、2023年の米国におけるEVの販売台数が史上初めて100万台に達する勢いだと指摘した。
自動車メーカーの各社は、短期的な利益を守るために、活気に満ちている長期的なEV市場をテスラに譲っている。しかし、これは適した戦略ではない。
ガソリン車に頼る自動車会社は、グローバルな舞台で競争するためにソフトウェアを搭載した車、そしてEV開発に投資する必要がある。
したがって、Optimusがテスラの方向性を変えるかもしれないが、賢明な投資家は圧倒的なEV事業があるからこそ、その株を買うことを検討し続けるべきだ。
健闘を祈って。
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。