グーグルがChatGPT超えの最強生成AIを発表!?
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- 2023年12月29日
- トピックス
グーグルが12月6日に発表した生成AI基盤「Gemini」
この発表を受けてたった1日で、株価は5.3%も急騰。
最上位モデルの「Gemini Ultra」は数学、歴史など57科目の知識や問題解決力のテストで人間の専門家を超えるスコアの残し、ChatGPTの最新モデル「GPT-4」を、32の指標のうち、30もの項目で上回る結果を出したとされています。
しかし、一部では「Geminiの実演動画が、編集されたフェイク動画だった」という声も。
ただ、Weiss Ratingsのアナリスト、ジョン・マークマン氏はフェイク動画だ!というような否定的な意見は、投資家にとって大きなチャンスになると言います。
なぜ、一見良くなさそうな否定的なニュースが投資家にとってはチャンスとなるのか?
この記事では、マークマン氏が、当時は否定的な意見を受けながらも、現在までに1万2480%の株価上昇を見せた企業を例に、その理由を教えてくれています。
グーグルが12月に発表した新たなAIソフトウェアは実に見事だ。批判的な人はこれをまた疑っているが、投資家にとっては大きなチャンスだ。
グーグルは12月6日、OpenAIの対話型AI「ChatGPT」に対抗して、「Gemini」を発表した。
そこで披露されたデモンストレーションは素晴らしいもので、GeminiがChatGPTを超える新たなツールだと期待させるものだった。しかし一部の専門家は、このデモンストレーションはフェイクで、Geminiが実際より賢く見える巧妙なトリックが使われていると述べている。
しかし、このような懐疑的な意見を持つ人は完全に的外れだ。その理由については続きを見てほしい。
フェイクではないニュース
思わず息を呑んでしまうような見出しがあちこちにある。「Gemini」は偽物だ、と。
どうやら、「Gemini」のデモンストレーション動画の一部が編集されていたようだ。このAIソフトウェアツールがプレゼンターに素早く応答できているように見せていた。
それはつまり、グーグルはAIの覇権争いでOpenAIに大きく遅れをとっている、そしてグーグルのAI技術はそれほど大したものではない、ということを意味している。
アルス・テクニカの記者はこう見解を述べている。「この1年、新興企業であるOpenAIは、生成AI技術で先行し、グーグルに恥をかかせてきた。」
テッククランチの記事ではこう結論づける。「実際にところ、動画は一連の文字列と静止画を入念に編集されたものだ。実際のやり取りがどのようなものかを、事実を曲げて伝えるために、明らかに切り取って、短くしていた。」
はっきり言って、このデモンストレーションはGeminiの披露というより、グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)傘下のディープマインド社が開発したAIソフトウェアに注目させるためのものだった。
ChatGPTは、Transformerと呼ばれる人工知能の基盤を元にしている。そして、このTransformerを開発したのが、ディープマインドのエンジニアチームだった。
ディープマインドは他にも、AI分野に素晴らしい功績を残している。コンピュータが人間に打ち勝つのが最も難しい分野と考えられていた囲碁で、世界のトップ棋士を破った「AlphaGo」だけでなく、「生物学における過去50年で最大のブレークスルー」とまで言わしめたタンパク質構造の解析を行うAIソフトウェア「AlphaFold」などを開発した。
例えば、タンパク質は折りたたまれる構造によって役割が異なる。50年もの間で、生物学者たちはこの一見、ランダムに見えるプロセスを理解しようと悪戦苦闘してきた。折りたたみ問題を解決することは、よりスピーディな創薬や材料科学の大きな進歩につながる可能性があるのだ。
そのタンパク質の折りたたみ構造を解析するソフトウェア「AlphaFold」は、ディープマインドによって2021年に公開され、2億以上のタンパク質予測情報を科学者が誰でも利用できるようにした。そして現在、ヒトタンパク質の立体構造の98.5%が予測可能となっている。
これらのことからわかるように、グーグルがAIで遅れをとっているというのは事実ではない。また、これまでのところ同社のAIの成果が印象に残っていないというのも大きな誤解である。というのも、「AlphaFold」は実際に190カ国以上、120万人以上の研究者に利用されているようだ。
このような新たなテクノロジーには、否定的な意見がつきものだ。
2018年、グーグルはユーザーの代わりに電話をするAIソフトウェアツール「Duplex」を発表した。このツールでは、AIを活用した自動音声通話技術によって、人間の代わりに予約を取ることができる。
実際にこれに受け答えした者は、会話の相手がAIだとは気づかなかった。
ジャーナリストたちは、すぐにこの発表に疑問を呈した。ヴァニティ・フェア誌は、この発表がフェイクであることを示唆した。しかし結局、2年も経たないうちに、この製品は商業ようコールセンターで使われるようになったのだ。
投資家は楽観主義を選ぶべき
否定的な意見を持つ人たちは、グーグルやその他大手のハイテク企業が成し遂げたことを普段から過小評価している。活用事例があるにもかかわらず、特にAIには懐疑的だ。このような否定的なアプローチをすることは簡単だ。しかし、それは間違っていることが多い。
AIは技術革命の始まりだ。生成AIは実在し、見事なものであり、将来すべてのコンピューティングのあり方を変えるだろう。
これは新世代の半導体、ソフトウェア、そして1兆ドル規模のデータセンター全体が刷新されることを意味する。投資家は、専門家の否定的な意見を歓迎すべきだ。その理由は、否定的な意見は今のところ、株価を下げるからだ。
約10年前、私は投資家にエヌビディア(NVDA)株の購入を推奨した。当時、同社はAIの開発において事実上の独走状態だった。
否定的な意見を述べる人たちは、このテクノロジーは何の役にも立たないだろう、エヌビディアの幹部たちが行った投資は水の泡だ、と嘲笑した。ただ、実際は私の最初の推奨以来、株価は1万2480%上昇した。
このような技術革新のサイクルにはエヌビディアのような勝者が現れるだろう。アルファベットのようなすでに巨大企業となっているものでも、技術革新のサイクルの勝者となり、莫大なリターンを生む可能性が十分にある。
次のサイクルから利益を得る唯一の方法は、楽観的に投資し、否定的な意見を無視することだ。
健闘を祈って。
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。