クラウドがアマゾンの未来の鍵を握る理由とは?
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- 2021年4月26日
- トピックス
クラウド・コンピューティングへの移行は、まだ始まったばかりである。
どの大手企業に投資のチャンスを見出すべきだろうか。
最近では新しいリーダーを決定したアマゾンに特別な注意を払う必要があるだろう。
アマゾンが手掛けているAWSのクラウドコンピュート部門は、目を見張るような大きな成長を遂げている。
AWSとは、「Amazon Web Services」の略で、Amazonが提供している100以上のクラウド・コンピューティング・サービスだ。
クラウドは、デジタルトランスフォーメーションの中心であり、そのトレンドは活況を呈している。
これまでAWSは、2006年以降に急成長しているにもかかわらず、投資家の間では評判があまり芳しくない。
背景には、余ったサーバーの容量や処理能力、データ・ストレージを売る事業は安定していないのではないかと考えているためだ。
アマゾンは、電子商取引の収益が急増していることを伝える方がはるかに簡単なのであろう。
アマゾンの売上高は、2020年第4四半期に史上初めて1000億ドルを超え北米のオンライン販売では圧倒的なシェア47%を獲得している。
しかし、圧倒的な成長を見せているアマゾンの未来は、クラウドが鍵を握っていると言っても過言ではない。
アマゾンは、2020年第4四半期の決算発表時にAWSの創業者で現在のリーダーであるアンディ・ジャッシー氏が、2021年第3四半期にジェフ・ベゾス氏の後任として最高経営責任者に就任することを明らかにした。
一方でジェフ・ベゾス氏は退任することとなった。
ベゾス氏は、シアトルの自宅のガレージからアマゾンを始めたことは有名な話で、毎日オンラインで注文のあった本の山を家族のSUVに積み込み、ベゾス氏自ら地元の郵便局に配達していた。
当時からオンラインストアを維持するために無数のウェブサーバーとソフトウェアシステムに多額の資金を注ぎ込んでおり、その部門の余剰キャパシティが、後にアンディ・ジャッシー氏率いるAWSとなった。
実はアマゾンの次のリーダーは約1年前に決定されていたのだ。
当時、ベゾス氏唯一の直属の幹部で、同社のコンシューマー事業を率いていたジャッシー氏(53)とジェフ・ウィルケ氏(52)は、共に1990年代後半にアマゾンに入社し、同社を巨大企業へと成長させることに尽力したため、ベゾス氏が退任する際には、いずれかが後任になるだろうと広く考えられていた。
しかし、その後の2020年8月にウィルケ氏は思いがけず引退の道を選び、2021年の第1四半期末までに退社することになった。
アマゾンにおけるジャッシー氏の台頭は、現在全精力を傾けている事業でAWSがより大きな役割を果たすことを明確に示しているものだろう。
コロナ渦の2020年第4四半期にAWSで勢いが加速したのは、金融サービスを筆頭にメディアやテクノロジー、旅行、Eコマース、電力会社、自動車の各分野だ。
注目すべき取引先は、JPモルガン・チェース(JPM)やバイアコムCBS (VIAC)、ツイッター(TWTR)、世界最大の航空アライアンスであるスターアライアンス・インターナショナル・コーポレーション(STAL)、メルカドリーブル(MELI)、シーメンス(SMAWF)、BMWグループなど。
これらの企業はいずれもアナログ・ビジネスからデジタルへの移行を進めている。
例えばバイアコムCBSの場合、クラウドには425のリニア放送チャンネルと40のメディアセンターを移行する必要がある。
また、バイアコムCBSが抱える優良なコンテンツは、すべてのデータがデジタル化されることにより効率的にストリーミングすることができる上、米国内で主流となっていたケーブルテレビのプロバイダーを完全に回避することができるようになるのだ。
この結果、バイアコムCBSは、AWSを使って新しいチャンネルをより早く立ち上げ、リアルタイムですべてのデータを分析して収益化することを強く望んでいるという。
つまりバイアコムCBSは、クラウドにより中途半端なビジネス・モデルの束縛から解放されようとしているのだ。
IT調査会社のガートナーによると、クラウドコンピューティングサービスの世界市場は2020年に2360億ドルに達する見通しだ。さらに2022年までには3550億ドルに達すると予測している。
クラウドは、ほとんどのデジタル・トランス・フォーメーションへの入口である。
企業はその先にある新しいビジネス・モデルの構築に向けて勢いよく動き出しており、クラウドで自らが想像する未来の姿を実現しようとしている。
経験豊富な投資家は、クラウドでビジネス・モデルの変革に立ち向かっている企業を捉えるべき時代にあると認識すべきではないだろうか。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン