グーグルは完全なサステナビリティへ
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- 2021年10月10日
- トピックス
現代のCEOは、製品を発売するだけでなく、プロの投資家を惹きつけながら企業責任という政治的な問題を解決しなければならない。
アルファベット(GOOGL)のピチャイCEOは、すでにGoogle Campusの仮設ステージに足を踏み入れている。
ピチャイCEOは、先日、I/O開発者会議のホストとして、コードについて語ることもできるが、その代わりに彼は可能な限りグーグルらしい方法でサステナビリティについて語る場面があった。
グーグルの基盤となっているのは、世界中に配置している21のデータセンターだ。このデータセンターは、資源を大量に消費する上、何千マイルもの光ケーブルで結んだネットワークであるため、環境に配慮したビジネスとは言えない。
これらの巨大なモノリスは無数のコンピュータサーバとスイッチで満たされており、日々のウェブ検索やデジタル広告、クラウドサービスを何十億も動かしている。
昨年4月のTime誌の報道によると、アリゾナ州の新しい施設では、すべての機械を冷やすために毎日100万ガロンの水を消費している。
2020年2月にScience誌に掲載された報告によると、データセンターの消費電力は、全世界の電力の1%を使用していることが明らかになった。非常の多い消費量だが、現代のデータセンターは、インターネットに精通した企業が消費量を減らす工夫をすることで、はるかに効率的になっているという良いニュースもある。
アルファベットはさらに一歩進んでいる。
2007年に同社が大企業として初めてカーボンニュートラルを達成したことは、検索大手である同社が使用したすべての炭素ベースの電力を、再生可能エネルギーまたはクレジットで相殺したことを示す格好の方法であった。
ピチャイCEOは、2017年までにグーグルの最大かつ最新のデータセンターが電力の90%を再生可能エネルギーから得ていることを明かにしている、そして2030年までにすべての施設をクリーンで再生可能な電力で24時間稼働させることを約束している。
データセンターは意図的に世界中に散らばっているため日光があまり当たらない場所があるほか、人口密度の高い地域では風力発電ができない場所もある。
しかし、このような制約がある中でもグーグルは大きな反撃に出ている。
ピチャイ氏はデンマークの新しいデータセンターでは既存の風力発電のエネルギーを増強するために、新たに5つの太陽光発電所が設置されたと述べている。
グーグルは得意とする分野で最善を尽くしており、同社のエンジニアはコンピューターの処理をより効率的に、またクリーンエネルギーの制限を回避しやすいスケジュールで実行するためのソフトウェアシステムを構築している。
これは「Carbon-Intelligent Computing Platform」と呼ばれる、人工知能を使ってGoogleネットワーク全体の中の処理をその時に再生可能エネルギーが最も豊富な場所にシフトさせるという、業界初の試みである。
このグーグルのノウハウが、新しいキャンパスをよりサステナビリティなものにしている。
これは、アルファベットにとって重要な実験となるだろう。大企業が持つ大きな競争力は、非常に大きなアイデアを社内で試すことを可能にする。ソフトウェアを使って電力を必要とするコンピュータの処理をネットワーク上で地理的に移動させることは販売可能なサービスである。
このプロセスを何千ものグーグルのワークロードでテストすることは、エンジニアが直面する難点を打開することに役立つ。
しかし、長期投資家がアルファベット株の購入を検討すべき理由はそれだけではない。
論理的な根拠は、「サステナビリティ」である。
いわゆるESG(環境・社会・企業統治)投資は、30兆円規模の市場セグメントで、2025年には53兆円に達すると予想されている。
投資家は明らかに、環境に配慮し、社会的活動を行い、責任ある企業統治を行っている企業を求めている。アルファベットはこのセグメントのリーダーであり、機関投資家の資金運用担当者にとってはマストアイテムとなっていると言えるだろう。
賢明な投資家は、目先の低迷期を利用して購入することを検討すべきである。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン
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