ハイテク企業の勝者と敗者
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- 2022年3月1日
- トピックス
投資家の皆さんは、勝者と敗者を区別するために、1つの重要なことを行う必要がある。
大きなトレンドを理解することは、投資を成功させるための重要な要素だが、最も重要なのは、競争相手と見せかけの相手を見分けることだ。
この違いは先週、パンデミック初期の勝者であるトレード・デスク (TTD)とロク(ROKU)が10‐12月期の決算を発表した際に完全に表れた。
広告を中心としたデジタルメディア企業である両社は、全く逆の方向に向かっている。
・ 一方は大きく上昇し、もう一方は急降下している。しかし、デジタル広告業界は依然として非常に強いということは明確にしておきたい。
アルファベット (GOOGL)から スナップ (SNAP)や トレード・デスク まで、より多くの企業が広告費をデジタルチャネルに押し出している。
・ デジタル広告は、マス広告とは対照的に結果を測定することができるため当然の動きであり、猛烈なスピードで進んでいる。
マディソン・アベニューの口達者なセールスマンたちは、常に広告の成功を普及と混同してきた。
それは、潜在的な顧客の気を引くことであり、多ければ多いほど良いというものだった。
ラジオ、テレビ、屋外広告、そしてインターネットと、さまざまなメディアで展開されたが、その成果を測定する方法はなかった。
グーグルなどの企業は、広告購入者が潜在顧客をターゲットにすることを容易にした。
例えば、「レインコート」を検索すれば関連メーカーが見つかるだけでなく、広告購入者がその利用者をターゲットにして関連広告を出すことも可能になった。
長い間、デジタル広告のフランチャイズの株を所有するだけで、投資家にとっては十分だった。この業界は急成長しているため、株価が高騰している。
この先も、さらに成長するかもしれない。
eMarketerの調査によると、デジタル広告ビジネスは2021年の4917億ドルから2025年には7850億ドルに成長し、2020年の基準値から72%増加するという。
問題は、すべてのデジタル広告のフランチャイズが同じではないことだ。
ロク株は、パンデミック時にコネクテッドTV(CTV)広告による事業が急増し、大勝利を収めた。
好調だった主な要因の1つは何か?それは、人々が家にいることを余儀なくされた結果、より多くのテレビを見るようになったことだった。
コネクテッドTVは広告付きストリーミングメディアであり、カリフォルニア州ロス・ガトスに本社を置く同社は、独立系のオペレーティング・システムとしては最大規模を誇っている。
テレビメーカー、コンテンツプロバイダー、広告購入者が、新しい顧客を獲得するために同社のプラットフォームに殺到した。
同時に、アマゾン・ドット・コム(AMZN)とグーグルがCTVに大きな関心を持ち始めた。
両社ともAndroidベースのスマートTVのプラットフォームを再設計し、その1年後にそれぞれがコネクテッドTVをターゲットにした魅力的な新ハードウェアを提供したせいで、ロクは大打撃を受けている。
・ トレード・デスクは、コネクテッドTVだけでなく、デジタル広告ビジネスにも取り組んでおり、大手ハイテク企業との競争にも直面していない。
同社は、プログラマティック・ソフトウェア・プラットフォームを所有し、広告購入者はこれを使用して、すべてのオンライン世界に広告を掲載している。トレードデスクは、デジタル広告費の成長にてこ入れしており、力強く成長している。
10-12月期の売上高は、前年同期比24%増の3億9560万ドルに急増した。
トレード・デスクのCEOであるジェフ・グリーン氏も明るい見通しを述べており、1-3月期の売上は少なくとも3億300万ドルとなる見込みとなっている。
・ これとは対照的に、ロクは残念ながら、より厳しい荒波へと向かっている。
10-12月期の売上高は8億6530万ドルとなり、FactSet の予想である8億9400万ドルを大きく下回った。このニュースにより、1週間前に株価は22.3%という驚異的な下落を記録した。
CEO兼創業者のアンソニー・ウッド氏は、市場はより大きなポイントを見逃していると述べている。
同氏は、ストリーミングがテレビ視聴の45%を占めているにもかかわらず、広告予算の18%しかテレビからストリーミングに移行していないと主張している。
・ その一方で、コネクテッドTVの広告売上をめぐるアマゾン・ドット・コムやグーグルとの競争により、ロクの推進力は急速に低下している。
Varietyは5月、アマゾン・ドット・コムが映画およびテレビスタジオ大手のMGMを84億5000万ドルで買収したと報じた。
また、2月にはNFLと木曜夜のフットボールの放送権契約を結んだ。
一方、グーグルの幹部たちは5月に、YouTubeの広告在庫の多くをCTVの広告購入者が利用できるようにすると発表した。
トレードデスクは、巨額の資金を持つハイテク企業と競争しているわけではない。そこがロクとの大きな違いである。
株式は予想PERの68.8倍、売上高の32倍で取引されているが、投資家の皆さんは総営業利益率が81.5%、過去5年間の平均売上成長率が42.6%であることを念頭に置いておく必要があるだろう。
賢明な投資家である皆さんは、目先の下落を利用してトレードデスク株を買うことを検討する必要がある。常に自分自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないで頂きたい。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン
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