暗号資産が、株式市場との連動から逸脱し下落
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- 2022年6月1日
- トピックス
ビットコイン(BTC, 格付け「A-」)と広範な暗号資産(仮想通貨)市場は、過去1カ月間、大苦戦を強いられてきた。
市場をリードしているコインは、実績のないコインよりも価値を維持することに成功しているが、どのコインも影響を受けた。
注目すべきは、先週、暗号資産(仮想通貨)市場が従来の株式市場と連動しなかった点だ。これは私たちが望んでいたことではあるが、残念ながら、暗号資産は下方へと動いた。テクノロジー株やその他のリスク資産が堅調に回復した一方、暗号資産はさらに下落した。
それでも、ビットコインは主要なサポートラインを上回り、市場全体の動きを横ばいに保った。
BTCは過去30日間で26%の損失を記録しており、21日移動平均線を下回って取引されている。この1週間はほぼ横ばいで推移しているため、短期モメンタム指標を乗り越えるには、3万ドルを超えればよい。
ビットコインは5月5日に21日移動平均線を下回って以来、試すことができていない。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
ビットコインは過去2週間、ほぼ横ばいでの取引を保てているが、イーサリアム(ETH、格付け「A」)は下方にブレイクした。この資産は、2000ドル、そして1900ドルのサポートを下回って取引を終えたため、さらに高値を安値を切り下げるパターンの継続が予想される。アルトコインのほとんどはイーサリアムに依存しているため、これは避けたい状況だ。
ETHは過去1ヶ月で38%下落し、2070ドル付近の21日移動平均線からさらに離れて取引されている。
しかし、時価総額で2番目に大きい暗号通貨は、夏の終わりにポジティブな上昇きっかけが起こる可能性がある。6月から遅れていたイーサリアムの「The Merge」が8月に実現する可能性が出てきたからだ。
The Mergeとは、イーサリアムのメインネットがビーコンチェーンのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)システムに移行されるイベントだ。これにより、イーサリアムのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)は終了し、PoSに完全移行することになる。
期待感や注目がラリーの火付け役となるかもしれない。結局のところ、2021年の「ロンドン」ハードフォークのように、この目標に向けて行われた過去のステップは、価格変動にポジティブな影響を及ぼしている。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
インデックス一覧
前週の反発後、暗号資産(仮想通貨)市場はほとんど下落して先週の取引を終えた。
前週の上昇分のほとんどを戻し、ワイス・50・クリプト・インデックス (W50)は7.83%下落した。
ワイス50 Ex-BTCインデックス(W50X)は、アルトコインが市場リーダーに対して負け続け、8.56%下落した。
時価総額別に見てみると、大規模・小規模コインが同じような動きを見せた一方、中規模のコインは価値を維持したことがわかる。
先週は大規模コインが苦戦し、ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)は8.67%下落した。
ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(WMC)は1.10%下落し、中規模コインは、ほぼ均衡を保っている。
ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス (WSC)は7.12%の下落で、小規模コインは中位となった。
大規模コインは、前週の反発を継続することができず、短期的には上昇に支障をきたしているが、ビットコインが暗号資産(仮想通貨)市場支配率を高めたのは、大規模コインの下落にもかかわらず、足場を守ったことを示している。
もし、既存の暗号通貨がそのリードに従うことができれば、価格行動はより良い方向に向かう可能性がある。
今後の推測
暗号資産(仮想通貨)市場は下落基調が続き、勢いを維持するのが難しい状況だが、暗号資産が低い相関性を維持できれば、テクノロジー株の反発による短期的なマイナス影響は、長期的には良い方向に転じる可能性がある。
今後の主要なマクロ経済政策の決定は、従来の株式市場と暗号資産(仮想通貨)市場の両方に影響を与えると思われるが、暗号資産が最終的に完全な主流となるためには、価格の独立性を維持する必要がある。
暗号資産の急速な普及と長期的な展望は、短期的な課題を克服するという見方を強めるものだ。投資家は常に資産クラスのボラティリティに対処しなければならないが、暗号資産の上昇局面においては、長期的な保有者を報いるだろう。
健闘を祈る。
サム
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