ストリーミングの未来はデジタル広告にある
- 1347 Views
- 2022年10月6日
- トピックス
テクノロジーとテレビは融合するはずだった。その流れを作る企業の一つにロク(ROKU)がある。
先週、Fox EntertainmentのCEOが辞任し、ロク(ROKU)のメディア部門の社長に就任したことに、ハリウッド関係者は衝撃を受けた。今回の採用は、彼らにとって大きな収穫だ。
しかしあなたは、私が6年前に紹介したトレード・デスク(TTD)に引き続き注目すべきだろう。
正直なところ、私はこれまでロクにはいい印象がなかった。カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くこの会社が、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やアルファベット(GOOGL)のような企業に対抗できるのか、私には到底理解できなかった。
この2社は、資金力だけでなく、あらゆる面で優れていると思われた。ソフトウエア、広告プラットフォーム、コンテンツプロバイダーとの関係から、ロクは二流に思えた。
私はロクが2021年に440ドル近辺で取引されていた際、会員に空売りを推奨した。空売りは株価が下落したときに利益が狙える戦略で、滅多にとらない行動だ。 株価は現在、61.11ドルの価値しかない。
ハイテク系企業としてのロクの凋落は深刻であり、また、まったく予想通りの展開でもあった。しかし、まさかロクがデジタルメディア会社へ変化しようとするとは思いもしなかった。
Foxからチャーリー・コリアー氏を雇い入れたことで、その変革が始まる。Variety誌の報道によると、ハリウッドの関係者は、突然な動きに衝撃を受けたという。
ロクの月足チャートを見てみよう。
コリアー氏は、売れるコンテンツを作ることに定評がある。Foxでは、アニメ制作会社Bento Box Entertainment、TMZフランチャイズ、テレビ界の有名シェフ、ゴードン・ラムゼイ氏とのジョイントベンチャーの買収を画策した。
2018年にFoxに入社する前、コリアー氏はAMCネットワークスで社長を務め、「マッドメン」 、「ブレイキング・バッド」 、「ウォーキング・デッド」といったオリジナルシリーズの素晴らしいシリーズの開発を推進した。
コリアー氏は、メディア企業としては非常に素晴らしい採用だ。
この区別は、ロクの投資家にとって重要なものだ。メディア企業はハイテク系企業ではないため、ハイテク系企業に期待できる大きな株価収益率は通常得られない。ハイテク系企業の投資家は数年、数十年先の成長を求めるが、それ以外の投資家はすぐにでも利益を求めるだろう。ハイテク系企業からメディア企業へ変化するロク。 その意味するところは、さらなる低価格化だ。
投資家がストリーミング市場の拡大の波に乗るためのより良い方法がある。
トレード・デスクは素晴らしいビジネスだ。デジタル広告の展望については、たびたび述べてきた。必然的にすべてのメディア広告がデジタル化され、その大半はプログラマティック(自動化)になるだろう。
半自動化されたデジタル広告キャンペーンは、アルゴリズムと、トレード・デスクが開発したような高度なエクスチェンジ・プラットフォームに依存している。広告バイヤーは、時価をもとにリアルタイムで広告在庫を購入することができる。実際のトラフィックデータに基づいてキャンペーンをターゲティングし、広告インプレッション数を大規模に促進することができる。
TTDの月足チャートを見てみよう。
ロクの変革は、ネットフリックス(NFLX)やウォルト・ディズニー(DIS)のディズニープラスサービスの動きに続くものだ。有料のメディア購読は良いものだが、広告付きの選択肢を与えられると、消費者は必ず無料で視聴することを選択する。
2015年の株式公開以来、トレード・デスクの経営陣が語り続けてきたメディアの未来は、 「ほとんどのデジタルは、広告でサポートされることになる。」というものだ。デジタルコンテンツはオンデマンドで、どんな画面にもポータブルに対応する。広告付きコンテンツは、手頃な価格で、そのメディアを民主化していく。
デロイト・インサイツは、2022年に、ほとんどの消費者が有料購読は3つまでにしていることを明らかにした。デジタル・メディア・トレンドによるレポートは、これからのデジタルメディア配信は、広告でサポートされる時代であることを明確にしている。
現在の景気減速にもかかわらず、トレード・デスクは8月に、第2四半期の売上高が前年同期の2億8000万ドルから3億7700万ドルに増加したと報告した。調整後の金利税引前利益率(EBIT)は37%だった。
この株は他のテクノロジー銘柄と共に低迷している。現在の株価は62.96ドルで、PERは54.8倍、時価総額は315億ドルとなっている。
いつものように、ご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないでいただきたい。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。