米雇用統計を受け暗号資産は下落

9月の米雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数が26万3000人増加し、失業率は3.5％に低下したことが明らかになった。

これを受けて、ビットコイン（BTC、格付け「A-」）と暗号資産（仮想通貨）市場全体は、現在若干の下落となっている。

通常、最新の雇用統計で失業率が低下するのは良いことだが、失業率の低さは一般的にインフレ率の上昇に一致しており、現在のマクロ経済環境下では火に油を注ぐことになりかねない。

基本的に、労働市場が堅調であれば、FRBはインフレが落ち着くまで利上げを継続することができる。

イングランド銀行が量的緩和政策を発表し、国連が先進国での利上げの終了を呼びかけたことで、最近市場が強めていたFRBの政策転換に対する楽観的な見方に水を差すことになりかねない。インフレが続く中、FRBは依然として妥協する意志をほのめかしていない。

朗報なのは、暗号資産が従来の株式市場の取引と切り離され始めている点だ。ビットコインの株式との相関は過去数週間で低下している一方、金との相関は年初来でもっとも高くなっている。

ビットコインは、3日間に渡って小幅な下落を記録した後、本日は現在のところ約1％下げ、現在約1万9500ドル付近で取引されている。しかし、この資産は依然として21日移動平均線の上で取引されており、市場のリーダーがほぼ足場を固めたことを示している。

BTCは当面、1万7500ドルから2万5000ドルの間で確立されたレンジ内を推移しそうだ。

以下の図がコインベース（COIN）上でのドル建てのBTCの推移率である。

イーサリアム（ETH、格付け「A」）は、現在の取引で1％ポイント未満の下落にとどまり、1340ドル前後で推移している。ETHは過去2週間横ばいで推移しているが、ビットコインがわずかに上昇する一方で、依然として月間15％の下落を記録している。

当初の値動きは一部の投資家を落胆させたが、プルーフ・オブ・ステーク・コンセンサスへのアップグレードが全体的に成功したことで、今後他のブロックチェーンが後に続くかもしれない。ETHの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、他の著名なプルーフ・オブ・ワーク型ブロックチェーンが切り替えを行うと見ている。

ETHはほぼ21日移動平均線上に位置しているが、最近、勢いを増すことができていない。

しかし、ETHが上昇を見せれば、その方向性に追随する他のアルトコインも一緒に動くだろう。時価総額第2位の暗号通貨は、金融機関が次の強気市場に向けてエクスポージャーの拡大を開始すれば、より大きな動きを見せるはずだ。

以下の図がコインベース（COIN）上でのドル建てのETHの推移率である。

インデックス一覧

暗号資産（仮想通貨）市場は、ほぼ穏やかな取引週となった。ワイス・クリプト・インデックスはいずれも大きな動きはなかったが、確立した暗号通貨がわずかにアウトパフォームしたため、パフォーマンスは時価総額によって若干の差が生じた。

ワイス・50・クリプト・インデックス(W50)は1.68％上昇したが、この分野のボラティリティを考慮すると大きな動きではない。

一方、ワイス・50・Ex-BTC・インデックス (W50X)は、1.08％上昇し、ビットコインが他のアルトコインをややアウトパフォームしたことが分かる。

パフォーマンスを時価総額別に見てみると、「大規模コイン」と「中規模コイン」が「小規模コイン」を上回る結果となった。小規模コインは先週、唯一の下落となった。

大規模コインが最も大きな上げ幅となり、ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)は4.41％上昇した。

中規模コインも先週はプラスとなり、ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(ＷＭＣ)は3.35％上昇した。

小規模コインは唯一のマイナスだったが、ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス（WSC）は1.39％と僅かな下落にとどまった。

先週、暗号資産（仮想通貨）市場は大きな動きがほとんどなかったが、大規模および中規模の暗号資産はわずかな上昇を記録した。市場は暗号資産の冬の終わりに近づいており、時期が来れば、次の上昇を確立するために、最大の暗号資産に頼ることになりそうだ。

今後の推測

暗号資産とリスク資産との相関性が下がっているのは良いことだが、マクロ経済的な課題に関しては、状況はまだ変わらない。

強まる米ドル高は、他の資産上昇の妨げとなり、FRBの経済引き締めは、短期的に暗号資産（仮想通貨）の見通しを傷つけ続けている。しかし、暗号資産（仮想通貨）市場の弱気サイクルの局面は、終わりに近づいているはずだ。

今のところ、暗号資産の普及と制度的な位置づけが高まっているため、条件が整えば暗号資産が上昇する環境が整いつつある。暗号資産に対する信頼が高まり、規制がより明確になることが予想されるため、価格はいずれ業界の強化されたファンダメンタルズを反映して改善されるだろう。

健闘を祈る。

サム

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