チャップリンに学ぶ銘柄分析方法
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- 2022年11月16日
- トピックス
こんにちは。
Weiss Ratings Japanの安居です。
株式市場は強いですね ^^)
こちらは
ダウ平均、
S&P500
ナスダック100の年初来推移
直近1ヶ月の上昇率は
ダウ平均+11.1%
S&P500+7.6%
ナスダック100+7.6%
とダウの強さが際立っています。
ダウ平均の10月上昇率は
46年ぶり水準だったそうですが
もう◯年ぶりとか言われても
驚かなくなってきました ^^;
上昇している理由は
主に利上げ打ち止め観測でしょう。
利上げ打ち止めで
ハイテク株が上がると予想していましたが
今のところ、大型の景気敏感株が強いようです。
9月末ごろからの推移を見ると
建設機器大手のキャタピラーは+43%
航空機器大手のボーイングは+44%
と歴史ある大企業が
ベンチャー企業みたいな上昇です ^^;
他にも
石油大手のシェブロン+29%
金融大手ゴールドマンサックス+30%
電子機器大手のハネウェル+27%
と大きく上昇。
正直、1年前までこれらの銘柄は
「なんでそんなのに投資してるの?」
って言われるような”古い銘柄”でした。
一方同じ期間のGAFAMは…
直近では上昇していますが
なんともパッとしません。
このトレンド転換は重く受け止める
必要があると考えています。
当然、景気敏感株は景気が悪くなると
下落する可能性が高いです。
なのにここまで大きく下落した
ハイテク株より買われるということは
FRBの金融政策がうまくいき
景気を犠牲にせずインフレを抑制できる
可能性が高い
と考えられている、といえます。
FRBは景気を犠牲にしてでも
インフレを抑制すると言っていますし
リセッションが近づいていることを
示すデータはたくさんあります。
僕はそっちを重視していたので
今の投資家の反応は意外でした ^^;
前回のメルマガでは
ここから半年は100%上がる!
というデータを紹介しました。
面白いデータなのでもう一度紹介します ^^)
大統領サイクルと株価の関係を表したもので
任期3年目の年はめちゃくちゃ上がりやすい。
特に中間選挙がある11月から翌年4月までの
6ヶ月間は非常に力強く、1950年以降の
平均リターンは15.2%
上昇確率は100%
というデータです。
ちなみに1900年まで遡ると
大統領の任期3年目に下落した年が
2年だけありました。
1つは1931年。
1929年に始まり高値回復に25年を要した
世界恐慌の真っ只中です。
もう1つが1939年。
ヒトラーがポーランドに侵攻し
第二次世界大戦が始まった年です。
本当に歴史的な事件が起こった時以外
大統領の任期3年目は上がってきました。
なので前回のメルマガでもお伝えしたように
僕は今の相場に強気です ^^)
景気後退懸念はまだ高いと考えているので
景気敏感株の上昇を追いかけるよりは
・下落したハイテク株を少しずつ仕込む
・ディフェンシブ株の比重を高める
ことを考えています。
ちょうど世界恐慌の話が出てきたので…
世界恐慌とチャップリン
の話をしたいと思います。
「ライムライト」「独裁者」
「モダン・タイムズ」などで知られる
喜劇王チャーリー・チャップリンです
チャップリンは20代で
現在価値にすると年収20億を超える
スター俳優・監督でしたから
もちろん株にも投資していました。
彼のエピソードからは
投資家がどんな時も忘れてはいけない
1つのマインドセットが学べます
チャップリンが見抜いたバブル
最近「教養としてのチャップリン」という本を読みました。
チャップリンの生い立ちやヒット作の考察
興行的な成功秘話などが深掘りされていて
ものすごく面白かったのですが、
そこにこんなエピソードがありました。
1929年の8月、アメリカは経済的繁栄を謳歌し、まさにバブルの絶頂にありました。どんどん株価は上がっていったある日、「今、売るなんて大バカだ!」という友人の必死の説得にもかかわらず、チャップリンは「いや、絶対に株は暴落する」と言い出して、持ち株をすべて売却し、安全なカナダ金貨に換えました。
引用:教養としてのチャップリン
その2ヶ月後、10月24日にニューヨーク株式市場は大暴落し、世界恐慌が始まります。くだんの友人は後にぼろぼろの格好でチャップリン撮影所にやってきて、「なぜ株が大暴落することがわかったんだ」とだけ言って去っていきました。
かの喜劇王が、
多くのプロの投資家も資産を失った
ウォール街の大暴落を予期し
乗り越えていたなんて驚きですね。
本書は次のように続きます。
チャップリンは、なぜ株の暴落を予知できたのでしょうか?
引用:教養としてのチャップリン
当時、株価をはじめ、さまざまな経済指標を分析した専門家たちは、まだまだ株は上がると予測していました。しかし、チャップリンは、株価を見るのではなく、失業者が増えていることに注目し、貧富の格差が拡大していっていることを憂い、こんな経済は持たない、株の暴落は時間の問題だ、と分析しました
本書は株の専門書ではないので
深く説明はされていません。
それでもこの短いエピソードからは
非常に大切なことが学べます。
それは
実態を見ることの大切さ
です。
僕たちが投資する時
一番みてしまうのが株価です。
(今回もたくさんお見せしました ^^;)
しかし、株価は実態とかけ離れた存在です。
例えばよく目にするこういうニュース
株価が下落すると
「時価総額◯兆円が消えた!」
みたいに言われることがあります。
しかし実際に、その企業の運転資金が
◯兆円分減ったわけではありません。
それまでと同じように経営し続ける
ことができます(例外はありますが)。
株価は重要な判断材料の1つですが
ある種の幻想のもの生み出された数字
であることは忘れてはいけません。
チャップリンは株価という幻想ではなく
失業率、街中にいる人々など
”実態”をみて判断しました。
その姿勢は全ての投資家が
見習うべきものだと思います。
”実態”を見るって
具体的にどうすればいいの?
ですが、日本に住んで米国に投資する我々にも
できることが2つあります。
実態に近い数字を重視する
1つはもちろん、
株価のような幻想より
実態に近い数字を見ることです。
失業率や消費者物価指数
消費者信頼感指数などの経済指標は
十分とはいえないまでも株価よりは
実態に近いと考えることができます。
売上や利益といった決算情報も
株価より実態に近いでしょう。
決算情報で最も実態に近いデータは
キャッシュフロー計算書です。
会計の世界ではよく
「利益はフィクション、キャッシュは事実」
と言われるそうです。
利益は売掛や経費の算出方法で
結構思い通りにコントロールできます。
節税のために利益を少なくする
なんてことはよく聞く話ですよね。
(もちろん合法の範囲内で)
一方、キャッシュフローは
実際に動いた現金の記録です。
例えば、売上は出荷基準、検収基準など
企業によって計上タイミングがバラバラですが
キャッシュフローはお金がどう動いたか?
を記したものなので企業によるズレはありません。
僕はメルマガで銘柄を取り上げるとき、
キャッシュフローをお見せするようにしていますが
利益や売上よりも大切な指標だと考えているからです。
ぜひ銘柄分析の際には
株価よりも実態に近い数字を
重視して分析してみてください ^^)
見れるなら実態を見に行く
やっぱり一番いいのは
自分の目で実態を見ることです。
例えばスターバックスやマクドナルドなど
日本にも店舗がある場合
簡単に実態を見ることができますよね ^^)
あるファンドマネージャーの話があります。
ある時、心配性の顧客から
「株式市場が下落している!
マクドナルド株を全部売ってくれ!」
と言われたそう。
そこでファンドマネージャーは
「とりあえず近くのマクドナルドで
店内の様子を見てきてください」
と言いました。
数分後、その顧客は
「いつも通りの大行列だ!
やっぱり株は売らない!」
と持ち続けることにしたそうです。
非常にわかりやすい例ですよね ^^)
でも何度もお伝えしているように
株価は幻想です。
幻想なのに、投資判断の重要材料と
思い込んでしまいがちです。
他にも実態を見に行ける
米国企業はたくさんあります。
スーパーの洗剤・芳香剤コーナーに行くと
P&G製品が最も多く幅広く
陳列されているのを見かけると思います。
P&Gの株価は今年25%近く下がった
タイミングがありましたが
その時、スーパーの棚からP&G製品が
25%消えるなんてことはありませんでした。
いつも通り、大量の製品が並び
P&G製品を手に取る人を
何人も見つけることができました。
電車に乗るだけで、大体の人にとって
iPhoneが生活必需品として手放せなく
なっていることがわかると思います。
街中をちょっと意識して歩くだけで
配達スタッフが手に持っているのは
かなりの割合でAmazonの段ボールだ
ということに気づけると思います。
ぜひ保有している銘柄の中に
間接的にでも実態を見に行けるものがあれば
見にいってみてください。
ここで挙げた例は逆にすると
「スーパーのP&Gコーナーが減ってるぞ」
「最近Android使ってる人増えたな…」
「ヤマトのお兄さん、見たことないロゴの
段ボールをよく運んでいるな…」
ということに気づくこともできるわけです。
実態を見に行けるかどうか?
を判断基準に入れてもいいかもしれません。
実態が見えにくい企業の場合、
幻想的な数字で判断しないといけないので
どうしてもニュースや株価に
振り回されてしまいます。
余談ですが、
僕はヘルスケア銘柄を持っていなかったので
何かに投資しようと考えていた時、
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)を選びました。
妻がJNJ製のコンタクトレンズを使っていたので、
「コンタクトレンズってJNJ以外にあるの?」
って聞いたら、
「さあ?」
って感じでした ^^;
必需品として毎日使っているのに
JNJ以外を検討したこともない…
なんだこのブランド力は???
ということで深く調べてみたのがきっかけです。
そんなふうに実態が見えるところから
リサーチを始めると面白い投資判断につながりますし、
何より「株価という幻想」に振り回されず
じっくり長期投資することができると思います ^^)
ということで今回は
最近の株式市場では
大きなトレンド転換が発生している
という話から、
世界恐慌を予見した
チャップリンのエピソード
そこから学べる
実態を見ることの大切さ
我々日本人投資家が米国企業の
実態を見る2つの方法
など盛りだくさんに紹介しました。
毎回長々とした記事ですみません ^^;
次回は久しぶりに
最高ランク米国株から
面白い銘柄を見つけて
紹介したいと思います ^^)
P.S.
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