85%下落した金融株に待ち受けるさならる試練
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- 2022年12月14日
- トピックス
規制された銀行融資と暗号資産の境界線を曖昧にしたサンフランシスコのある銀行に対し、 米議員たちは説明を求めている。株主にとっては実に悪い知らせになりそうだ。
米議会の超党派の上院議員団は先週火曜日、シルバーゲート銀行の幹部との面会を要請した。議員たちは、破綻した暗号取引所であるFTXとのこの銀行の関係を知りたがっている。
シルバーゲート(SI)の株主は、これからの荒れた動きに心の準備をすべきだろう。
皮肉なのは、同社はもっと酷い状況をくぐり抜けた過去があることだ。1988年に設立されたシルバーゲートは、金融危機が始まった2008年には従業員わずか40人、資産3億ドルだった。この銀行は、当時サンディエゴに4つの支店を持ち、産業ローンを専門に扱う低迷した会社だった。
経営陣たちは、住宅ローン危機を巧みにかわし、他の金融機関が苦境に立たされる中、成功を収めた。そして2013年、彼らはデジタル資産にビジネスチャンスを見出した。
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CEOのアラン・レーン氏は、個人的にビットコイン(BTC)に投資していた。彼は、シルバーゲートが、同じことをやりたいと考えている機関投資家のために、有益なビジネスを構築できると考えた。CNBCの報道によると、4年以内に資産は19億ドルに膨れ上がったという。
同社は2017年に、暗号通貨取引所、機関、ヘッジファンドの顧客向けのリアルタイム決済システム「Silvergate Exchange Network(SEN)」を立ち上げた。
SENは、基本的に24時間365日、顧客が米ドルやユーロを暗号資産に素早く交換するためのセルフサービスプラットフォームだったが、問題はシルバーゲート銀行が連邦準備制度のメンバー銀行である点だった。
顧客資産は連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation)の保険がかけられている。 FDIC保険に加入している銀行は、詐欺、マネーロンダリング、脱税などの疑わしい行為がないか、顧客口座を監視する義務がある。
数週間前まで、シルバーゲートのウェブサイトには、今は失脚したFTXの創業者、サム・バンクマン-フリード氏の「暗号資産会社としての人生は、シルバーゲート以前と、シルバーゲート以降に分けられる」という言葉が掲載されていた。
今は、マサチューセッツ州の民主党上院議員エリザベス・ウォーレン氏が書き、共和党上院議員が署名した書簡に置き換わっている。ルイジアナ州のジョン・ケネディ氏とカンザス州のロジャー・マーシャル氏がシルバーゲートに派遣され、シルバーゲートがどのようにして暗号資産のエコシステムに不可欠な存在となったのか、また、経営陣たちはデューデリジェンスの義務を果たすために何をしたのかを知りたがっている。
それは、シルバーゲートの経営陣には酷な要求だ。株主にとってはさらに大きな問題だ。
シルバーゲートのウェブサイトには、SENが1300人のデジタル通貨顧客と120億ドルの資産を蓄積していると記されている。2017年以降、SENはドル、ユーロ、暗号資産間の1兆ドルの送金を仲介した。
さらに悪いことに、NBC Newsは先週、SENがFTXからサム・バンクマン-フリード氏が管理するヘッジファンド「アラメダ・リサーチ」に100億ドルを送金するために使われたと報じた。そして、FTXの破産申請書類には、アラメダがシルバーゲートに20の異なる口座を保有していたことが記されている。BlockFiがサム・バンクマン-フリード氏に対して起こした訴訟では、これらの口座がFTXの投資家を欺くために使用されたと主張している。
特に超党派のグループ構成であれば、米議会の政治家はこれを許さないだろう。
シルバーゲートの株価は2022年に85%下落した。 モルガン・スタンレー(MS)は、同銘柄を「イコールウェイト」から「アンダーウェイト」に格下げし、目標株価を24ドルに設定した。これは楽観的な見方だ。
現在株価は23.10ドルで、PERは5.5倍、PSRは2.8倍で取引されている。現在のところ配当はなく、 ビジネスモデル全体が危険にさらされている。
株価は、2020年に調整局面からブレイクアウトした水準の16.50ドルまで簡単に下落する可能性がある。堅実な投資家は手を出すべきではないだろう。
一方、リスク許容度が高い投資家は、30ドルに向けた上昇局面で新たなショートポジションを取ることもできるだろう。常に自分自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないで頂きたい。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン