11種類のビットコインETFで投資すべきは?
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- 2024年3月6日
- トピックス
ビットコインは年初来1.5倍に上昇。そして3月6日には、ついに2021年につけた過去最高値を更新しました。
ビットコインETFの承認、半減期、米国をはじめとする世界の中央銀行の金融政策…
こうした後押しにより、暗号資産冬の時代が終わり、ドルに変わるアセットクラスとして存在感を増してきています。
特にETFの承認は、2004年に初の金(ゴールド)ETFが登場した時のように、より多くの株式投資家が暗号資産をアセットクラスの一部に取り入れ、より柔軟で安全性の高い資産形成を実現する手助けになるでしょう。
金(ゴールド)もETFが登場するまでは個人投資家にとって敷居が高いものでしたが、今では多くの投資家にとって当たり前のものとなり、年金基金にも組み込まれるようになりました。
今後数年で、同じことがビットコインをはじめとする暗号資産にも起こるかもしれません。
今のところ、日本の証券会社でビットコインETFを購入することはできませんが、サクソバンク証券など一部の海外証券会社においては、11種類のビットコインETFの取り扱いがスタートしています。
すでに11種類もあるビットコインETFで、いったい何を選べばいいのか?
今回はWeiss Ratingsの暗号資産アナリスト、ジュアン氏の分析をお届けします。
日に日に暗号資産がアセットクラスの一つとして当たり前になってきている今、ぜひジュアン氏が選んだビットコインETFへの投資を検討してみてください。
今年初め、証券取引委員会は、スポットビットコイン(BTC、格付け「A-」)ETFの未処理の申請をすべて承認した。
つまり、2024年の最初の時点で、投資家は証券口座を通じてビットコインに直接投資する選択肢がゼロだったが、現在は11種類の選択肢から選べるようになったのだ!
私はビットコインETFの承認が暗号市場にどのように影響するかについて繰り返し書いてきた。
しかし11種類のビットコインETFの中身についてはあまり触れていない。一度に11種類も投資先が登場したことでどれに投資すべきか悩んでいる投資家も少なくないだろう。
そこで今回はどのビットコインETFに投資すべきか判断するために考慮すべき4つの基準をお届けする。適切なものを選ぶ手助けにしてほしい。
1.管理費・手数料
ETFには様々な経費がかかり、経費は投資パフォーマンスに直接影響する。
現物ビットコインに連動するETFはすべて同じパフォーマンスを出すはずだが、この経費の違いにより長期的なパフォーマンスが上下するのだ。当然だが同じものに投資するならコストは安い方がいい。
以下は、主要銘柄とその手数料の概要である。
- フランクリン・テンプルトン・デジタル・ホールディングス・トラスト(EZBC):管理手数料は0.19%。
- ビットワイズ・ビットコインETF(BITB):管理手数料は0.20%で、取引開始後6ヶ月間またはファンド資産10億ドルまでのいずれか早い方の手数料が免除される。
- アーク21シェアーズ・ビットコインETF(ARKB):0.21%の手数料がかかるが、取引開始後6ヶ月間またはファンド資産10億ドルまで無料。
- iシェアーズ・ビットコイン・トラスト (IBIT)、VanEck ビットコイン・トラスト (HODL)、フィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド (FBTC)、ウィズダムツリー・ビットコイン・ファンド (BTCW)、インベスコ・ギャラクシー・ビットコイン ETF (BTCO):いずれも管理手数料は0.25%。
ご覧のように経費に免除期間を設けているものもある。
IBITは、取引開始後12ヶ月間、またはファンド資産額50億ドルまで、0.12%の割引手数料を提供している。FBTCは2024年8月1日まで手数料が免除される。また、BTCWとBTCOは、それぞれ取引開始後6ヶ月間、またはファンド資産が10億ドルと50億ドルの手数料を免除している。
しかし以下のETFには免責期間が存在しない。
- ヴァルキリー・ビットコイン・ファンド (BRRR):手数料は0.25%で、免除の記載はない。
- グレースケールのビットコイン・トラスト(GBTC):1.50%というかなり高めの管理手数料が設定されており、免除の記載はない。
GBTCは以前からあるビットコインの投資信託で、ビットコインに直接投資せずビットコインに連動したリターンを得られるほとんど唯一の選択肢だった。1月のETF承認に合わせて、GBTCも投資信託からETFに変換されている。
ETF承認前は最大のビットコイン保有主だったが、高すぎる手数料の影響もあって、資金流出が続いている。
ETF承認前はGBTCにも存在意義があったが、他により低コストでビットコインからリターンを得られる手段が登場した以上、今の管理費で投資家を惹きつけることはできないだろう。
キャシー・ウッド率いるアーク・インベストはポートフォリオを新技術インフラを構築する企業へ投資するETF「アーク・ネクスト・ジェネレーション・インターネットETF(ARKW)」で大量のGBTCを保有していたが、全て売却した。その後、自社が提供するビットコインETF「アーク・21シェアーズ・ビットコインETF(ARKB)」に買い替えしている。
株式の取引手数料、ETFや投資信託の経費率と同様に、ビットコインETFについてもコストに意識を向ける必要がある。同じものに連動するなら、経費が一番安いものを選ぶべきだろう。
2.カストディアン
カストディアン(投資家に代わり有価証券の保管・管理を行う機関)の選択は、ビットコインETF保有に対する投資家の信頼に影響を与える可能性がある。
ビットコインにおいては、コインベース(COIN)やビットゴー(BitGo)のような取引所がカストディアンだ。彼らは強固なセキュリティ対策で知られており、投資家を安心させてくれるだろう。
ビットコイン現物ETFにおいても、これらの取引所を利用する。コインベースとビットゴーは、業界で最も評判の高い暗号資産カストディアンに含まれ、それぞれのETFがどちらかを選んだとしても不思議ではない。
例えばヴァルキリーのBRRRは、コインベースとビットゴーの両社をカストディアンとしており、複数のカストディアンを利用する初のスポットビットコインETFだ。
複数のカストディアンが存在することで、セキュリティが強化され、より投資家に安全性を与えてくれる。
またフィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド (FBTC)はETFのカストディアンとしてフィデリティ・デジタル・アセット・サービスを使用ししている。つまり、他の取引所ではなく、自社をカストディアンにしているのだ。現状、自社をカストディアンにしているのはFBTCだけだ。
自社をカストディアンとすることでコインベースのような取引所に支払う手数料を節約でき、長期的には経費率の削減などにつながるかもしれない。しかし安全性とのバランスにおいて投資家がどのように評価するかはまだわからない。
しかしフィデリティには長い歴史と実績があるため、大きな心配はないだろう。
3.発行体の評判
ETF発行会社の評判も重要な検討事項である。好成績の投資商品を運用した実績のある、安定した金融機関は、投資家により多くの保証を提供し、他のETFよりも優先して投資されるだろう。
この分野では、ブラックロック(BLK)は競合他社より抜きん出ている。
世界最大の資産運用会社であり、運用額は9兆ドルを超える。また、同社のETFの承認率は99.8%と素晴らしい。iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は、この実績から恩恵を受けるだろう。
この分野でのもう一社の価値ある候補はフィデリティで、2つのカテゴリーで際立っている。
フィデリティは、資産運用で歴史のある老舗の金融サービス会社だ。豊富な経験と機関投資家レベルのソリューションに裏打ちされたその評判は、FBTCを暗号通貨分野における信頼できる安全な投資オプションとして位置づけている。
4.市場の評価と実績
運用資産や取引量を含むETFの最初の市場での反応やその後のパフォーマンスにも注目しよう。
同じ資産に連動するETFでも、原資産との価格に乖離が生じることがある。原資産と正確に連動するには、資産総額、取引量、流動性などが重要だ。小規模なETFやスタートしたばかりのETFの中には原資産とうまく連動できず乖離してしまう例もある(その乖離が投資チャンスになることもあるがそれは別の話だ)。
このカテゴリーの圧倒的勝者はグレースケールのGBTCで、273億ドルのビットコインを運用しており、ブラックロックのIBITが88億ドルの運用資産総額で1位から大きく離れての2位、フィデリティのFBTCが63億ドルで僅差の3位となっている。
しかしすでに述べた通り、GBTCは高すぎるコストによって資金が流出し続けている。最近になって少し緩やかになっているが、流出した資産の多くはよりコストの安いETFに移ったため戻ってくる可能性は低い。
ブラックロックやフィデリティのETFが毎週着実に資産を増やしているのとは対照的だ。
では、どのETFを選ぶべきか。
上記の情報に基づくと、私の一押しはフィデリティのFBTCかブラックロックのIBITである。
両社とも、投資前に考慮すべき点をすべて満たしている。競争力のある手数料、堅実なソリューション、資産運用会社としての高い評価、そしてスポットETFの発売以来、資金流入を増やし続けている。
しかし、最終的に選択するのはあなた自身だ。自分のポートフォリオにどのビットコインETFを組み入れるかを決める際には、ぜひ自分で調べてほしい。
また次回。
ジュアン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。