S&P500に勝る小型株
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- 2024年5月12日
- トピックス
4月30日、5月1日に行われたFOMC(米国連邦公開市場委員会)の定例会合。
そこでは、6会合連続の金利据え置きが発表されました。
昨年末時点では、2024年は年3回の利下げが行われるという見通しもあり、米国の主要500社を対象としたS&P500は10月末から年末までの2ヶ月間で約16%も上昇。
しかし、、、
今年に入ってからも利下げは進まず、冒頭でいったように最新のFOMCでも金利の据え置きが発表されています。
それによる影響もあり、S&P500の上昇率は年初から4ヶ月間で9.4%…
利下げの見通しが立っていた年末の急上昇からは失速しています。
そんなS&P500以上に金利の影響を受けているのが、小型株に連動する指数ラッセル2000です。
利下げの見通しが高まっていた2023年末までの2ヶ月間ではS&P500以上のなんと約24%の上昇。
その一方で、実際には利下げが行われていない年初からの4ヶ月間では、たったの1.9%しか上昇していません。
なぜ、小型株に連動する指数は米国の主要500社を対象としたS&P500以上に金利の影響を受けるのでしょうか。
その理由をWeiss Ratingsのアナリストで、小型株投資のスペシャリスト、ショーン・ブロドリック氏が教えてくれました。
ブロドリック氏はさらに、高金利が続き、小型株のパフォーマンスが振るわない中、小型株が上昇するきっかけとなる1つのキーワードがあるといいます。
そして、この1つのキーワードに当てはまり、S&P500に勝ると分析している2つの小型株の投資先を教えてくれています。
それでは続きをご覧ください。
小型株は今年、悲惨な結果となっている。本来ならこんなはずではなかっただろう。
2023年末時点では、小型株はS&P500を上回る結果を残し、特にビッグテックを大幅にアウトパフォームした。ウォール街は2024年が小型株にとって重要な年になると想定していたのだが、そううまく行ってはいないのが現状だ。
ハイテク株は9.28%上昇、S&P500は9.38%上昇している一方で、小型株は年初来で2.14%の上昇にとどまっている。小型株の一部には、パフォーマンスが悪いものも存在している。
小型ハイテク株にいたっては、最近5ヶ月ぶりに安値をつけて、12月の高値から13%以上下落した。
一体これからも小型株は避けるべきだろうか。
いや、私の見解はそうではない!
S&P500を上回る小型株があると言ったらどうだろうか。そして、それは今すぐ買っても大丈夫なのだろうか。
問題を見つけ出し、その解決策を見出す
小型株全般に大きな打撃を与えているのは、FRBが金利をウォール街の予測以上に長期にわたって高く維持しているからだ。
小型株は一般的に、ある時点で資金を借り入れる必要があり、小型ハイテク株の場合はそれがさらに顕著だ。つまり、ますます高い金利で資金の借り入れを行っていることになる。これでは、収益を伸ばすチャンスを失ってしまう。
一方で、キャッシュフローが豊かな小型株はどうだろうか。その場合は高い金利で資金を借り入れる必要はない。インデックスやS&P500だけでなく、脳死状態のウォール街の期待値さえも上回ることができる。
私は、非常にうまくいく小型株の投資先を2つ思い当たる。しかも今なら、バーゲン価格で購入できるだろう。
投資先その1:CALF
Pacer US Small Cap Cash Cows 100 ETF(CALF)は、Weiss Ratingsの格付けでは現在「C+」だ。フリーキャッシュフローが豊かな銘柄、言い換えると「キャッシュ・カウ(安定した利益を上げることができる事業やブランド)」に焦点を当てている。CALFの配当利回りは1.14%で、経費率は0.59%だ。
このようなフリーキャッシュフローの多い企業は、高い金利でも耐えることができる。他の小型株にはあるような、財務的な制約がないため、現在の高金利が続く状況も乗り越えることができる。
投資先その2:PSCE
Invesco S&P SmallCap Energy ETF(PSCE)は、Weiss Ratingsの格付けでは現在「C+」だ。中小型のエネルギー・石油・ガス銘柄が組み込まれている。このETFの配当利回りは2.11%で、経費率は0.29%だ。
原油は今年に入ってから10%近く上昇している。中東情勢の緊迫感が和らぎ、4月初めにつけた高値から下落したものの、原油価格を上昇させる強気材料はまだ十分にある。
ウクライナがロシアの石油インフラを無人機で爆撃し続けていること、OPECプラスの供給削減が延長されたこと、そして世界的な需要が増加していることが強気の理由だ。
私は、今年の原油価格は75ドルから95ドルになると予想している。それは大小さまざまな石油会社にとって潤沢なキャッシュフローを生み出すことにつながるだろう。
ウォール街が「長期金利上昇」への動きに惑わされている中、ここ数ヶ月のCALFとPSCEのパフォーマンスをS&P500と比較したチャートを見てみよう。
小型エネルギー株を組み込んでいるPSCEが、S&P500を上回る上昇を見せていることをお分かりいただけるだろう。CALFはS&P500を下回る結果となっているが、両方のETFともこの先さらにアウトパフォームしてくれると信じている。
実際、私はPSCEとCALFをとても気に入っているので、個人的なポートフォリオに組み入れるかもしれない。
小型株投資の素晴らしい点は、ウォール街が大型株に投資する一方で、こうした中小企業はチェックの対象にしないことだ。だから、サプライズはいくらでもある。そして、リサーチとちょっとした運があれば、サプライズの恩恵を受けてリターンを大きく押し上げることができる。
また、これらのファンドを掘り下げて構成銘柄まで見て、最良の個別銘柄を見つけることもできる。リスクは高いが、その分リターンも大きくなる可能性がある。
もしかしたら、あなたはS&P500にこだわり続けるかもしれない。だが、私は小型株にかけるだろう。彼らは今年、大きな驚きをもたらしてくれるかもしれない。
今日はここまで。
ではまた次回。
ショーン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。