米国政府を襲う“死”のスパイラル
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- 2025年5月29日
- トピックス
2007年、
米国の30年債利回りが急上昇。
これによって世界は
「リーマン・ショック」という名の
金融崩壊に突入しました。
そして18年経った今…
アメリカの長期国債利回りは
【19カ月ぶりの高水準】に到達し、
金融市場には、
リーマンショック時とよく似た
“兆候”が現れ始めています。
ただ、今回は
単なる長期国債の上昇では
終わらないかもしれません。
今、米国政府を襲う
負債の死のスパイラル…
これは債権投資を行う
個人投資家にとっても
見逃せないものとなるでしょう。
なぜなら、
30年に渡り投資アナリストを務める
ショーン・ブロドリック氏は
プロの投資家や世界中の中央銀行は
この状況をいち早く察知して、
ある“信用の逃避先”に資金を移している
と述べており、
個人投資家の今後の資産成長にも
大きく関わる内容となっているからです。
米国政府を襲う、
負債の死のスパイラルとは一体何なのか?
そして、
あなたの今後の資産成長にも
影響を与える可能性のある
“信用の逃避先”とは一体何なのか?
続きはこちらをご覧ください!↓
アメリカは「時代遅れ」にされるのか?
アメリカは金融的に窮地に立たされている。
状況は厳しく、見通しは週を追うごとに悪化している。
債券市場はこの事実を認識している。そのため、30年債の利回りは金融危機以来の水準に向かって急上昇しているのだ。
金市場もこれを察知している。だからこそ金価格は急騰している…
しかし、ウォール街のアナリストは今のところこれを無視している。問題は、このバブルの宴がいつまで続くのかということだ。
私が危機だと指摘しているのは、「アメリカの債務問題」である。
米国の連邦予算赤字は2024年に1.8兆ドルに膨れ上がった。
赤字支出は2025年には1.9兆ドルに達すると予測されている。
これは戦争や他の大きな危機がない状態での数字だ。
つまり、今の通常の状態でさえ、1.9兆ドルの新たな債務が積み上がっていくということである。
新たな借金だけではない。
過去の債務の借り換え(リファイナンス)も必要だ。
アメリカには2025年に満期を迎える約9.2兆ドルの国債がある。これは市場に出回る全米国債の約3分の1だ。
一体誰がこれら全ての莫大な借金を引き受けるのだろうか?

これだけの債務を借り換えるためには、米国財務省は新たに巨額の国債を発行せざるを得ないだろう。
しかし、世界中の機関投資家、ファンド、中央銀行などの買い手は、米国政府の無責任な赤字の垂れ流しを見抜いており、長期の国債を買うことを躊躇し、より短期の債権にしか手を出さなくなっている。
その結果として、長期債利回りが急上昇しているのだ。
30年国債の利回りは現在、19ヶ月んぶりの高水準まで上昇してきている。(19ヶ月前は米国のインフレが最高潮に達していたタイミングだ…)
この頃からインフレは落ち着いてきているが、アメリカの“浪費癖”は未だ冷めていない。
ちなみに、長期国債利回りのそれ以前のピークは2007年、リーマンショック(金融危機)の渦中だった。
買い手が不足すれば、最後の買い手は米連邦準備制度(FRB)自身となるだろう。
問題は、コロナショック以降FRBが国債の大量買いを続けてきて、すでにFRBのバランスシート(保有資産)が膨れ上がっていることだ。

FRBは最近保有資産の縮小(量的引き締め)を始めたが、それがかえって長期金利上昇につながっている。
さらに悪化する可能性もある
そして残念なことに悪いニュースはまだ続く…
国債利回りはさらに上昇する可能性があるのだ。
これは貯蓄する人間にとっては朗報だが、政府のような支出者にとっては致命的である。
アメリカはまさに「債務の死のスパイラル」に陥ろうとしている。
なぜなら、議会はトランプ大統領の予算案の可決に近づきつつあるからだ。
この予算案が成立すると、「億万長者の減税のために1370万人分の高齢者向け医療保険が削減される」とも言われている。これは事実であり、望ましいこととは言えない。
さらに深刻なのは、この政策によって財政赤字が爆発的に膨らむことだ。
どれほど悪いのか?
連邦予算のための委員会、CRFBが行った下院の予算調整法案の分析によれば、2027会計年度の赤字は約6,000億ドル増加すると示されている。
これは総赤字を1.7兆ドルから2.3兆ドルへと3分の1も増やすことを意味している。
また、利払いを除いた年間の赤字がほぼ倍増させることにもなる。
(CRFBの債務分析はこちらから確認いただける。)
これが、ムーディーズが最近アメリカの信用格付けを「Aaa」から「Aa1」に引き下げた理由だ。
アメリカ政府は制御不能な赤字を修正するための対策を何も取っていない。むしろ悪化させているのだ。
債権投資家からは、「この国の政治家は借金削減に本気で取り組む気がない」とみなされ、その信頼性を失うだろう。
中国の動きに注目
こうした中で、債権投資家はどうするべきだろうか?
プロの投資家や世界中の中央銀行はこの状況をいち早く察知して、ある“信用の逃避先”に資金を移している。私は債権投資家も同じような動きを取るべきだと考えている。
“信用の逃避先”、それが金(ゴールド)だ。
つまり、米国債を売却し、その資金で金(ゴールド)を買い始めるのだ。
以下は中国の金保有量と米国債の保有量のグラフである。

最近の動きを見れば一目瞭然だろう。
青線の米国債保有量が低下している中で、金(ゴールド)の保有量が年々増加傾向にある。
こうした傾向が見られるのは中国だけではない。
世界中の中央銀行は過去3年間、毎年1,000トン以上の金を購入している。
今年の第1四半期だけで、中央銀行全体で244トンもの金を保有しようとしていた。
これは5年間の四半期平均を24%上回るペースだ。
より多くの中央銀行、海外投資家、大手機関投資家が米国債から金へとシフトすれば、アメリカは“負債の死のスパイラル”へとますます近づいていくことになるだろう。
そして一度このスパイラルに陥れば抜け出すのは非常に困難だと言える。
さらに状況を悪化させるのは、他国が米国債を売却するにつれて利回りが上昇し、それに対応するために財務省が紙幣(ドル)を発行せざるを得ず、インフレ圧力が増すという悪循環に陥ることだ。
こうした事態は本来防ぐことができる。
例えば、“アメリカの上位10%の富裕層に一律1%の資産税”を課せば、この財政赤字問題は永久に解決するだろう。
しかし厄介なことに現実は、富裕層が政府を支配しているため、そのような税が実現することはありえないだろう…
あなたは何をすべきか?
これを受けて、あなたはどうするべきだろうか?
私は中国人や日本人、ポーランド人、そして世界中のほとんどの人が中央銀行と同じように行動すべきだと思っている。つまり、金を買うのだ。
実際、私は今年1月8日のWeiss Ratings Dailyで、SPDR Gold Shares (GLD)を推奨した。
このETFは物理的な金を保有し、その価格を密接に追跡している。もしあなたがその時GLDを買っていたら、、、
すでに24%の利益を得ていただろう。こちらがGLDのチャートだ…

金の最新の急上昇は昨年末に始まっていることがわかる。
現在は上昇基調を維持している段階にあるが、おそらくそれも長くは続かないだろう。
大きな上昇トレンドは依然として健在である。
すでに上昇してしまったと捉えるのではなく、金を保有することで得られる潜在的な上昇余地と、アメリカが債務の死のスパイラルに向かう中で、金があなたのポートフォリオをどのように守れるかを考えてほしい。
投資家が自分自身の資産を守るためにできることはある。
健闘を祈って
ショーン・ブロドリック
===
いかがでしたでしょうか。
ブロドリック氏は
アメリカが“負債の死のスパイラル”に
陥りつつあり、
それが金融市場全体に
大きな影響を及ぼす可能性があると
警鐘を鳴らしていました。
そしてその兆候は
すでに数字として表れており、
・30年国債の利回りが
【19カ月ぶりの高水準】まで上昇
・2025年には【9.2兆ドル】もの
米国債が償還を迎える
・米国政府は年間【1.9兆ドル】もの
赤字を計上予定
という厳しい現実に直面しています。
こうした中、
世界中の中央銀行は米国債の代わりに
「金(ゴールド)」を買い増ししており、
金価格はすでに力強い
上昇基調に入っているようです。
事実、
ブロドリック氏が推奨した【GLD】は、
2024年1月からわずか数カ月で
24%の上昇を記録しています。
アメリカの財政不安が深まる今、
あなたの資産を守り、増やす手段の一つとして、
【GLD】のような金連動ETFをポートフォリオに
加えるのも有効な選択肢かもしれません。
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