テクノロジー分野がつまづく最中、過去(もしくは神話)の教訓を忘れないように!
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- 2020年9月16日
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ギリシャ神話の登場人物、イーカロスは地中海上空を飛行した。しばらくの間は楽しかっただろうと思う。天をより高く上っていく中、クレタ島沖の眺めは本当に綺麗だっただろう。
しかし、もちろんその楽しみは長くは続かなかった。太陽に近づき過ぎたため、彼の羽(鳥の羽を集めて蝋で固めていた)の蝋が溶けてしまったのだ。そして彼は墜落死した。
古代イーカロスの神話と現代の市場の間にどんな類似があるのだろうか?
超大型のテクノロジー株のテスラ(TSLA、格付け「C」)やその他FAANG株の最近のパフォーマンスを確認してみて欲しい。これらの銘柄の株価はこれまで鰻のぼりに上昇し続けていた。
しかし先週、テクノロジー銘柄に遅すぎる大幅な引き戻しが起きたのだ。
ドキュサイン(DOCU、「格付け「D+」)やズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM、格付け「C」)のように、小型だがまだ人気の高いテクノロジー企業でこのトレンドが続いている。
いわば蝋が溶けたような企業が沢山あると言うことだ!大半の企業の株価が瞬く間に5%〜20%下落した。ここから、我々が頼りにしているモメンタムが、どれほど頼りなくなり得るかを知ることができる。
もちろん、これらの銘柄はどれも長期的にはかなり高騰してきた。例えば、テスラは9月4日金曜日の終値で、年初来380%以上もの驚異的な上昇率を記録した。ズームも同430%以上上昇した。
でも、2000年3月頃の大手テクノロジー企業の折り返し地点でも同じことが言えたかもしれない。
丁度インターネットバブルが終わった頃だ。この当時の花形テクノロジー企業は小さいものも大きいものも利益をあげられなくなり、かつての輝きを失った。ナスダック総合指数は、その後2,3年で最終的にその価値の89%を失った。
さて、今回も歴史が繰り返すと断言するのは時期尚早だ。
しかし、市場が次にどこに向かうかを考える上で、今調べられることもある。
これがただのちょっとした引き戻しである場合、投資家たちはすぐにこれら大手テクノロジー銘柄に戻ってくることだろう。モメンタムもすぐ戻り、大半の投資家たちは9月初旬に相場が下落したことなど忘れてしまうだろう。
しかし、事態が悪化する場合、投資家たちがこのままの勢いで株を投げ売るのを目撃する可能性がある。モメンタムの下落が加速し、これらの銘柄で過剰に買われてきた株ほど、損失も一気に蓄積されることだろう。
この不確実な状況を踏まえて、以下の3つのステップを取るようお勧めしたい。
1.テクノロジー分野へのエクスポージャーが高い場合は、このようなボラティリティの上昇を警報と見なそう。反発を利用してテクノロジー銘柄の比率を軽減し、少なくとも一部の資金を他分野に分散しよう。
2.資金の再配分先として私は、「つまらない」分野の、配当を払い続けている銘柄や金・銀鉱山株を好んでいる。セーフ・マネー・レポートの読者も証言しているように、そのような企業は驚異的なパフォーマンスを発揮している。
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3.テクノロジー株の下落に拍車が掛かれば、平均株価がテクノロジー株に大きく依存している現状を考えると、平均株価にも問題が出てくることになる。8月末時点で、S&P500の時価総額の26%をたった5社の大手テクノロジー銘柄が占めた。あなたは債券をいくつか保有して、現金配分を高めたいと思うかもしれない。
しかし、より多くの価値を提供するのに安くで叩き売られている「忘れられた」銘柄の中には、短期運用の資産が回ってくるものもあるだろう。私は、利益が得られそうな投資先を特定するべく、産業や生活必需品といった分野を念入りに調べている。あなたも同じことをしたいと思うかもしれない。
そして何より、神話もしくは過去の教訓を忘れないようにしていただきたい。その教訓は現在の市場でも当てはまるのだから!
それではまた。
マイク・ラーソン