待望のアファーム・ホールディングスIPO
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- 2021年1月14日
- トピックス
十分な資金がないと言っていた ベアな投資家たちは 、オンライン消費者金融企業アファーム・ホールディングス(AFRM)のIPOを知らなかったようだ。
サンフランシスコに拠点を置く同社が月曜日に発表した待望のIPO=株式公開は、同社の幹部たちがより良いIPOを求めたため去年12月から延期となっていた。
アファームは、ペイパル(PYPL)の元CTOであるマックス・レブチン氏によって2012年に設立された。彼は、それ以前にイーロン・マスク氏やピーター・ティール氏、さらにはYouTube、LinkedIn、Yelp、Yammerを立ち上げた面々と一緒に仕事をしていた。
マスク氏とティール氏は、その後、テスラ(TSLA)、スペースX、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)でさらに大きな成功を収めることとなる。
この裏話はアファームIPOの価値を知る上で重要となってくる。
IPO Boutiqueの調査報告によると、アファームのIPOは、機関投資家からの関心が非常に高く、何度も申し込みが殺到したという。
飛び抜けているのは、ビジネスモデルだ。
アファームは、クレジットカードや従来の銀行融資に代わる無利息のサービスを提供しており、S-1の記録によると、同社のミッション・ステートメントは、信用履歴や貯蓄口座を持たない人々が小口融資を利用できるようにすることだという。
特に世界的なパンデミックや8%に近い失業率を考えると、大した事業ではないと思うかもしれないが、2020年第3四半期の売上高は1億7400万ドルで、前年同期比98%増となり、プロフォルマベースの損失は、前年の半分以下となる1530万ドルであった。
そして、2019年は成長も堅調であった。売上高が93%増の5億1000万ドルに達した。ペロトン・インテラクティブ(PTON)とエクスペディアグループ(EXPE)とのパートナーシップによる影響もあった。アファームは、銀行口座を持たない顧客へのアウトリーチのためのインフラを提供した。
アメリカでは、銀行口座を持っていないためクレジットを利用できない人が大勢いる。総世帯数の約25%が該当するという報告もあるほどだ。このため、アファームが取り組む事業は、重大な影響をもつ。金融テクノロジー企業は、大手銀行の文化とテクノロジーの境界線を曖昧にし、大成功を収めている。
注目すべきは、アファームが12月に計画していたIPOを中止したことだ。当時、同社はドアダッシュ(DASH)と、エアビーアンドビー(ABNB)がともに取引初日に急騰したことを注視していた。エアビーアンドビーの初値は、144.71ドルとなった。
同社が実施した13日のナスダック上場初日の終値は、97.24ドルと公開価格(49ドル)に比べ98.4%高で取引を終えた。初値は、90.90ドルで初値ベースの時価総額は220億ドルとなった。
コロナ禍でネット通販が拡大する中、旺盛な需要を背景に成長期待の買いが先行した格好だ。
アファーム株は、注目の新銘柄になるはずである。IPOの結果、同社の時価総額は、200億ドルを超え、スクウェア(SQ)、ペイパル、インテュイット(INTU)の時価総額はそれぞれ1010億ドル、2690億ドル、950億ドルとなっていることから、アファームは、まだこの先も上昇する可能性はある。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン