足場を固める暗号資産
- 1103 Views
- 2022年8月2日
- トピックス
ビットコイン(BTC、格付け「A-」)やその他の暗号資産(仮想通貨)は、現在の弱気相場における反発で市場の勢いを維持すべく、最近の上昇幅を拡大した。
先週は、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な経済引き締め策を弱める最初の兆候を示したことで、暗号資産と従来の株式市場の両方が大きく上昇した。
これは政策決定によるものではなく、2カ月連続で75ベーシスポイントの金利引き上げが行われたことに変わりはない。
むしろ、これまで絶対的だったFRBのタカ派姿勢に亀裂が入ったのは、パウエルFRB議長が将来のデータを考慮して調整する姿勢を示したからだ。
木曜日に発表された米国GDP成長率は2四半期連続のマイナスで、市場は、米中央銀行が利上げを停止する可能性を織り込んでいる。
そうなれば、よりリスクの高い資産に対してより良い環境が整うことになる。
そして、投資家はすでにその可能性を熱望している。ビットコインは、週では20%上昇し、21日移動平均と重要な2万4000ドルのレベルを超えて戻ってきており、暗号通貨価格を売られ過ぎの領域から押し出している。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
イーサリアム(ETH、格付け「A」)は横ばいに推移しているが、過去1カ月で50%で上昇し、市場のリーダーを顕著にアウトパフォームしている。
イーサリアムは、6月18日の880ドルを底に2倍近くまで上昇し、長期にわたる高値・安値切り下げの流れを決定的に覆したが、市場全体の圧力による反落の際には、新たな足場を確立することが重要だろう。
だが、予定されている「The Merge(ザ・マージ)」について多くの投資家が推測する中、ETHの勢いが続き、より高値へと推移する可能性が高い。それでも、ETHは1800ドルの厳しい抵抗レベルにぶつかる可能性がある。先日の取引で突破しかけたが、目標に到達する前に引き戻されてしまった。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
インデックス一覧
先週は暗号資産(仮想通貨)にとって強弱入り交じる週となり、市場はボラティリティが上昇する中、ほぼ一進一退の動きとなった。
より広い暗号資産(仮想通貨)市場が週半ばの低迷を覆すことに成功し、ワイス・50・クリプト・インデックス (W50)は3.63%上昇した。
ワイス・50・Ex-BTC・インデックス (W50X)は41.48%上昇し、ビットコインはアルトコインのパフォーマンスにやや遅れをとっている。
パフォーマンスを時価総額別に見ると、中規模コインは唯一の勝ち組となったが、どの時価総額も大きなダメージは受けなかった。
大規模コインは先週、わずかな差で最下位となり、ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)は4.03%下落した。
中規模コインは先週も何とか上位に食い込み、ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(WMC)は3.78%の上昇となった。
ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス (WSC)は3.84%下落し、先週は小規模コインが小幅な下落となった。
前週の顕著な上昇後に、広範な暗号市場が大きく下落することなく持ちこたえられたのは良い兆候だ。結局のところ、暗号資産(仮想通貨)は依然として弱気市場であり、投資家はそのことを念頭に置かなければならない。
それでも、この反発の動きはもう少し続くと思われる。
今のところ、アルトコインは、長期に渡る下落でより多くのダメージを受けたため、市場のリーダーをアウトパフォームし続ける可能性がある。
今後の推測
マクロ経済的な課題が続いているにもかかわらず、暗号資産(仮想通貨)市場が反発の動きを拡大したことは、ポジティブな兆候だ。FRBが経済引き締めの見直しを迫られれば、短期的には暗号資産価格の売り圧力がある程度緩和されると思われる。
だが、弱気相場のサイクルにおいて上昇幅は限られる。投資家は、暗号資産(仮想通貨)の冬の間、長引く弱気の流れに対処する必要があり、下落や調整の可能性を無視することはできない。
今後の見通しとしては、暗号資産のファンダメンタルズは、この弱気市場においてさえも常に改善されている。
暗号資産が主流の資産クラスへと変化していく中で、金融機関もその一翼を担うべく、採用が進んでいる。
政府や中央銀行が無責任にお金を使い、増刷しているため、より多くの機関や個人が代替手段を求めるようになるだろう。
そのため、暗号資産領域全般に対する我々の長期的な見通しは、依然として強気だ。
健闘を祈る。
サム
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。