楽観的な見方を背景に前進する暗号資産
- 792 Views
- 2022年11月7日
- トピックス
ビットコイン(BTC、格付け「A-」)とほとんどのアルトコインは、先日わずかに上昇し、暗号資産(仮想通貨)市場はようやく長期の下落トレンドから抜け出したようだ。
FRBの方針転換について投資家が楽観的になっていることから、暗号資産は今後も上昇を続ける可能性がある。現在、フェデラル・ファンド先物市場では、今週開催されるのFRB会合後に75ベーシスポイントの利上げが実施される確率が84%となっている。
1週間前の99.9%という確率からすると、大きく下がったように見えるかもしれない。
中期的には、投資家はさらに大きな希望を抱いており、来年3月のピーク金利が5%を超える確率は、この1週間で59.3%から34.1%に低下した。
この新たな楽観論は、既存の暗号資産を勢いを後押ししている。
ビットコインは先週好調な動きを見せ、ワイス・クリプト・タイミング・モデルが示す3つの主要トレンド指標を上回り、再び2万ドルを超えている。
最初の2つは、BTCが9月21日に80日安値をつけたことを確定するものだ。3つ目は長期トレンドラインで、ビットコインの長期トレンドがようやく弱気から転換する可能性を示しているが、それが確定するまでにはさらに強気な動きが必要だ。
この資産は依然として1万7500ドルから2万5000ドルのレンジの間で取引されているが、価格が大幅に下落しない限り、暗号資産の冬の終わりが近づいていることを示すポジティブ兆候だと言える。
現在、BTCは21日移動平均の1万9500ドルより約1000ドル高い位置にある。
一方、暗号資産(仮想通貨)市場がハイテク株やその他のリスク資産から切り離されたことは、明るい兆しだ。ナスダック100指数は、一連の大手ハイテク企業の決算を受け、先週からほぼ横ばいとなっているが、主要暗号資産は躍進している。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
イーサリアム(ETH、格付け「B」)は先日、約1%ポイント上昇し、1540ドルとなったが、これは好調な一週間の一場面に過ぎず、ビットコインの上昇率6%に対し、この時価総額2位の暗号資産は1週間で18%という驚異的な上昇率を記録した。
イーサリアムのアウトパフォームは、The Merge成功後の低迷期を受けたものだ。イーサリアムは21日移動平均の1350ドルを大きく上回り、横ばいの取引レンジの下限を安定的に超えて取引されている。
当面は、大きく急落しない限り、中立的なトレンドを維持することが予想される。
イーサリアムが暗号資産の冬の期間に、ビットコインに匹敵する値動きをしたことからもわかるように、以前の弱気市場の売り局面時よりも一層確立されたものとなっている。ETHの年間下落率は61%で、BTCの65%よりも低く、これはイーサリアムのエコシステムの成熟に伴う採用の大きな波によるものと思われる。
市場が前進するにつれ、イーサリアムはアルトコインの値動きの主要な要因となり続けるだろう。
いずれ条件が整えば、ビットコインとイーサリアムがリードする、おなじみのパターンが見られるようになるはずだ。そうなって初めて、アルトコインには投機が高まり、大きな資金が流入する。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
今後の推測
暗号資産(仮想通貨)市場は、暗号資産の冬の終わりに向けて有望な進展を続けている。長期下降トレンドから脱した後、弱気市場の足場を固めるためには、大きな急落を回避する必要がある。
しかし、暗号資産の冬の終わりは、必ずしも大幅な上昇相場が間近に迫っていることを意味するものではない。暗号資産(仮想通貨)市場は、インフレ、金利上昇、地政学的な不安定さといったマクロ経済的な逆風に依然として直面している。
FRBは暗号資産と伝統的な株式市場の値動きの両方において重要な役目を果たすことになる。もし、インフレ抑制のための積極的なアプローチを続けるなら、次の持続的な上昇の開始はより困難となる。
どちらにせよ、暗号資産の冬の間に厳しい状況があったにもかかわらず、採用は一貫して進んでいる。
フィデリティ・デジタル・アセットは、米国、欧州、アジアの1000以上の機関投資家を対象に調査したレポートを発表した。米国と欧州では、デジタル資産の導入率は過去1年間にそれぞれ9%、11%上昇し、42%と67%になった。アジアでの導入率は若干低下したが、69%で依然としてトップとなっている。
しかし、この数字はほんの始まりに過ぎない。市場が暗号資産の冬を乗り越えれば、普及は加速するだろう。ファンダメンタルズの改善と機関投資家のポジションが、次の大きな上昇の舞台となるはずだ。
健闘を祈る。
サム
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。