ビットコイン、37万4670ドルへ?
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- 2024年3月25日
- トピックス
今年3月中頃、ビットコイン価格は過去最高値を更新し7万2788ドルを記録しました。
これにより2021年末から続く長い冬が終わり、本格的なビットコイン相場が始まるかもしれません。
そうした意見がある一方で、「2年以上も停滞していたのだからやはり安全な投資先とは言えない」と思う方も少なくないでしょう。
ですが金(ゴールド)はどうでしょうか。金が安全な投資先の一つであることを否定する人は滅多にいないでしょう。しかし、ビットコインが2年ほどの停滞から抜け出そうとしているのに対し、金は10年以上の長い停滞から、ようやく抜け出そうとしています。
金とビットコイン、投資家が株式以外のアセットクラスに分散する際、一体どちらに投資すべきでしょうか?
普段は暗号資産の専門家や金投資の専門家の意見をお届けしていますが、今回はテクノロジー投資の専門家、ジョン・マークマン氏が分析する金とビットコインの関係について、お届けします。
デジタル・トランスフォーメーションは、物理的世界のあらゆる面を包含しつつある。 ビットコイン(BTC、格付け「A」)は現在、金のユースケース(活用実例)を圧倒しており、多くの投資家が金に変わるアセットクラスとして受け入れるようになるだろう。
今月、ビットコインの価格は過去最高値の7万2788ドルを記録した。一方の金も2175ドルと高値を記録している。
金は地球上で最も歴史ある資産の一つだ。その優位性には絶対的なものがあり、崩れることはないだろう。しかしビットコインなど代替資産に対する相対的な優位性は縮まっていく可能性が高い。金の投資家は一部を利確してビットコインに投資することが素晴らしい投資判断になるかもしれない。
はっきりさせておくが、私はビットコインの購入を一律に推奨しているわけではない。投資家はデジタルトランスフォーメーションのインフラを構築する、質の高い成長企業の株を買うべきだ。
私の考えでは、株式は成長性と安全性の両方に優れている。厳選されたポートフォリオは、デジタルトランスフォーメーションの流れに乗る最良の方法である。そのためあなたがどんなタイプの投資家であれ、厳選された成長株をポートフォリオの中核にすることが重要だ。
話を戻そう。
あらゆる投資対象は投資家の需給によって価格が決定される。それが価値だ。
金が時の試練に耐えてきたのは、はるか昔、誰かが光り輝き、変質しにくく、貴重性のある金属に価値があると判断したからだ。これは理にかなっている。
何世紀も前、金を採掘するのは難しく、コストも高かった。金を採掘する人、採掘された菌をコントロールする人々は富を築いた。価値の貯蔵庫としての金は、政府が始まる前から存在し、多くの政権が崩壊した後も続いている。
しかし政府は賢くなった。政府は貨幣を作り、国家の金保有量を担保にした。金本位制と言われるもので、多くの人が価値を認める金を裏付けとして貨幣を発行したのだ。
その後、今私たちの多くが使っている不換紙幣が登場した。
さまざまな意見があるが、不換紙幣の価値の担保は、課税だ。国民は税金を支払う義務がある。そして国は税金を金(ゴールド)では受け取ってくれない。野菜や小麦でも受け取ってくれない。
米国政府が税金として受け取ってくれるのは、米ドルだけだ。国民が納税の義務を果たすためには、米ドルが必要不可欠であり、それが米ドルが流通し、価値を裏付ける主要な要因となっている。
不換紙幣の供給量は実質的に無限だ。政府が膨大な債務を負っていることや、パンデミック下で天文学的な米ドルが無から生み出されたことを知っているだろう。政府は新たなマネーサプライを意のままに作り出すことができる(そして実際に行う)。そして、市場に流通する貨幣の量が増えるということは、インフレを生み出す。
インフレは金に影響を与える。金の価値そのものは古来から変わらないはずなのに価格が上がり続けている理由は、インフレによって通過の価値が低下しているからだ。
金に限らず、あらゆるハードアセットの価格は米ドル、英ポンド、ユーロドル、日本円、その他の不換紙幣で決まる。
ビットコインは新しい金
デジタルゴールドという言葉で表されるように、ビットコインは金のデジタル版だと言える。
投資家の中には、この考えを否定する人もいるが、私はこの意見に賛同する。
資産価格の第一法則は、価格は価値の認識によって決まるということだ。
投資家の総意によって価値が見出されると、その資産は価値あるものになる。ビットコインの時価総額は1兆ドルを超えている。これは上位数社の超優良企業を除けば、ほぼすべての企業価値を上回っている。要するに、多くの投資家は大半の株式より、ビットコインの価値を高く評価しているのだ。
投資家は明らかにビットコインを価値の貯蔵庫として、また現物の金や現金に代わる魅力的な選択肢として見ている。
ビットコインは、希少性、分割可能性、携帯性という点で金よりも優れている。
ビットコインの供給量はプログラムにより2100万コインに制限されている。さらに、この閾値に近づくほど、新規発行はますます難しくなる。
金にも実質的な制限はあるが、ビットコインほど厳密ではない。採掘技術の向上によって、採掘量や採掘可能な埋蔵量は増えていくだろう。
また、分割可能性も素晴らしい。金の延べ棒を保有していたとして、一部を削り取ってテレビを買うだろうか?現実的ではないだろう。正確に測り、削り出すためのコストも発生してしまう。なにより面倒だ。
一方、ビットコインは設計上、サトシと呼ばれる小さな単位に分割することができる。1サトシはビットコインの1億分の1の価値を表す。
理論的には、ビットコインは一粒の米からダラス・カウボーイズのフットボールクラブまで、物理的な世界のあらゆるものに価値を割り当てるために使うことができる。
iPhoneで撮った写真のように、ビットコインはすぐに持ち運べる。デジタルで保存され、数秒で世界中に転送できる。
アップルは最近、量子暗号と呼ばれる最新鋭のセキュリティを導入した。まだ初期段階の試みだが、いずれ役立たなくなることがほぼ確定している現在の暗号化技術より、はるかに安全性が高いものになるだろう。
場合によっては現物の金が保管されている銀行の保管庫よりも、iPhoneの方が安全性が高いものになるかもしれない。そうなればビットコインが与える安全資産、富の保管場所としての役割はますます強固になる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は2024年のどこかで利下げを行う可能性が高い。政策金利の引き下げは通貨供給量を増加させ、インフレを引き起こす。
投資家たちは、価値が下がる貨幣ではなく、資産、つまり価値の貯蔵物を買うことで対応した。利下げの予測が具体的になり始めた昨年10月以降、ビットコイン価格は151.2%、金価格は19.3%上昇した。
この上昇からも、多くの投資家が価値貯蔵手段として金よりもビットコインを選んでいることがうかがえる。
ビットコインの37万4670ドルへの道
世界で採掘されるすべての金の価値は14.6兆ドルと推定されている。ワールド・ゴールド・カウンシルの2024年の報告書によると、これは、現在の市場価格に総採掘量である21万2582トンを乗じたものである。
こちらは時価総額の大きな投資先を、アセットクラスの垣根を超えてランキングしたものだ。
時価総額世界一位のマイクロソフトは二位だ。最も多く投資されている投資先は、金なのだ。
そして注目すべきはグーグルに次ぐ第八位にビットコインがランクインしていることだ。すでに金に次ぐ主要な貴金属である銀(シルバー)を上回った。
ビットコインの価格が金に対してどのような位置づけになるのか、実際の計算は複雑だ。しかし、投資家が最終的にビットコインの時価総額を金の3分の1近くにすべきだと結論づけた場合、1ビットコインの価格は37万4670ドルまで急騰しなければならない。
この数字を理解するのは難しい。不当に思える。しかし、価値ある資産としての金の起源も同じような道をたどった。半世紀前に金は1オンス2000ドルを超えると言ったら、笑われただろう。たとえ100ドルでも誰も買わなかったに違いない。1970年当時、金は1オンス35ドルほどだった。
なぜこれほど金価格は上昇したのか?インフレによって通貨価値が下落したからだ。そして、金はドルに変わる安全資産だと、多くの投資家が知覚したからだ。
私は金の価値がなくなると言いたいわけではない。現物には現物の価値がある。金は宝飾品や工業素材としても使われるが、この役割までビットコインは代替できない。
これまでの数千年がそうであったように、これからも金は主要な安全資産の一つとして、その優位性を発揮するだろう。
ただその優位性の一部が、ビットコインに代替されていく可能性は高い。デジタルトランスフォーメーションの時代において、安全資産が金からビットコインに進化するのは自然なことのように思う。
フィルム写真を現像してもらっていた時代から、iPhoneに膨大な写真が、コストゼロで保有できるようになったことや、数千円支払い映画館を訪れた時代から、ネットフリックスで作品を楽しむようになったこと。番組が固定されたテレビを見る代わりに、Youtubeで一人一人が好きなものを好きな時に見るようになったことと本質的には同じだ。
確かに今でもフィルム写真や映画館には価値がある。だがあなたが賢明な投資家なら、アップルやネットフリックスに投資した方がいいと考えるのではないだろうか。
金とビットコインの関係もそれと同じようなものだ。
最後に一つ注意点を述べておく。私はデジタルトランスフォーメーションの専門家だ。ブロックチェーンなどのテクノロジーには精通しているが、ビットコイン投資の専門家ではない。また、金についても同様だ。
デジタルトランスフォーメーションの流れを分析する限り、安全資産の役割が金などのオールドアセットから、ビットコインなどのデジタル通貨に移行していくことは間違いないように思うが、実際の投資判断についてはそれぞれの専門家の意見を聞くべきだろう。
Weiss Ratingsの同僚には、暗号資産の専門家ジュアン、金など資源投資の専門家のブロドリックがいる。ジュアンは10年以上前、ビットコインが数ドルだった頃からこの分野の専門家で、ブロドリックは重機を扱い金鉱山の中身を探検することもある。
彼らから届く情報も忘れずチェックしてほしい。
また次回。
ジョン・D・マークマン
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