FRB紙幣増刷でお祭り騒ぎ、各分野の投機煽る
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- 2020年8月7日
- トピックス
COVID-19の流行により、今年の夏はコンサートに行く機会が失われたかもしれない。しかし、FRBが独自で行う「紙幣増刷」フェスが中止にならなかったのは間違いないようだ。
FRBのバランスシートはここ数ヶ月で70%も爆発的に拡大した。2月下旬時点では4兆1,000億ドルだったのに、先週は約7兆ドルまで達した。
大量のお金を印刷しつつ、これまでよりも多くの市場や資産の買い付けや支援を行っている。FRBの週毎のバランスシート報告書には略語やクレジットプログラムがありすぎて、もはや動向を追うことすら難しくなってきた。
一方、市場の反応はというと・・・
1. 米ドルが暴落!ユーロ、ポンド、カナダドルが堅調な中、ドルが独歩安に。世界の主要6通貨に対する米ドル指数は2018年6月以来の低水準を記録。
2. 金と銀が急騰。貴金属はここ10年で最も強い強気相場を経験中。金は7月28日(火)の早い段階で1オンスあたり1,974ドルという史上最高値を記録。銀は26ドルを超え、2013年4月以来の高値を記録。
3. 金利はさらに下落。全体的にはV字回復を遂げたことを思い出して欲しい。債券市場も回復した。国債価格は5月と6月の損失を取り返している一方、中期・長期金利は、経済と政策への懸念が強まる中で数ヶ月間の安値に転落している。
FRBの積極的な取り組みにより、市場は混乱している。投機への意欲とリスクを取る姿勢が今までになく高まっている。
モルガン・スタンレーの投機指数は、わずか数ヶ月で-3.8から驚きの+2.2に急上昇した。その理由はすぐにわかる。このFRBのバランスシートのチャートをご覧いただきたい。
FRBは7月29日(水)に、最新の政策決定会合を終えた。
その後、審議結果が発表され、ジェイ・パウエル議長が恒例の記者会見のため演壇に立つだろう。
最近の市場の動きからも明らかだが、市場の専門家たちはFRBが市場にもっと多くの燃料(資金)を注ぐことを期待している。
専門家らはその情報が29日(水)か、9月にある次回のFRB会合で示唆されることを期待している。
提示されている選択肢には、国債や住宅ローン債の買入れ割合を引き上げるというものがある。イールドカーブ・コントロール(超短期のFFレートだけでなく、より長期債券の金利を固定化する政策)もある。また、企業債市場、地方債市場、ローン担保証券のような難解な構造の市場などに、さらに深く取り組む可能性もある。
※FFレートとは、FRBに預け入れる準備金が不足している銀行が、余剰のでている銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利
私たちはこれまでの経験から、市場に投入されるこの金融的な施策はどれも実体経済にはほとんど影響を与えないということを分かっている。結局、長年量的緩和(QE)や超低金利を続けてきたが、インフレは起きず、成長率も大して上昇しなかった。
しかし、これにより世界で最も資産を持つ上位1%の人々はさらに裕福になるだろう。
市場の投機家たちはさらに大胆に投機を行うだろう。そのために既に始まっているトレンドが拡大、加速していくことになる。
つまり、もしFRBが市場に望むものを与えれば、ドルと金利がさらに下がり、金属や鉱業が大きな利益を得ることになると考えられる。
また、高配当で高格付けの銘柄が市場を凌ぐパフォーマンスを上げる流れが強まることも予想される。
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もし、FRBがコース変更を示唆するような、あり得ないシナリオを提示したとしたら?市場の無謀な行動や熱狂的な投機を抑制する一環としてそのような行動を取る可能性もある。
その場合は、金属を含む特定の資産の価格修正につながる可能性が高い。
しかし、FRBは行動を通して、バブルを煽る政策の長期的な負の結果など気にしていないと繰り返し示してきた。時折相反する話を耳にすることもあるだろうが、それは口だけの話だ。
だから、FRBの取り組み方に本当の変化が見られない限り、そのような価格の引き戻しは、素晴らしい資産を良い価格で購入する絶好のチャンスと捉えるようにしよう。
それではまた。
マイク・ラーソン