大投資家は、ついに金と鉱山株の可能性に気付いたか?
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- 2020年8月27日
- トピックス
金は8月20日、FOMC議事録の発表を受けて大きく下落した。
FRBは「将来的な選択肢として残されるべき」と再び強調し、経済が減速し続ければ行動する準備ができているとしたものの、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)政策を選択肢から外したように見えた。
私は、経済は減速し、FRBは行動せざるを得ないと考えている。
先日のメルマガで、次の金を買うタイミングについていくつか具体的にご紹介した。そこまで下がるかもしれないが、下がらないかもしれない。資金を豊富に持つ投資家達がこぞって金と鉱山株を買い始めているからだ。
大投資家ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ(BRKA)が、バリック・ゴールド(GOLD)の株を購入したと発表し、金市場は大騒ぎとなった。彼がこの銘柄に魅力を感じる理由はわかる。
さらに面白いことに、バフェット氏には仲間がいる。ブリッジウォーター・アソシエイツ、ダブルライン・キャピタル、ポール・チューダー・ジョーンズなどの大口ファンドや大口投資家が、最近、金や鉱業株の保有量を増加させることを発表した。パーティーへ参加するのだ!
大投資家は、ついに金と鉱山株の可能性に気づいたのだろうか?そのようだ。
その後、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、バリック・ゴールドのCEOであるマーク・ブリストウ氏にインタビューを実施。インタビューの中で、彼は投資家が金業界において注意すべき事実をいくつか挙げている。
事実1. 「金の採掘ピークは、間違いなく過ぎている」とブリストウ氏は述べた。彼は、2000年以降、鉱山会社の埋蔵量に新たに追加された金は、その期間に採掘された金の半分にしか相当しないと推定している。
事実2. 金業界の昨年の探査予算は44億4000万ドルで、過去最高だった2012年を63%も下回った。1オンスの金を見つけるための平均コストは、2009年から2018年の期間に62ドルとなり、過去10年間で2倍以上のコストがかかっている。
事実3. 貴金属コンサルティング会社のメタルズ・フォーカスによると、金鉱山の平均品位(鉱石中に含まれる目的の鉱物・金属の含有率を示す値)は、1970年代初頭の1トン10グラム以上から、昨年は1トン1.46グラム程度まで低下している。
これらの要因は、私がこれまでメルマガで述べてきた金と銀を押し上げる要因に沿っている。
- 各国政府のマイナス利回りによる借金は、金を保有する機会費用を大きく減少させる。最近、その借金は15.29兆ドルに達した。
- ETFの金と銀保有量はどんどん増加し、これまでのところ、ETFは今年、金の保有量が31%増の2550万オンス、合計1億0850万オンスとなっている。
- 金の価格は、前回の強気市場のインフレ調整後のピーク価格を大幅に下回っている。
- 鉱業株はS&P500に比べて歴史的に安い。
- 金・銀の供給/需要圧迫の悪化。
- 中央銀行による金買い。昨年の中央銀行の購入量は646トンだった。今年は、今の所ゆっくりとしたペースではあるが、買いは続いている。カザフスタン、トルコ、モンゴル、インド、カンボジア、カタール全てが7月に金を購入した。
そして、通貨の中では、金が最も信頼性が高いという事実がある。先週のドル円の跳ね返りに惑わされないようにして頂きたい。これはデッド・キャット・バウンス(大幅下落後の一時的な小幅回復)であろう。 かつて強大だった米ドルは、破滅への道を辿っている。米ドルは、今年初めの高値から約11%下落しており、通貨としては非常に大きな動きだ。そして、これは米国債の利回り低下によるものだ。面白いことに、金価格は7月だけで11%上昇した。
そして、この利回り低下は、米国の債務膨張に起因しており、投資家達はCOVID-19による経済への影響と、それによる不況に怯えている。
しかし、投資家は米ドルを離れ、どこに向かうのか?このチャートを見てみて頂きたい。
債券利回りの急落と米ドル、そして金価格の急騰との間に強い相関関係があることがわかる。
以前に述べたように、私は金の強気市場は初期段階にあると考えている。 二歩進んで一歩下がっているだけだ。
それは、先進国の景気回復の遅れやドル安を背景にしている。その「背景にある混乱」が、投資家に金に注目するインセンティブ(誘因)を与え、金に「安全資産」というステータスを持たせている。
よって、豊富な資金を持つ大投資家達が、いよいよ金や鉱山株を買い始めている。賢い投資家は先手を打つものだ。
金と鉱山株の投資家にとって、未来は明るいものになるだろう。
あなたの成功を願って。
ショーン