ワクチン開発のニュースで市場は急上昇ーどう反応し、行動すべきかお伝えしよう
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- 2020年11月18日
- トピックス
先週、ファイザー(PFE、格付け「C」)は、COVID-19ワクチンが完成に近いという爆弾発言をした。そして今週は、モデルナ(MRNA、格付け「D」)が同様の発表を行い、ニューヨーク株式市場が上昇した。この二つを合わせて考えると、いずれもダウ平均を過去最高値に押し上げ、マーケットの景色を変えてしまった。
まずはどんなニュースだったのか振り返ろう。 効果的なワクチンを市場に出すために競い合っている製薬・バイオテクノロジー企業は複数あり、ファイザーとモデルナもライバル同士の企業だ。 最近、米国ではコロナウイルスの新規感染者が1日15万人を超え、入院数も急増している。 よってワクチンの開発は、我々全員が「普通」の生活に戻るために必要不可欠と言える。
ファイザーは、独ビオンテック(SEBNTX、格付け「D」)とワクチンを共同開発し、大規模臨床試験でボランティアの感染症予防に90%以上の効果があった。
モデルナの場合は、さらに期待が持てる結果となっている。 同社のワクチンは感染予防にほぼ95%の効果があるとのことだ。
まだ、研究について完全な詳細を知ることはできていない。 重要な課題が残っているし、他の企業による治験はまだ進行中だ。 そして、いずれの企業もFDAからワクチンの緊急承認を得た場合でも、ワクチンが製造され、広く流通するまでには数ヶ月はかかると考えられる。
しかし、市場は大喜びでこの二つのニュースを歓迎した。 株式は上昇し、米国債は下落、金と銀が引き戻し、ボラティリティが低下した。また、「ステイ・アット・ホーム」銘柄や、あまりにも高すぎるテクノロジー銘柄、その他成長株から脱出する動きが顕著だった。投資マネーは、金融やエネルギー、産業などの停滞中の分野、いわゆる「バリュー株」に流れ込んで行った。
ここで当然疑問となってくるのが、「この流れが続くのか」ということだ。 また、この投資資金の動きの変化を利用するために我々も投資戦略を変えるべきなのだろうか?
私自身は、今は大きな変化を起こす時期ではないと思っている。防衛的で高利回り、高評価の銘柄や業種は、2018年初めから高値を更新し続けている。 COVID-19で打撃を受けるずっと前から株価のパフォーマンスが市場平均を上回っているのだ。 それは、基盤となる景気や信用の循環が既に変化しているからだ。パンデミックはその変化を早め、拡大しただけだ。
もしこのパンデミックが明日消えるとしても、このような根本的な問題を抱えていることに変わりはない。 もちろんCOVID-19が明日には消えて無くなるということも当然ない。ワクチンの治験や流通、入手可能になり接種できるまでについての問題は、少なくとも数ヶ月は続くだろう。
もしこれが本当に強力かつ持続的な相場の転換なら、数日か数週間以上持続するかを見届ける必要があるだろう。従来のバリュー分野については、一貫したパフォーマンスが見られるようになるまで、あまりお金を投入したいとは思わないだろう。 これまで最もよく機能し、今後数ヶ月の間に最もよく機能し続けるであろう、セーフマネーのアプローチに従おう。
最後に、11月16日月曜日時点のランキングのトップ銘柄を紹介しよう。しかし、これらのランキングは変動する。新しいデータが入り次第更新されることをお忘れなく。
それではまた。
マイク・ラーソン