EV車の販売が本格化することを示す1つのチャート
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- 2021年9月10日
- トピックス
見ていただきたいチャートがある。電気自動車(EV)用電池の過去10年にわたる価格推移を示したものだ。
そして、これはある意味、EVメガトレンドの未来へのロードマップでもある。
EVの中で最も重要なのはバッテリーだ。平均すると、2019年から2020年にかけてバッテリーの価格は13%下落し、過去10年間では89%も下落していることがわかる。これにより、EVはICE(内燃機関)車との価格競争に突入した。
つまり、このチャートはICEの時代がほぼ終わったことを示している。EVの時代がやってきたのだ。
「パリティ価格」とは、 理論上、自動車メーカーがEVを製造・販売する際に、政府からの補助金なしで、同等のICE車と同等のマージンを得る状況を指す。
EVの未来について、3人の人に話を聞くと、3つの異なる意見が出てくるだろう。しかし、一般的には、1キロワット時(kWh)あたり60ドルというのが、世界中でEVがICE車よりも安くなるラインだろうと専門家は言う。
上のチャートの資料元であるブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスは、バッテリーの価格が2020年の137ドル/kWhから、2026年には80ドル/kWh、2029年には60ドル/kWhになると予想している。
すべてのコストを考えれば、もっと早いかもしれない。
米国エネルギー省(DOE)の新しい研究によると、バッテリーEV車の維持費は、ICE車に比べて40%も低いことがわかっている。
さらに、車をお店に持ち込むための時間のコストもある。
アーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッド氏によると、燃料代やメンテナンス代、保険代、リセールバリューなどの節約分を合計すると、EVはすでに一部のガソリン車よりも所有コストが安いという。アークによると、早ければ2023年末には価格が同等になるとのことだ。
昨年のEV販売台数は324万台で、全世界の自動車販売台数の3.2%を占めており、全世界の販売台数に占めるEVの割合はまだ小さい。今年、2021年の上半期だけで、265万台のEVが新たに販売された。これは、2021年で何と168%の増加だ。
そして、今年はまだ終わっていない。
興味深いことに、EVが早く、多く売れれば、価格の低下も早くなる。
それはスケールメリットによるものだ。
前世紀、伝説の航空機技術者セオドア・ライトは、経験曲線効果として知られる「ライトの法則」を考案した。その結果、航空機の生産量が2倍になるたびに、労働時間とコストが20%ずつ減少することがわかった。
これをEVのメガトレンドに当てはめると、リチウムイオン電池セルのコストは、生産台数が累積で2倍になるごとに28%ずつ下がっていくことになる。
新車の価格が上昇するのをご存知だろう。実際、5月の新車の平均価格は、前年同月比で5.4%上昇した。
そして、
- ゼネラルモーターズ(GM)は、シボレー・ボルトの価格を昨年のモデルから2万1000ドル以上引き下げた。なぜなら、バッテリー技術のコストが下がったからだ。
- フォード(F)は、電気自動車「F-150 ライトニング」の米国での販売価格を、製造コストがまだ高いと思われるにもかかわらず、従来のF-150と同程度の価格で開始すると発表した。フォードは、発売前の大きな需要を受けて、電気自動車F-150の生産目標を2倍にすると発表したばかりだ。
- テスラ(TSLA)とフォルクスワーゲン(VWAGY)は、EV用バッテリーの価格を1kWhあたり60ドルまで下げることによってEVの総所有コストが1マイルあたり平均26セントになることなどを公然と議論してきた。
米国エネルギー省のオフィス・オブ・ヴィーイクル・テクノロジーによると、これは平均的なICE車の1マイルあたり27セントよりも安い。
要点は、未来はすぐにやってくるということだ。そして、それは思ったよりも早いかもしれないと考えている。
投資家は今すぐこの波に乗ることを検討してみよう。
あなたの成功を願って。
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