【3種類の配当利回り】どれを見ていますか?
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- 2022年3月24日
- トピックス
こんにちは。
Weiss Ratings Japanの安居です。
先週の米国株式市場は大きく上がりましたね ^^)
今週に入ってからも比較的堅調です。
ダウ平均は+5.49%
S&P500は+6.95%
ナスダック100はなんと
+10.53%と大きな上昇です。
とはいえ、年初からの値動きはこんな感じ。
※tradingview
上がっている、、、というより
ボラティリティが大きいという印象です ^^;
そもそも株価が下落していた要因
・FRBの利上げや量的縮小
・40年ぶりのインフレと経済鈍化
・ロシアのウクライナ侵攻
が解決されたわけではありません。
引き続き、相場に振り落とされないよう
懸命な投資家として冷静に行動していきましょう ^^)
前回は「強くて弱い株を買おう」ということで
企業として強いのに、株価が下落している銘柄の一つ
アボット・ラボラトリーズを紹介しました。
メルマガを読んで投資判断された方、
他の銘柄にも興味を示された方から
たくさんの感想をいただきました。
前回のメルマガはこちらからご覧いただけます。
↓
「強くて弱い株」を買おう
他にも「この株も紹介してください!」
という声をたくさんいただきました。
要望が多いものは機会があれば
取り上げていこうと思います ^^)
ということで今日の本題ですが、
「配当利回り」についてです。
このメルマガを読んでいる方には
配当狙いの投資家がたくさんおられます。
僕もメインは配当狙いです ^^)
そんな配当狙いの投資家へ質問です。
3種類の配当利回りを
区別できていますか?
配当利回りが3種類?なに言ってんだ?
と思ったかもしれませんね。
でもこれ、投資先によっては結構重要です。
知らない方はぜひ覚えておいてください ^^)
1.予想配当利回り
1つ目の配当利回りは「予想配当利回り」です。
「予想」という名前の通り、今後1年間で支払われる
予想配当金額を、現在の株価で割ったもの。
株価100ドル、今後1年で3ドルの配当金を出す想定の場合、
配当利回りは3%になりますね。
Yahooファイナンスやモーニングスターは
予想配当利回りを採用しています。
モーニングスターからデータ提供されている
Googleファイナンスも予想配当利回りです。
一般的に配当利回りというと、
この予想配当利回りを指すことが多いです。
2.直近配当利回り
続いては「直近配当利回り」です。
これは直近の配当金額×1年間の配当支払い回数を
現在の株価で割ったもの。
年に4回配当を出す株価100ドルの銘柄で
前回の配当金額が1ドルであれば
1ドル×4回で配当利回りは4%になります。
ブルームバーグは直近配当利回りを採用しています。
3.実績配当利回り
最後は「実績配当利回り」です。
これは過去1年間に実際に支払われた配当金額を
現在の株価で割って求めたもの。
株価100ドルで過去1年間に
1.0、0.5、0.5、1.0ドル配当金を支払っていたら
配当利回りは3%になります。
Weiss Ratingsの配当利回りは
実績配当利回りです。
これが3つの配当利回りです。
それぞれにメリット、デメリットがあるので
一概にどれが正しい配当利回りとはいえません。
例えば、
株価100ドルで過去1年間に
1.0、0.5、0.5、1.0ドルで合計3ドル
と配当を出した銘柄が、今後は減配して
0.5、0.5、0.5、0.5ドルで合計2ドル
になるとしましょう。
この場合、
予想配当利回りは2%になります。
直近配当利回りは1.0ドル×4回で4%です。
そして実績配当利回りは
過去1年間の配当金の合計なので3%になります。
配当利回りが2%と4%では全然違いますよね。
だから普段見ている配当利回りがどの配当利回りなのかを
知っておくことが重要なんです。
そしてこの例の場合、減配が予想されているので、
直近配当利回りを見て投資判断すると
痛い目を見る可能性があります。
とはいえ、予想配当利回りはあくまでも予想。
減配も増配も、実際の事業に左右されるので
今投資して1年間で受け取れる配当金とは
ズレる可能性があります。
実績配当利回りも過去のデータなので
今投資して同じ配当が受け取れるのかはわかりません。
つまり、配当利回りについて
「これだけ見てたらOK」
という指標は存在しないんです。
じゃあ僕は何を見ているのかというと…
・予想配当利回り
・実績配当利回り
の2つを中心に見ますが、
配当利回りだけで投資先は選びません。
過去の利回りや配当実績も確認しますし
配当性向も確認します。
もちろんWeiss Ratingsの配当評価も見ます ^^)
ということで最後に、前回紹介した
アボットラボラトリーズの配当を
それぞれの利回りで見てみましょう。
まず、アボットラボラトリーズの
それぞれの利回りはこんな感じです。
・予想配当利回り:1.54%
・直近配当利回り:1.54%
・実績配当利回り:1.49%
同額の配当を年4回出していて、
前回の決算で増配を発表したので
予想と直近配当利回りは同じです。
実績ベースで見ると増配前の配当も含まれるので
利回りは少し低めに出ていますね。
続いて過去の配当金や利回りの推移を見ていきましょう。
https://marketchameleon.com/Overview/ABT/Dividends/
こちらはMarket Chameleonというウェブサイトで確認した
アボットラボラトリーズ過去の配当利回りの推移です。
ちなみにこの配当利回りは「実績配当利回り」です。
コロナショックの時に株価暴落で
配当利回りが急騰していますが、
概ね1.0~1.5%の間で推移しています。
今の配当利回りは過去と比較すると
高めであることがわかりますね ^^)
この過去の配当利回りが大きくブレている場合、
長期の高配当投資としては注意が必要です。
例えば、こちらはヴァーレという
資源開発企業の配当利回り推移です。
https://marketchameleon.com/Overview/VALE/Dividends/
直近の実績配当利回りは20%もあるのですが
一時は30%以上あったのにどんどん下がっています。
そして過去数年間で見ると、
多くの期間で配当利回り3%程度です。
つまり、この銘柄を見て
「配当利回りが20%越え!すごい!買おう!!」
と考えるのは危ないということですね ^^;
株価が暴落したのか?
大型の増配を行ったのか?
大型の増配を行ったとしたらその理由は何か?
持続性がある増配なのか?一時的なものなのか?
これらを調べないと
20%の利回りがあると思って投資したのに
実際には数%しか受け取れなかった…
なんてことになりかねません。
配当目当てで投資する時はさらに
・増配年数/増配率
・配当性向
・業績と市場の成長
などを分析していくのですが、
長くなるので一旦終わりにしましょう ^^;
今回は配当狙いの投資家向けに
3種類の配当利回りを紹介しました。
と言っても、この3種類の配当利回りは
そこまで重要ではありません。
細かく分類すればもっと色々な配当利回りがあります。
伝えたかったのは、
配当利回りで投資先を選ぶな
ということ。
配当投資は、長期投資がメインになります。
年に数%の配当で資産を増やすのですから、
5年、10年、20年という単位で考えないと
意味がありません。
でも、その判断材料である配当利回りは
あくまでも「今この瞬間」の利回りです。
しかもメディアによって今後1年間の予測や
過去の実績など計算方法はバラバラ。
当然、予測が当たるとは限りませんし、
5年、10年先のことはわかりません。
過去の実績も、今から投資する人にとって
参考になる数字ではないでしょう。
ちなみにヴァーレの配当利回りですが、
Market Chameleonでは21.4%
Weiss Ratingsでは13.36%です。
同じ実績配当利回りなのに大きな差がありますね。
その理由は、Weiss Ratingsが
今月23日に支払われる
最新の配当を計算に含んでいるのに対し、
Market Chameleonではまだ最新の配当が
計算に含まれていないからです。
こうしたちょっとした違いによって
配当利回りが大きくブレることがあるんです。
だからこそ、配当投資では利回りだけでなく、
長期的な推移や事業の成長など
色々なことを考える必要があります。
投資って難しいけど、
奥が深くて面白いですね。
今回のテーマは参考になったでしょうか?
ちょっとマニアックすぎたかなという気もします ^^;
ご感想・ご意見をお待ちしています ^^)
↓↓
https://jp.surveymonkey.com/r/LPCBWNK
P.S.
Weiss Ratingsは1万銘柄以上ある
全ての米国株を日々評価しています。
格付け情報のほか、アメリカ人アナリストの記事も
たくさんあるので、ぜひご覧ください
https://weissratings.jp/
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。