ゼネラル・モーターズ株を避けるべき理由
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- 2022年4月14日
- トピックス
ホンダ(HMC)とゼネラル・モーターズ(GM)の幹部は2日、2027年から3万ドル以下の電気自動車(EV)を製造する計画を発表した。
彼らは前向きな反応を期待していたが… それとは程遠い、当然といえば当然の反応が返ってきた。
レガシー自動車メーカーが認識すべきは、EVの爆発的な普及はまだ始まったばかりだということだ。ヨーロッパと中国では保有台数が急増しているが、重要なアメリカや日本の市場では、まだ電気自動車やトラックが受け入れられていない。
国際エネルギー機関(IEA)の調査によると、これらの主要市場において、EVが占める割合は現在わずか4%である。
普及率が伸び悩んでいるのは、デトロイトや東京の既得権益に起因する部分が大きい。
フォード(F)、ステランティス(STLA)、ゼネラル・モーターズ、トヨタ(TM)、ホンダは、今でも内燃機関(ICE)を売り物にして大儲けしているのだ。
少なくとも、かつてはそうだった…。パンデミック以来、自動車産業の大半は深い落ち込みに陥っている。
一つの例外を除いて、すべての主要自動車メーカーが2020年に主要半導体の発注を削減した。
経営陣は、多くの国が経済封鎖を選択したため、売上が伸び悩むと想定していた。この運命的な決断が、現在の半導体不足を生み出した。
チップメーカー各社は単純に、自動車向けの受注を家電メーカー向けの需要に置き換えた。
ただし、EVの王者テスラ(TSLA)はチップの発注を減らさなかったため、同社の人気のEVは先行予約販売された。
レガシー自動車メーカーは、テスラの大成功を収めたEVビジネスモデルをどうしても真似したい。そうすることで多くのリスクを取り除くことができるが、そこに至るまでは苦労が絶えないだろう。
部品のモジュール化はレガシーの世界では重大な問題となる。ワイヤーハーネス、ブレーキアッセンブリーなどの自動車部品は、ブランド間で互換性があるため、サプライチェーンが少しでも寸断されると、その分野全体が壊滅的な打撃を受ける可能性がある。EVへの移行は、そうした潜在的な問題をさらに悪化させることになる。
さらに、ホンダとゼネラル・モーターズは低コストのEVを製造したくても、2027年まで生産を開始することさえできないのだ。そう、今から丸5年後になる。
このプロジェクトは両社で協力し、2020年に開発されたバッテリー技術を使用し、新車はゼネラル・モーターズの既存施設で製造するという経緯があることから、この時間枠は特に気になるところだ
「クルーズ・オリジン」と呼ばれるそのEVは、とても独特だ。
ホームページでは、オリジンにはハンドルがなく、ブレーキや加速のためのペダルもなく、2組の乗客が向かい合って座るバスのような形式であることが紹介されている。
このプロトタイプは、自律走行車のスタートアップ企業であるCruise Automationが開発した技術で何が可能かを紹介するためのものであった。
共同プレスリリースによると、2027年のコラボレーションモデルは自律走行はしないものの、ゼネラル・モーターズのアルティウム電池プラットフォームを搭載し、北米の工場で製造される予定となっている。これだけ必要なピースが揃っているため、生産の停滞は許されない。
テスラは世界のEVリーダーとして猛スピードで前進しており、現時点でその優位性に対する競争は見られない。
テキサス州オースチンを拠点とする同社は、トヨタが所有していたカリフォルニア州フリーモントの工場を改修し、2010年からEV生産を開始した。
最新鋭の新施設が2018年に中国の上海に完成し、先月にはドイツのベルリン近郊に複製施設を開設した。そして、さらに大規模なギガファクトリーが今週、オースティンにオープンする予定であり、これらの工場を合わせると、現在200万台の自動車を製造する能力がある。
確かに、ICE車から完全な電気自動車への移行は初期段階であるため、レガシー自動車メーカーも、魅力的な製品でゲームに参加する時間はある。
しかし残念ながら、市場への参入の遅れがゼネラル・モーターズを助けることはない。長期遅延と支出増が相まって、株価を圧迫し、追加資本のコスト増につながるだろう。
現在41.42ドルのGM株は、予想PERの6倍、売上高の0.5倍で取引されており、時価総額は638億ドルとなっている。これは一見掘り出し物のように見えるかもしれないが、実は罠だ。売上高と収益性の低下が加速している。
2月に発表された10-12月期の財務報告によると、四半期ごとの売上高は10.5%減少し、同期間の利益は40.3%減少した。
常にご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れずに、賢明な投資家は引き続きGM株を避ける必要がある。
健闘を祈る
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。