終わった戦争で戦うのをやめ、次の戦いに勝とう
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- 2022年6月27日
- トピックス
先日、スイスからオランダへライン川をクルーズした際、エーレンブライトシュタイン要塞を訪ねた。
ヨーロッパ最大の要塞で、モーゼル川とライン川が交わる場所を見下ろす丘の上にある。そしてそれは、前の戦争で戦い続ける様を表す素晴らしい例であり、それはまさにバイデン政権が今ガソリン価格に対して行っていることだ。
それについては、後ほどお話したい。
エーレンブライトシュタイン要塞は、ライン川左岸から400フィートの高さにそびえ立っている。ナポレオンがヨーロッパを暴れ回った際、ライン川沿いのドイツの城をほとんど焼き払ってしまったため、以前破壊された砦の跡に建てられた。ナポレオンは結局敗れたが、ドイツ軍はナポレオンが征服できないような要塞を作ることを決意していた。
そこで、プロイセンの建設担当の大佐は、ナポレオンが破壊した城や砦を調査し、破壊を免れたものの中で、ローマ時代のアーチを取り入れたものが最も優れていることを突き止めた。ドイツ軍はアーチが成功の鍵だと判断し、エーレンブライトシュタイン要塞のいたるところでアーチが使われるようになった。
下の写真は、エーレンブライトシュタイン要塞の前に立っている私だ。壁のデザインは、すべてアーチ型となっている。
ナポレオンによる仕打ちを受けたドイツは、その後もさまざまな工夫を凝らした。城の外壁の真正面100ヤードは平らにならされ、歩兵の足止めと射撃を容易にするために灌木が植えられていた。
当時、要塞に対する最も破壊的な攻撃は、トンネルを利用して行われたため、、ドイツ軍は前もって自分たちでトンネルを掘って爆薬を詰め、フランスの地下を爆破できるようにした。
エーレンブライトシュタイン要塞に死角はない。あらゆる角度が鋭く、すべての入り口にはスナイパースロットがあり、敵に熱い鉛を流し込むための殺人孔が多くある。
まだあるが、お分かりいただけるだろう。ドイツ軍は「フランスの略奪者どもよ、攻撃してみろ」と言わんばかりにエーレンブライトシュタイン要塞に侵入できないようにしたのだ。
歴史によれば、フランスがライン川沿いのその部分に再び侵攻することはなかった。エーレンブライトシュタイン要塞は、2度の世界大戦の間、何の弊害を受けることなく建ち続け、今は博物館と化し、無駄な努力の結晶となってしまった。
もしドイツがエーレンブライトシュタイン要塞を建設しなかったら、そのお金で何ができたのだろうかと考えざるを得ない。
無駄な努力といえば
そこで、バイデン大統領と彼のガソリン税の一時停止計画について考えてみたい。とんでもない措置で、間違いなく無駄な努力だ。
まず、米国人にとって大した節約にならない。
3カ月間の平均節約額は、ドライバー一人当たり23.85ドルになると試算されている。一方で、ガソリン税が減免されると、道路や橋の補修に使われる資金が削減される。
しかし、バイデン大統領は、高騰するガソリン価格について何かしらの対策を取らなければならないというプレッシャーにさらされており、その選択肢は非常に限られている。共和党にも何か良い考えがあるという訳でもない。
本題はここからだ。 ガソリン税の停止は、すでにガソリン価格が下がっているため、終わった戦争で戦っていることになる。GasBuddy.comのチャートを見てみよう。
ガソリン価格はすでにピークを迎えている。もちろん、まだ高値から僅かに下がっただけだが、最近の原油価格の暴落は、これからの価格の低下を示している。
では、問題はすべて終わったことなのだろうか?そうではない。ガソリン価格上昇の本当の原因は、パンデミック開始以来、様々な理由で5つの製油所が停止していることだ。つまり、(1)ガソリンの供給が減り、(2)製油所が生産するガソリンの価格が上がるということだ。
製油所の増設はコストが高く、建設に1年以上かかるため、製油所側は難色を示した。だが、ガソリン代は下がっているので、問題にはならないだろう。
バイデン大統領はとにかく石油の生産量を増やすためにできることをすべきなのではないかと問われている。
サウジアラビアを含む中東諸国は合意せず、米国の石油生産会社は赤字ぎりぎりだと言っている。実際、米国はこれまでで最も多くの石油を国産化している。
これらを念頭に置き、あなたが注目すべき点をご紹介したい。終わった戦いではなく、次の戦いを表すチャートだ。
Kplerのコモディティ・アナリストが作成したもので、2017~19年の平均と比べると、世界で使える石油がかなり少なくなっていることがわかる。
かなりの減少だ。
これは、ロシアのウクライナ侵攻、OPEC+の生産難、そしてパンデミックから脱却して世界がアクセルを踏み込んでいることが背景にある。これは、歴史的な規模の需給逼迫だ。
このことから、最近の原油価格の高値からの14%の下落、そして石油にレバレッジが効いた銘柄のさらなる大暴落は、行き過ぎたものであることがわかる。
ETFでは、SPDR S&P石油・ガス探鉱生産ETF(XOP)が良いだろう。
XOPが200日移動平均線に非常に近い位置まで下落したことがわかる。200日MAは、しばしば長期的な強気トレンドと弱気トレンドの分かれ目と見なされており、石油、そして石油株は長期的な強気トレンドにある。
このファンドの純経費率は0.35%で、上位の保有銘柄には、カロン・ペトロリアム(CPE)、デボン・エネルギー(DVN)、SMエネルギー(SM)、ダイヤモンドバック・エネルギー(FANG)といった企業が含まれている。
つまり、原油価格の上昇に伴って非常に良い成績を上げる銘柄のバスケットだ。
もう一度、需給逼迫のチャートを見て頂きたい。私は、次の原油価格と石油株の上昇に備えるのが賢いやり方だと考えており、投資家は価格が下がっている今のうちにそれを検討すべきだ。
終わった戦いに再び挑むことはない。そして、次の戦いには必ず勝てる。
いつものように、取引に入る前にご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないで頂きたい。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
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