景気後退リスクが高まる中、底値を模索するビットコイン
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- 2022年7月4日
- トピックス
ビットコイン(BTC, 格付け「A-」)と暗号資産(仮想通貨)市場全体は、一時的に反発を試みた後、現在は下落に転じている。BTCは先日の取引で3%下落し、重要な心理水準である2万ドルを割り込んだ。
2万ドルという水準は、2017年の強気市場のピークに非常に近いため、ビットコインにとって特に重要となる。このレベルを下回ることは暗号資産にとってネガティブな展開ではあるが、この分野における主なポジションの決済など、一連のネガティブな出来事を考えると、さらなる弱さに直面する可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策として政策を引き締める中、暗号資産は一連の障害に直面し続けている。価格の下落が続けば、ポジション決済の脅威が投資家に重くのしかかるが、FRBのアプローチが大きなポイントとなるだろう。
ビットコインは現在、2万1400ドル付近の21日移動平均線を下回って取引されているが、時間の経過とともに近づいている。先日、ビットコインは2万1000ドルに接近し、2万1400ドルに位置する指標を射程距離に収めた後、再び下落した。
ビットコインは6月9日に21日移動平均線の上方で取引を終えたが、市場が次に反発する際には、それを飛び越えるだろう。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
一方、イーサリアム(ETH、格付け「A」)は1週間の上昇を経て、堅調な動きを維持するのに苦戦している。ETHは急激な売りから安定を図ったが、先日は2%下落し、5本連続で赤いローソク足を記録している。この資産は過去1カ月で46%下落している。さらに重要なのは、前回の2017年の強気相場の高値を25%下回って取引されている点だ。
ETHは、高値と安値の下降トレンドの延長を避けるために、底値を確立する必要がある。朗報なのは、サポートを見つけてから1万ドルを割り込んでいないことだ。
これは、他のアルトコインの短期的な方向性を測る上で、重要な心理的水準となるだろう。イーサリアムが勢いをつければ、他のアルトコインも追随する可能性が高い。
イーサリアムは21日移動平均線を下回って取引されているが、それほど離れてはいない。突破するには1175ドルを超える必要があるが、ネガティブなニュースの展開により一旦は下落する可能性がある。5月に下落が始まって以来、短期モメンタム指標を上回って取引を終了したのは一度のみだ。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
インデックス一覧
暗号資産(仮想通貨)市場は週明けに反発を試みたが、終値で上昇分のほとんどを戻し、各インデックスはいずれも大きな動きを見せなかった。
ワイス・50・クリプト・インデックス(W50)は0.09%上昇したが、この分野のボラティリティを考慮すると無視できるレベルだ。
ワイス・50・Ex-BTC・インデックス (W50X)は0.80%上昇し、ビットコインはほとんど広範な市場のパフォーマンスを反映した。
パフォーマンスを時価総額別に見ると、大規模コインだけがプラスで終えたが、その利益はわずかなものだった。ワイス・ラージキャップ・クリプト・インデックス (WLC)は0.17%上昇した。
中規模コインが一番の下落となったが、それほど大きなダメージはなく、ワイス・ミッドキャップ・クリプト・インデックス(WMC)は3.02%下落した。
ワイス・スモールキャップ・クリプト・インデックス (WSC)は1.51%下落し、小規模コインは僅差で週を終えた。
先週はポジティブなスタートを切った後、暗号資産(仮想通貨)市場全体はほとんど先細りとなった。経済状況が改善されるまで、暗号資産が大きく動くことはないだろう。
今後の推測
暗号資産(仮想通貨)市場は、5月と6月の急激な売りの後、反発すると思われるが、市場サイクルにおける現段階とマクロ経済の課題により、短期的に持続的な成長が阻害される可能性がある。
それでも、採用は一貫して改善されており、過剰なレバレッジポジションが一掃されたことで、市場はより健全な状態になると考えられる。
投資家は暗号資産の冬の間、忍耐強くいる必要がありそうだが、この期間によって市場は調整されつつある。暗号資産は長期的に大きな可能性を秘めているが、ボラティリティが上昇する時期なしには、大きな利益を得ることはできない。
健闘を祈る。
サム
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