イーサリアムのThe Merge成功後、暗号資産は下落
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- 2022年9月20日
- トピックス
イーサリアム(ETH、格付け「A」)のThe Margeに対する熱は、次第に落ち着きを見せており、暗号資産(仮想通貨)市場は小幅安で取引されている。
ETHは、プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへの移行に伴う期待感を背景に、数カ月にわたって足場を固めてきた。
プルーフ・オブ・ワークの合意形成は、コンピュータを使って複雑な計算問題を解くことで実現されるが、これには大量のエネルギーが使われる場合がある。プルーフ・オブ・ステークの合意形成は、ユーザーが保有するトークンの量によって承認の役割の割り当てが決まる仕組みだ。
The Marge前日に、イーサリアムは3カ月間で30%超の上昇を記録したのに対し、ビットコイン(BTC、格付け「A-」)は同期間で下落した。
だが、イーサリアムは現在、下落の矢面に立たされている。
歴史的なThe Mergeはスムーズに行われたが、「噂で買ってニュースで売る」イベントと化し、売られてしまった。ETHは、この記事執筆時点では昨日10%下落し、さらに今日は3%下落しており、そのパフォーマンスは市場全体の動きに連動している。
今回のアップグレードは、イーサリアムの価格にすぐには影響しないかもしれないが、長期的には大きな影響を与えるだろう。注目すべきは、その移行により、一晩で99.9%の二酸化炭素排出量を削減できた点だ。
しかし、FRBが金融政策を引き締める中、金融機関は弱気相場でのポジション取得に慎重になっている。だが、暗号資産やその他のリスク資産に対するセンチメントが改善されれば、機関投資家のエクスポージャーは大幅に増加するはずだ。
環境、社会、ガバナンスの面で大幅に改善されたイーサリアムは、今後、多くの金融機関がビットコインではなくイーサリアムに注目し、暗号資産を利用するようになると思われる。
イーサリアムは現在、1400ドルの重要なサポートを試しているが、これが崩れると、他のアルトコインにさらなるネガティブな値動きをもたらす可能性がある。
ETHは21日移動平均の約1600ドルを下回って取引されているが、短期的な勢いを取り戻すには依然として14%の上昇が必要だ。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのETHの推移率である。
一方、ビットコインは、本日の取引では、ほぼ安定的に推移し、1日の始値である約1万9700ドル付近を行き来している。
注目すべきは、この水準が重要な心理的サポート水準である2万ドルを下回っている点だ。市場のリーダーが弱さを示し続ける場合、1万9000ドル付近、または6月中旬の安値1万7500ドルがサポートとなる可能性がある。
ビットコインのビットコインの暗号資産(仮想通貨)市場支配率は、6月に48%を超えるピークを迎えて以来、着実に低下しているが、この動きの一因は、投資家がThe Merge前にイーサリアムに群がったことにある。ビットコインの優位性は、前週39%に下がった後、40.5%前後で推移している。
イーサリアムはThe Mergeが実行されるまで上昇していたが、ビットコインは、ほぼ1万7500ドルから2万5000ドルのレンジ内で取引されている。暗号資産(仮想通貨)市場の調整が進む中、ビットコインをはじめとする大規模コインはレンジ相場が続くと思われる。
この間も、ビットコインや他の大規模コインは6月中旬からの安値を試す可能性がある。1万7500ドルはBTCにとって注目すべき重要なレベルだが、市場のセンチメントが改善され、短期的な勢いを取り戻すことができれば、回避できる可能性がある。
昨日の取引で21日移動平均線を一時的に上回った後、ビットコインはイーサリアムとともに下落し、抵抗ラインに触れた。BTCが再び追い抜くには2万200ドルを超えて上昇する必要がある。
以下の図がコインベース(COIN)上でのドル建てのBTCの推移率である。
今後の推測
暗号資産(仮想通貨)市場は、短期的に上昇を阻害する可能性のある複数の課題に直面している。
持続的な高インフレ、タカ派的なFRB、暗号の冬が引き続きセンチメントを傷つけ、市場サイクルの現段階では、取引はレンジ内で推移する可能性がある。
しかし、ファンダメンタルズはかつてないほど強固であり、マクロ経済状況が改善されれば、この資産クラスはこれらのハードルを克服できるだろう。
イーサリアムはThe Mergeの実行後に若干の勢いを失ったが、今回のアップグレードにより、より長期的に普及を拡大するための良い位置づけとなるはずだ。
暗号資産の価格は取引期間中に大きく変動することがあるが、普及率の大きな上昇を止めることはできない。金融機関は次の上昇局面に備えて資金を蓄えるため、好条件が揃えば可能性は無限だ。
健闘を祈る。
サム
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