インフレが市場に与えるパンチ
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- 2022年9月20日
- トピックス
1973年1月22日のことだ。ジャマイカのキングストンで、「サンシャイン対決」が行われた。
この日は、ジョー・フレイジャーとジョージ・フォアマンがボクシングのリングに上がり、世界ヘビー級タイトルの座をかけて戦うことになっていた。
しかし、結果よりも有名なのは、スポーツ・キャスターのハワード・コゼルの実況だろう。開始早々、フォアマンがフレイジャーを打ちのめし、ほどなくしてフレイジャーが倒れた。そして、コゼルは興奮気味に実況した。
「フレイジャー、倒れた。フレイジャー、倒れた。フレイジャー、倒れた。」
まさかの展開となったスポーツ番組だったが、先日の米国時間午前8時30分1秒の市場も、同じだった。ウォールストリートが抱いていたインフレ抑制への期待や夢は一瞬にして打ち砕かれ、地球上のほぼすべての市場は、呆然としてしまった。
具体的には、米労働省が発表した8月の消費者物価指数は0.1%上昇した。エコノミスト予想は0.1%の低下だった。物価上昇の幅も広かったため、ガソリン代の10.6%減は、ヘッドラインの数字をマイナスにするほどではなかった。
フレイジャーがフォアマンに負けたように、醜いものだった。8月の数字を見てみよう:
- 非食品コストは7.1%の上昇。
- 食品コストは11.4%上昇し、家庭での食品は13.5%、家庭外での食品は8%の上昇だった。
- エネルギーは、前年同期比23.8%の上昇となった。
さらに注目すべきは、FRBの政策的観点から見て、食品とエネルギーを除いたコアCPIが0.6%急増した点だ。専門家の間では、その半分程度しか上昇しないと考えられていた。医療サービス、住居、衣料品、新車などの価格が上昇した。
株の反応も目を当てられないものだった。 S&P500は4.33%下げてこの日の取引を終えた。
債券市場の惨状はさらにひどく、トレーダーがFRBの政策動向に対する見方を根本的に見直したため、短期金利は急上昇した。
現在、市場は9月21日の会合で75ベーシスポイントの引き上げを完全に織り込んでいるだけでなく、100ポイントの引き上げの可能性も僅かに(しかし広がりつつある)織り込んでいる。
金融政策の引き締めは、暴騰している米ドルを除き、あらゆる資産に悪い影響を与える。これが、私がこの市場に対してセーフ・マネー・アプローチに固執することを強く勧める理由の一つだ。
ナスダックの127回目の底だろうが何だろうが、ゴミみたいな株で損し続ける人間は好きにすればいい。
あなたにはその必要はない。このようなバカげたことを避け、サイクル後期の市場環境下で最もうまくいき、今後もうまくいくはずの方法に集中することで、自分の財産と利益を守ることができる。
これが、年末に向けた私の最善のアドバイスだ。この年末は、またしても悲惨なデータが相次ぎ、不安定で危険な年になるかもしれない。
それでは、また。
マイク・ラーソン
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