道を踏み外しつつあるメタ
- 1116 Views
- 2022年9月20日
- トピックス
メタ・プラットフォームズ(META)は、世界最大かつ最も重要なソーシャルメディア・プラットフォームを運営しているが、同社は大きく道を踏み外している。
カリフォルニア州メンローパークに本社を置く同社は、電子商取引における計画を大幅に縮小すると、先週のThe Information誌が報じている。メタと株主にとって大きな挫折となる。
投資家は、当面、株価のさらなる下落を覚悟するべきだろう。
最近は、株主にとって厳しい状況が続いている。
- 株価は年初来で54.5%下落
- 時価総額はわずか4120億ドルにまで縮小
メタバースのソフトローンチの失敗から、経営陣の争い、アップル(AAPL)との絶え間ない揉め事まで、すべてがうまくいっていない。
メタの核となるのは、相互に深く結びついた一連のデジタル・プラットフォームだ。Facebook、WhatsApp、Instagramは、彼らの会員のほとんどが利用しているサービスであり、友人と写真を交換したり、オンラインでチャットしたりと、交流の場として利用されている。
Statistaによると、2022年第2四半期までに、29億人の会員が少なくとも月に一度はFacebookにログインしている。この数字は、中核サービスであるWhatsApp、Instagram、Facebook Messengerを加えると、30億に跳ね上がる。また、8000万社の企業がFacebookを利用して、顧客と直接コンタクトをとっている。
これまで、広告以外でこのようなコネクションを収益化する機会がなかった。マーク・ザッカーバーグ氏は、2020年に提供を開始したショップ機能でそれを変えることを目指した。
関連記事: 景気後退に備えるビッグ・テック
これは、フェイスブックとインスタグラムの会員が、エンドツーエンドのeコマースストアを立ち上げるための機能で、会員がインスタグラムやフェイスブックのグループで商品の写真を共有し、デジタル決済プロセッサであるFacebook Payを利用して、ショップでのオンライン販売を完了する。
また、会員の決済情報をFacebook Pay内に保存できることも大きなメリットだった。メタの全プラットフォームへの移植性はもちろん、自己完結型であることでユーザーエクスペリエンスを完全にコントロールすることができる。面倒なログインや、第三者のプロセッサへのハンドオフ(作業の引継ぎ)もない。
コントロールは非常に重要だ。メタの現在の企業課題は、コントロールを失ったことに起因している。
メタは、ワシントン州議会がプラットフォームのコントロール力が強すぎることを懸念したため、1月にデジタルコイン計画を断念した。過去に最高財務責任者(COO)を務めたシェリル・サンドバーグ氏は、サードパーティの開発者アクセスに関する一連のセキュリティ侵害を受けて、数カ月後に同社を去った。また、アップルによるOSの変更により、iPhoneやiPadでユーザーを追跡したり、広告在庫を販売したりするメタの能力が損なわれている。
電子商取引は、主導権を取り戻すための道のように見えたが、 今、その計画は大幅に縮小されている。
The Informationによると、Instagramのスタッフは先週、ショッピングページは最終的になくなり、内部的にTab Liteとして知られているよりパーソナライズされたバージョンに置き換えられると伝えられたという。従業員たちは、より多くの労力を広告収入を増やすための施策の推進に注ぐよう指示された。
これのニュースは最も最悪のタイミングだ。メタは7月に、2012年の上場以来初めて広告売上が減少したことを報告した。第2四半期の総売上高は、前年同期の291億ドルに対し、288億ドルに減少した。1%という控えめな減収は取るに足らない数字に思えるかもしれないが、2021年の28%という成長率に比べると、特に顕著な数字だ。
もうひとつの問題は、TikTokだ。中国が所有するこの人気のソーシャルメディアは、瞬く間にメタの各サービスの激しい競争相手となった。Tik Tokは、2021年、そして2022年の今のところ、最もダウンロードされたモバイルアプリとなっている。
先週火曜日、メタの株は大きな売り圧力にさらされた。 株価は9.4%下落し、2020年以来の安値である153.13ドルとなった。
株価はPERが13.3倍、PSRは3.4倍に過ぎないが、投資家はさらなる下落局面リスクを心配すべきだろう。2020年の安値は137ドルであり、その水準は間違いなく近づいている。
また、メタがeコマースへの意欲を削いでいるため、アナリストは業績予想を抑制する可能性が高い。今後数カ月は、株主にとってつらい時期が続くと思われる。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。