弱気相場の嵐からの避難場所【パラジウム】
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- 2022年9月26日
- トピックス
ドル高がほとんどの金属を押し下げている。
金、銀、銅はいずれも下落している。
金はこの1カ月で4%以上下がっている。銀は今年に入ってから13%近く下落した。そして、銅は3つの中で最もパフォーマンスが悪く、19%以上も下落している。
しかし、投資家に見落とされがちなある金属が、意外な強さを見せている。
そして、今後価格は上昇していくかもしれない。
市場の弱気の嵐から逃れるための避難場所をお探しなら、この金属は安全資産の港を提供していると言えるだろう。
その金属とは、パラジウムだ
光沢のある銀白色の金属で、主に自動車の排気系(需要の80%)や化学触媒として使用されている。今年に入ってからは、ウクライナ侵攻によるロシアへの制裁懸念が高まり、価格が高騰した。
ロシアはパラジウムを大量に生産しており、2020年には世界供給の40%を占めた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻前に結ばれた供給契約は守られたため、パラジウムの価格は反落した。
最近では、パラジウムは6月中旬に底を打ち、その後、ジワジワと上 昇している。
数年にわたる供給不足
ロシアは氷山の一角に過ぎない。
パラジウムは大きな供給問題を抱えており、これは投資家にとっては朗報だ。
世界のパラジウム市場は2012年以降、供給不足が続いている。
鉱業大手のノリリスク・ニッケルは、2021年の世界のパラジウム不足量が20万オンスだと報告した。2020年の時より減少しており、改善されたように見える。南アフリカからの新規供給が寄与した。
今年の見通しがあちらこちらで見られ、需要と供給の両方が高まっている。2022年にはわずかな超過となるかもしれないが、来年には不足に転じる可能性がある。
実際、キャピタル・エコノミクスが8月に発表したレポートによると、旺盛な需要と逼迫した供給が相まり、パラジウムは今後2年間不足が続く可能性があり、2024年末には1オンス2400ドルに達すると予想している。これは最近の価格から11%の上昇に相当する。
キャピタル・エコノミクスは、自動車触媒としてのパラジウムの需要が中国で引き続き増加すると述べた。一方、大手パラジウム鉱山会社の大半は2022年の生産量に 関する見通しを下方修正している。
キャピタル・エコノミクスは、「世界の鉱山からの供給量の約2/5を占める南アフリカの鉱山からの供給量が3〜4%減少すると予測している」と書いている。
一方、ガソリン車やディーゼル車からの公害を抑制するための規制強化により、パラジウムなどの白金族金属が触媒コンバーターに使用されるようになっている。
さらに、今年2月に米国地質調査所が発表した戦略的鉱物資源リストには、パラジウムをはじめとする14種類の重要鉱物が追加された。つまり、米政府は、この金属の重要性に気づき始めているのだ。まだ市場に織り込まれていない強気要因がいくつかある。
投資家はどう対応すべきか
では、この需給逼迫の流れにどう乗ればよいのか?
私がお勧めするのは、アバディーン・パラジウムETFトラス (PALL)だ。 経費率0.60%で、パラジウム地金だけを保有している。週足チャートを見てみよう。
パラジウム、そしてPALLが6月に底を打ったことが分かる。PALLはその後上昇し、この上場ファンドは近いうちに再び211ドル付近の目先の抵抗線を試すことになりそうだ。
もしブレイクアウトできれば、私の目標は1株261ドルだ。これは最近の価格から31%の上昇となる。
パラジウムは、今年のように市場が弱気なムードに包まれている際に考慮すべきものであることは確かだ。必ずどこかに牛(強気)がおり、その1つはパラジウム製だ。
いつものように、ご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないでいただきたい。
あなたの成功を願って。
ブロドリック
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