TikTok規制で返り咲くMeta
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- 2023年1月4日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanです。
昨年、あまり話題にならなかったもののアメリカと中国にとって非常に重要なこのニュースをご存知でしょうか?
以前からアメリカでは中国共産党の元にある企業がアメリカ人の個人データを取得することに危機感を覚え、禁止する動きがありました。
トランプ前大統領がTikTokに禁止令を出したり、90日以内に米国企業に売却するよう命じマイクロソフトが名乗りを上げていたことを覚えているかもしれません。
それらは現在のところ、アメリカのオラクルがテクノロジープロバイダーに就任しデータを管理することで落ち着いています。
一方、昨年12月にはTikTok禁止法が上院で可決されるなど、さらに厳しく制限する動きも続いています。
この動きはアメリカのSNS大手にとってどんな影響をもたらすのでしょうか?
Weiss Ratingsのアナリストでテクノロジー投資の専門家ジョン・マークマン氏の分析をご覧ください。
政府の歯車はゆっくりと、しかし確実に動いている。今、米国の議員たちは中国企業を狙い撃ちしており、その行動は投資家に大きな影響を与えることになるだろう。
先日提出された超党派の法案は、米国でTikTokを禁止するものだ。議員たちは、大人気のソーシャルメディアプラットフォームが中国政府の手先だと考えている。
それこそが、投資家がメタ・プラットフォームズ(META)を買うべき理由だ。ご説明する前に、まずはメタのチャートを見てみよう。
メタはかなり暴落しているが、これ以上下がることはないと思われる。現在の価格は投資家にとってかなりお買い得だ。さらに、このTikTokに対する新しい法律は、メタが待ち望んでいたクーデターとなるかもしれない。
しかし、それについては後ほど触れたい。
中国のコングロマリットであるByteDanceが所有するTikTokの背景を少し掘り下げてみよう。中国の経営陣によると、両社は独立して運営されており、TikTokを利用するアメリカ人のデータは、中国ではなく、シンガポールとアメリカに保存されているという。
7月までは、中国にいる社員が個人情報にアクセスしたことを示す直接的な証拠はなかったが、Buzzfeed Newsは、これが事実でなくなったことを報じ、80の社内会議の音声記録が流出し、Bytedanceの社員が米国のTikTokユーザーの非公開データに繰り返しアクセスしていたことが明らかとなった。米国人から収集したデータは、Project Texasの契約に基づいて、オラクル(ORCL)が管理するテキサス州のサーバーに保存されることになっている。
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その合意は、2019年の対米外国投資委員会(以下、CFIUS)の調査から生まれ、その後2020年のCFIUSの取り決めにより、アメリカ人から収集したTikTokのデータはすべてテキサスに移された。
中国共産党の影響は明らかだ。中国共産党はすべての中国企業に対して絶対的な権限を持っている。現在、TikTokは、月間アクティブユーザーが10億人に達し、世界で最もダウンロードされ、急成長しているソーシャルメディアプラットフォームである。
この先がどうなるかは、想像に難くない。
FBIのクリストファー・レイ長官は今月、TikTokが国家安全保障上の懸念を抱かせるものだと述べた。レイ長官は、ソーシャルメディアのプラットフォームは、究極的には中国共産党が米国人の見聞きするもの、そして最終的には思考に影響を与えるトロイの木馬になるかもしれないと懸念している。
共和党のマイク・ギャラガー議員と民主党のラジャ・クリシュナムルティ議員がスポンサーとなり、米上院のマルコ・ルビオ議員(共和党)はTikTokを禁止する超党派法案を提唱している。この法案は、ByteDanceとTikTokを禁止することで、米国人に与える影響を制限しようとするものだ。
ロイターの12月の報道によると、新法案の提出は、サウスダコタ、ネブラスカ、テキサス、メリーランド、サウスカロライナ、アラバマ、ユタ州による公務員に対する州レベルのTikTok禁止実施に続くものだという。
TikTokに対する政治的な動きは本物であり、勝者は前進しつつある。
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メタ・プラットフォームズは、2016年の大統領選挙でFacebookが誤報キャンペーンを行ったと非難されて以来、米議会で批判されるようになった。また、着実にTikTokに市場やマインドシェアを奪われてきたが、その状況は、もうすぐ変わりそうだ。
結局のところ、株価の大きな動きというのは、物語の変化だ。
法律家がTikTokを阻害する場合、メタは論理的に勝者となる。カリフォルニア州メンロパークに拠点を置く同社は、Facebook、Instagram、WhatsAppのソーシャルプラットフォームで30億人のユニーク会員を抱え、TikTokのような新しいサービスを迅速に提供できる規模とソフトウェアの器用さを持っている。
さらに重要なことは、TikTokを禁止することで、メタを取り巻く物語が、米議会からの批判対象から新しい成長物語へと変わることだ。
当然のことながら、TikTokが禁止される可能性があるというニュースが熱を帯び始めた11月以降、メタの株価は他のビッグテック企業よりも良いパフォーマンスを見せている。
株価は117.09ドルで、PERは14.7倍、PSRは2.5倍にすぎない。売上総利益率は80%以上を維持している。この指標は、今後数カ月間の人員削減を経て、より大きくなるだろう。
米議会の政策決定は、不正確な科学だ。様々な要素やストーリーがあり、その結果が株価の原動力となる。TikTokで何が起きているのか、どのような企業が利益を得るのかは、一目瞭然だ。
投資家はメタの新しいエントリーポイントを探すべきだろう。いつものように、ご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないでいただきたい。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
METAの株価は高値から67%も下落していますが、直近の安値からは40%以上も上昇しています。
これは昨年から続く下落の中で最も大きな回復なので、ブロドリック氏の分析にあるように安値を割るリスクはかなり下がってきたと言えるでしょう。
ぜひご自身で追加分析した上で、世界最大SNSが投資家に与えてくれた資産アップのチャンスを掴んでください。
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。