モデルナの高い効能が株価を高騰をさせる
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- 2022年12月19日
- トピックス
こんにちは。Weiss Ratings Japanです。
mRNAを使ったワクチン・製薬開発を行うモデルナ。ここ数年で一気に話題になった企業ですが、昨年夏頃をピークに半値以下に下落しています。
しかし10月ころから株価は上昇傾向。まだ過去の高値に近づいているとは言えませんが、今年の底値から80%程度も上昇しています。
特に先週、新しい治療法の臨床試験で、メラノーマ治療への有効性が示されたことで株価は1日で25%も急上昇しました。
この上昇は続くのでしょうか?それとも短期的な上昇に終わり、モデルナに投資している人にとって利確・損切りすべきタイミングでしょうか?
今回はWeiss Ratingsのシニアアナリスト、ジョン・マークマン氏によるモデルナ株の分析をお届けします。
医学研究者は、私たちの免疫システムに対する知識とコンピュータを利用して、驚くべき進歩を遂げている。 投資家にとって、今ほど良い時期はない。
モデルナ(MRNA)の株価は、先週火曜日の終値で19.6%上昇した。同社経営陣が、ステージ3および4のメラノーマ(悪性黒色腫)患者の癌と戦うために共同開発したワクチンの優れた有効性を発表したためだ。
MRNAの価格チャートを見てみよう。
投資家は、今後の下落局面で、株を購入するべきだろう。
モデルナは、2019年からメルク(MRK)と共同で、個別化mRNA治療薬「mRNA-4157/V940」の開発に取り組んでいる。そして、メルクは10月に、モデルナとの共同開発・商業化のオプションを行使し、2億5000万ドルを支払うことを発表した。
メルクの経営陣が、現在進行中の早期患者臨床試験から良好な結果を得られると見通していたことは明らかだ。
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モデルナは、メッセンジャーRNA(mRNA)技術による画期的な研究で知られている。マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置く同社は、患者の免疫系を刺激し、効果的に病気と闘うよう導くワクチンを開発している。
これは、新型コロナウイルスのワクチンを短期間で開発したのと同じ技術だ。現在、同社は呼吸器系の病気にとどまらず、癌などの固形がんを攻撃する薬物治療法の開発に取り組んでいる。
これは非常に壮大な取り組みだ。
このような細胞の不具合に対抗するために、個別患者の免疫体に戦い方を教えるワクチンがあれば、すべてが変わる。医学研究や健康科学に多大な影響を与えるユースケースは数多くある。
これとは別に、ファイザー(PFE)の経営陣は先週月曜日の投資家向けプレゼンテーションで、mRNA技術は2030年までに100億〜150億ドルの売上に貢献すると述べた。
モデルナとメルクは、競合他社に対して良いスタートを切っている。共同開発したmRNA-4157/V940は、患者の腫瘍に存在するネオアンチゲンに合わせて作られた、まさに個別がんワクチンだと言える。
ロイター通信によると、メルクの主要ながん治療薬であるキイトルーダと併用されるという。第2B相試験には、ステージ3またはステージ4のメラノーマ患者157名が登録された。個別がんワクチンの追加は、キイトルーダ単独投与に比べ、再発または死亡のリスクを44%減少させた。
モデルナのステファン・バンセルCEOは、CNBCのインタビューで、この結果をホームランと呼んだ。また、個人化されたmRNAワクチンの開発をより多くの種類の癌に広げていくことを約束した。
バンセル氏は、株価を大きく上昇させるストーリーを語っている。
研究は画期的であり、スケーラブル(拡大可能)であることを再確認しているのだ。彼は、この技術を免疫療法2.0と呼んでいる。そして、新型コロナウィルスのワクチンを増産したのと同じように、迅速に作ることができる多くの潜在的な医薬品を約束している。
現在、モデナのバランスシートに170億ドルの現金が蓄積されているのは、新型コロナウィルスが背景にある。この資金は、新たな研究開発や個別がんワクチンの大量生産が可能な製造施設の建設に充てられるとバンセル氏は述べている。
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同社は現在、バーテックス(VRTX)と共同開発中の嚢胞性線維症の吸入製剤をはじめ、30種類のワクチンを開発中だ。また、乳がん、皮膚がん、大腸がん、子宮がん、子宮頸がん、胃がん、腎がん、腸がん、肝臓がん、膀胱がんを対象とするキイトルーダのポートフォリオについても、メルクと緊密に連携していく。
先週火曜日の終値は197.54ドルで、8月の高値をわずかに下回った。このレベルを超えて上昇すると、2021年のテクニカル的にブレイクダウンレベルである379ドルへ向かって前進することになる。そうなった場合は、現在の水準から91.4%の上昇だ。
株価はPER(株価収益率)の37.5倍、PSR(株価売上高倍率)の3.7倍で取引されている。モデルナの研究は本質的にデジタルなものであることから、売上総利益率は79.2%で、利益率は55%だ。比較として、ファイザーは、それぞれ65.5%、29.9%となっている。
先週火曜日には株価が大きく上昇したが、上昇軌道はまだ始まったばかりだ。投資家は185ドルまでの下落局面で株を買うことができる。
いつものように、ご自身でデューデリジェンスを行うことを忘れないでいただきたい。
健闘を祈る。
ジョン・D・マークマン
※ 広く一般の投資家に情報としてお届けする事を目的とした記事であり、Weiss Ratings Japanが運営する投資サービスの推奨銘柄ではありません。予めご了承下さい。